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言葉のいとはゆっくりと

挿絵(By みてみん)

 しん……と静かになった会場に、ギリッとジャキルピット男爵令嬢がドレスを握りしめた音が響きました。


「あの子も男の子ですから、兄として偉ぶってしまっただけなのでしょう。子供のしたことですから、そんなに目くじらを立てることではないのではありませんか?」


 すぐさま困ったような表情を浮かべて弁明しますが、教育ができていないと言っているようなものですよ?


「なるほど、そうなのですね」


 にっこりと微笑んで頷いた私に、ジャキルピット男爵令嬢はかすかにほっと息を吐き出しましたが、油断はよくありませんよ。


「つまり、第二王子殿下の教育係はちゃんとした序列を教えることが出来ていない、ということですね」

「っ!」


 続けて放った私の言葉に、ジャキルピット男爵令嬢は息を飲みました。


「皇女殿下、余計な心配かとは思いますが、第二王子殿下の教育係の見直しを皇帝陛下にご提案してはどうでしょうか? 今後の第二王子殿下のためにも、今のままでは……その、ちょっと……」


 余計な心配と自分から前置きすることと、子供にまで心配されるほどの酷さを遠回しに伝えれば、皇女は「そうですわね……王家の品位を保つためにも、提案はしましょう」と言ってくださいました。


「けれど、残念なことにジャキルピット男爵令嬢はあまり教育に……というか、離宮のことを気にかけられるのがお好きではないようですわ。フロリアナを引き取る際も、色々(・・)調査させていただきましたが、ご協力があまり得られなかったと報告を受けておりますの」


 皇女が意味深に視線を向けて言えば、ジャキルピット男爵令嬢が僅かに体に力を籠め、口元をひきつらせたのが見えました。


家庭内(・・・)のことですので、あまり調査などと大げさにされると、なんだか不安になってしまっただけですよ」

「あら」


 ジャキルピット男爵令嬢の言葉に、今度はお婆様が驚いたように声を出しました。


「第二王子殿下と第一王女殿下のことでしてよ? 家庭内などという庶民的(・・・)なくくりに収まるようなことではないと、当然お分かりかと思っておりましたわ」


 不思議ですわね? とお婆様が目を細めれば、ジャキルピット男爵令嬢は「……考えが至っていませんでした。申し訳ありません」と頭を下げ(・・・・)謝罪の言葉を口にしました。


 そのまま、もう言うことがなくなったのか劣勢を認めたのか、ジャキルピット男爵令嬢は「失礼します」と言ってテーブルから離れていき、自分の席に戻りました。

 そのことを確認したフロリアナがほっと小さく息を吐き出しましたが、手は握りしめられたままなので、私は空いている左手で静かにカップを取り、ミルクを一口飲みました。

 その後は何事もなく、他の男爵家の貴婦人たちが挨拶にきて穏やかな会話を終えると、再度私たちのテーブル以外で席替えが行われました。


「ヴィア、しばらく会えませんでしたけど、元気にしていましたか? 手紙には変わりなく元気にしていると書いてありましたが、なんだか少し痩せてしまったような気がしますわ」


 心配そうに見てくるフロリアナに、鋭いと思いつつも柔らかく微笑みを浮かべ、「本当に元気でしたよ」と答えました。

 私の発言に対して、お婆様が訂正する様子はないので問題はないでしょう。


「……それにしても、髪飾りもそうですけど、ドレスは本当に驚いています。教えてくれていたら、もっとフィリーに似合いそうなデザインにしましたよ」

「そこは大丈夫ですわ。デザイナーにわたくしとヴィアの両方に似合うデザインを頼んでおりましたの。それに、全く同じではなく、ちゃんとそれぞれアレンジしていますわ」

「そうですけど……」


 確かに私とフロリアナは、はとこ同士だからかどことなく似た系統の雰囲気ですが、それでもやはり細かい部分は違うのですから、細部にはこだわりたいと思ってしまいます。


「ヴィヴィアナの言いたいことはわかりますわ。けれど、フロリアナの初めてのわがままなので、大目に見てあげていただける? それに、フロリアナがこんなことを言い出したのは、お父様が二人にお揃いの髪飾りを贈ったのがきっかけでしてよ」


 皇女が微笑ましそうに言うと、フロリアナが「だって……」と少しだけすねたような声をだしました。


「ヴィアと最初のお揃いのものをプレゼントするのは、わたくしがしたかったのに、お爺様が先にしてしまったから……」


 ここにはいない皇帝に対して、すねた言葉を発したフロリアナに対して、私だけではなく、皇女とお婆様もそのかわいらしさに思わず顔の頬が緩んでしまいました。


「……そうですね、この髪飾りとドレスは普段使いするのは少しもったいないものですよね?」

「確かに、そうですわね?」


 私の言葉にフロリアナが首をかしげるので、「ですから」と言葉を続けました。


「普段から使えるお揃いの何かを、一緒に考えませんか?」

「まあ!」


 私の提案に、フロリアナが今日一番の笑みを浮かべてくれました。


よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m

こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。


あ、この作品のPVあります。

見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)


↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!

https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB


↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)

https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r

https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL

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― 新着の感想 ―
んあーあまりの尊さに、光の彼方に消し去られそう……
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