並び立つ覚悟
「本当の双子のよう」、「ツインレイ」。そして皇女経由で皇帝が、私を孫娘と宣言していることが立て続けに判明し、会場の注目はあからさまに私たちに集中しました。
「ヴェスペリオンお兄様やお養母様は、わたくしの大切な家族ですが、ヴィアは……わたくしの片割れのような存在なのですわ。ですから、ヴィアの言葉はわたくしの言葉と同じですの……」
その言葉に、幾人かの貴婦人が「ヒュッ」と息を飲む音が聞こえました。
フロリアナ本人が、何かあった時に全権を委任すると宣言したに等しいですからね。
ジュエリアならこの言葉の重みを正確に受け取るでしょうが、いくら社交界を牽引しているとはいえ、普通の貴族婦人に通じるのでしょうか?
子供の戯言と受け流されるかもしれません。
(普通なら、ですけどね……)
微笑ましいと言わんばかりの皇女の笑みに、このあとの流れを察してしまい、思わず遠い目をしてしまいました。
「まあ、すてきですわね」
レースの手袋に包まれた両手をパン、と合わせて音を立てて皇女が肯定しました。
「けれど、ヴィヴィアナにばかり責任を負わせるのはよくありません。フロリアナ、貴方の言動もまた、ヴィヴィアナへの評価……いえ、すべての結果につながると心得なさいませね」
「わかっておりますわ、お養母様」
皇女とフロリアナの言葉に、私は思わずお婆様に視線を向けましたが、にっこりと微笑まれて「諦めなさい」と目で語られてしまいました。
いえ、諦めるとかそういう問題でいいのでしょうか?
今後の私の立場に関わってくるというか、私の実家であるタンザナイト公爵家にも影響しますよ?
視線で訴えかければ、「何とかなりますわ」と同じく視線で返されてしまいました。
(………………なるようになれ、ですね)
どちらにせよ放ってしまった言葉は戻らないのですし。
「私も、身を引き締めてまいります」
この言葉に皇女は満足そうに頷き、一瞬だけ視線をジャキルピット男爵令嬢に向けました。
私の角度から彼女を見ることはできませんが、面白くはないでしょうね。
その後、話は表向き和やかに進んでいき、私たちのテーブル以外が席替えの時間となりました。
最初の席順は身分順になっていましたが、ここからはある程度自由になります。
もちろん、皇女に挨拶に来る貴婦人もいらっしゃいますので、そのついでとばかりに、私とフロリアナにも挨拶をされます。
「まあ、そうして並んで座っていらっしゃると、本当に双子のように見えますね。タンザナイト公爵令嬢の隣だと、第一王女殿下の表情が和らいでいらっしゃいますね。本当に仲睦まじくていらっしゃいますこと」
大きくはないけれど、よく通る声で発せられた言葉に、先ほどよりもこちらのテーブルに近い場所に座っているジャキルピット男爵令嬢が、悲しげな表情を浮かべたのが見えましたが、演技なのがわかりますよ?
だって、膝の上に置いている手が、スカートを握りしめていますもの。
そんなに強く握ってしまったら、しわになってしまうのではないでしょうか?
挨拶に来ると言っても、身分がありますからね。
ジャキルピット男爵令嬢は、上の身分の貴婦人が挨拶を終えたころになりますから、まだまだこちらに来ることはできません。
認知された皇帝の子供でも、男爵令嬢に変わりはないですからね。
次々と挨拶にいらっしゃる貴婦人の興味は、どうしても私たちのようで、皇女とお婆様に挨拶を終えれば、すぐにこちらに話を向けてきます。
「その髪飾りは皇帝陛下からの品物とのことですが、お二人の髪にとてもよく映えておりますね」
「「ありがとうございます」」
声をそろえて微笑む私とフロリアナに、問いかけて来た貴婦人は一瞬息を詰まらせましたが、すぐに笑みを作り直しました。
(この方のお嬢様は、第二王子に取り入っていましたね)
もっとも、将来的に第二王子に皇位が回ってくることはないとわかり、今はどう考えているのかは不明ですが……。
でも、皇位を継げなくとも、王族であることに変わりはありませんから、将来が保証されていると、思っているかもしれません。
貴族世界に限らず、計略や謀略は面倒なことが多いですからね。
そんな風に挨拶に来る貴婦人の相手をしていれば、ジャキルピット男爵令嬢が挨拶をしてもいいタイミングになったようで、他の男爵令嬢や夫人よりも先に立ちあがり、こちらに近づいてきました。
「先ほどはごめんなさい。あたくしったら、恥ずかしい誤解をしてしまいました」
表情だけを見れば、心から謝罪しているように見えますが、少しだけ下げた頭だけでは、座っている私たちからは、その目の奥に浮かぶ悔しさを隠せていませんよ。
「ヴィヴィアナに向けた言葉なら気にしないでくださいな、ジャキルピット男爵令嬢。そもそも、あまりにも見当違いな言葉だったので、気にしていませんわ」
私たちに向けた言葉だったでしょうに、ジャキルピット男爵令嬢の言葉に返したのはお婆様でした。
「あら、何かありましたの?」
皇女がここぞとばかりに微笑みますが、お婆様は「どうも、ヴィヴィアナがわがままを言ったと、誤解なさったようですわ」と意味深に微笑みました。
よろしければ、感想やブックマーク、★の評価をお願いします。m(_ _)m
こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。
あ、この作品のPVあります。
見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)
↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!
https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB
↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)
https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r
https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL




