外堀が埋められていますか?
結局、私の体調が万全に回復したのは昏睡してから二週間もかかり、その間フロリアナと手紙のやりとりはしていても、会うことはありませんでした。
そもそも、いくら親しい仲とはいえ、王宮に6歳の子供が日参することもありませんからね。
ただ、それがフロリアナは不満だったのか、一週間前に皇女主催のお茶会の招待状が届きました。
前回の子供中心のお茶会とは違い、完全に社交界を牽引する淑女が集まるお茶会です。
フロリアナも次回開催されるお茶会で初参加とのことで、ぜひとも私と同伴したいといわれ、皇女が許可を出した形になっています。
とはいえ、妊娠中のお母様はもちろん不参加で、お婆様が出席なさるとはいえ、大人の中に子供が混ざる場違い感はぬぐえないでしょう。
(それに、フロリアナはきっと皇女殿下の前で改めて言うという建前で、多くの貴婦人の前で私をツインレイと公言するつもりなのでしょう)
そのことが嬉しくもあり、なんだか面映ゆくもありますね。
「ヴィヴィアナ、こっちへおいでなさい」
「はい、お婆様」
現在はお茶会で着用するデイドレスを2着選んでいる最中になります。
1着は予備です。もちろん、いざという時のために、王宮にも貸し出し用のドレスはあるのですが、当日何が起きるかわかりませんからね。
お婆様は元王女ということもあり、流行を追うよりも格式高いデザインのものを中心に選んでいるのですが、私には品格を損なわない程度に流行を取り入れたドレスを着せたいらしく、デザイナーと先ほどまで話し合いをしていましたが、結論が出たのでしょうか。
「こちらとこちら、どちらの方が貴女の好みでして?」
デザイン画を目の前に出され、私は思わずお婆様の顔をまじまじと見てしまいました。
「お婆様、デイドレスとはいえ、皇女殿下が主催するお茶会に、この桃色……いえ、ペツォッタイトの色を使用するのは問題ではございませんか?」
差し色程度ではありますが、使用していることに違いはありません。
暗黙のルールとして、皇位継承権を持つ王族が主催する催し物では、金とペツォッタイト色を他の貴族は身に着けないことになっているはずです。
お婆様がそこのことを知らないはずがありません。
「構いません……というより、皇女殿下からの指定ですわ」
「え?」
驚いて思わず変な声がでそうになったのを何とかこらえ、お婆様を見れば、小さく肩をすくめてから、テーブルの上に置いてある箱を手に取り、中身がしっかりと見えるように開けてくれました。
そこには、金細工に小さなペツォッタイトを中心にした宝石がはめ込まれた、かわいらしい髪飾りがあり、私は思わず顔が引きつりそうになりました。
「こ、これはお婆様のお手持ちの品……」
「ではありませんわ。皇女殿下より、次のお茶会で身に着けてくるようにと、届いた品物です」
その言葉に、思わず回復したはずの体調が、また戻ってしまったのかと思えるような眩暈を覚えました。
「ちなみに、第一王女殿下は、同じデザインのオブディシアン細工に、タンザナイトを中心に同じ宝石をはめ込んだ髪飾りを着用するそうですわ。なお贈ってきたのは皇女殿下ですが、指示を出したのはお兄様……皇帝陛下だそうですわ」
「…………そ、れは……いろいろな意味で、大丈夫ですか?」
戸惑いきった私の声に、お婆様は諦めたように遠い目をしてから、「まぁ、ヴィヴィアナと第一王女殿下の関係を、強く印象付けたい王家の意志としては、これ以上ないほど明確ですわね」と、力なく言いました。
つまり皇帝と皇女自らが、フロリアナが公言する前から、私の立場をフロリアナの全権代理も兼ねていると認めているということ、ですよね?
(……本当に、大丈夫ですか?)
ジュエリアの人間や、一部の王族への共有認識だけならともかく、ただ子供が親友をツインレイと自慢するように言うのではなく、正式に貴族たちに私がフロリアナと同格であると知らしめるのでは、今後の行動の重要性が変わってきます。
(これは、外堀を埋めていく作戦なのでしょうか?)
けれど、それは普通政略結婚や恋愛結婚の相手、もしくは政治経済がらみですることがほとんどなのでは?
私相手にして、何の意味があるのでしょう……。
そんなことをしなくても、私はフロリアナから離れるつもりなどないのですけれど……。
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あ、この作品のPVあります。
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↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!
https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB
↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)
https://youtu.be/0_eG4LgSRxc?si=sVh6MfslAAvzeO6r
https://youtu.be/6nR6zqxGNPY?si=SRqlyHR7kBCSOvNL




