幼きジュエリアたち①
お茶会も終盤に入り、そろそろお開きにしようという時、私は参加しているジュエリアの子女2人と視線を交わしました。
今回のお茶会は幼い子女を対象にしていますから、流石にジュエリアの血筋がすべてそろうということはありません。
けれども、私を含め似たような年齢の子女は当然生まれてくるわけで、そういった子供は自然と惹かれ合う傾向があります。
いえ、引かれ合うというよりも共鳴しやすいというべきでしょう。
視線だけで意思を交わした私たちは、そのまま何もなかったように視線を外します。
「皆さま、名残惜しいですが……本日はここで失礼させていただきますわね。またお会いできる日を、楽しみにしておりますわ」
フロリアナの言葉に、このお茶会の終了を理解し、ほっと息を吐き出す子女たちもいます。
表面上はなにげなさを装っていても、緊張していたのでしょう。
「では、わたくしたちはお先に失礼いたしますわ」
当たり前のように私と一緒に会場を退出するフロリアナ。
もちろん文句などありませんし、置いて行かれる方が私としては問題行動だと思えてしまいます。
会場を出てしばらく歩き、本宮に入って奥まった場所、すなわち先ほども来た第一王子殿下の居室の前まで来ました。
先ほどと同じように扉の前にいる近衛が扉をノックすれば、今度は内側から招くようにウルフェナイト小公爵が扉を開けました。
(…………あら)
中にはすでに他にもお客様、というよりもジュエリアの家の方がウルフェナイト小公爵以外に2人います。
ジンカイト小伯爵と、スファレライト子爵令嬢ですね。
どちらも第一王子の側近と名高い方たちですし、ジンカイト伯爵家は軍人や王家に忠誠を誓う近衛を多く輩出していることで有名な家ですね。
ジュエリアの中でも、武力系に強い家なので当然かもしれませんが……。
「ごきげんよう、ジンカイト小伯爵、スファレライト子爵令嬢。こちらはわたくしのツインレイであるヴィヴィアナ=オネルヴァ=タンザナイト公爵令嬢ですわ。以後、ヴィアの言葉はわたくしの言葉と思っていただけると嬉しいですわ」
フロリアナの言葉に、一瞬だけ驚いたように私を見た2人ですが、すぐに頭を下げて承諾の意を示しました。
ここでツインレイのことを話すとは思いませんでしたね。
ほら、第一王子なんて驚きすぎて口が開きっぱなしになっていますよ……。かなりまぬけなお顔になっていますけど、大丈夫でしょうか?
……あ、流石にウルフェナイト小公爵がそっと手を添えて口を閉じさせましたね。
でも指摘はしないのですか、そうですか……。まぁ、ウルフェナイト小公爵にとってもさすがに衝撃的な発言ですよね、私がフロリアナのツインレイだなんて。
ともあれ、フロリアナに誘導される形でソファーに並んで座り、第一王子と対面すると、何とも言えない空気をどうにかするために、一度咳払いをしました。
「先ほど、スファレライト子爵令嬢の妹君と、アングレサイト男爵令嬢をこちらにお呼びしましたが、よろしかったですよね」
事後報告ですが、構わないでしょう。
「よろしいですか、タンザナイト公爵令嬢」
「どうぞ、スファレライト子爵令嬢」
私の自己紹介は一方的にされていますが、相手からはまだ名乗られてはいないので、スファレライト子爵令嬢のことは存じているという意味を込めて、私はしっかりと家名を口に出します。
「ジュエリアの子女は他にも参加していましたが、なぜその2人をこちらに?」
もっともな質問に、スファレライト子爵令嬢だけでなく、フロリアナを含めた全員が私を見ます。
特に第一王子の視線は私を探るようなものですが、その程度の視線に怯む私ではありませんので、にっこりと微笑んで答えます。
「一つは、スファレライト子爵令嬢の妹君にフロリアナの将来的な侍女……つまりは、第一王子におけるスファレライト子爵令嬢の立場になっていただくことへの打診。もう一つは……お茶会の間、時折感じていた視線について、アングレサイト男爵令嬢とご相談したかったのです」
私の言葉に、室内に緊張が走りました。
お茶会の会場外から感じた視線。それが悪意あるものであれば、フロリアナを害する目的があったからかもしれないのですから……。
そして、その静寂を破るように、第一王子の居室のドアがノックされ、入室を許可されて登場した2人の表情には緊張こそ浮かんでいるものの、ジュエリアとしての誇りなのか、どこか堂々とした空気があります。
ゆっくりと、けれども品位を感じさせるお手本のような淑女の礼をした2人。
「頭を上げてくれ。……そうだな、2人ともそちらに……」
第一王子が示したのは、私とフロリアナが座っているソファーの横の空間。
入室と近寄らせることは許しても、並んで座ることは許さないという、上位者としての妥協点でしょうか?
ここは私が何かを言う場面ではありませんので、フロリアナを横目で見ますが、特に第一王子の采配に文句はないようですね。
「まず、俺から先に聞きたいことがある」
幾分硬い空気の中、第一王子が尋ねます。
「お茶会で、フロリアナに無礼な態度を取るもの、もっというのであれば取り入って仲を深めようとする不埒者はいたか?」
(………………え?)
今までの緊張した空気を返して欲しいと思えるような第一王子の発言に、発言した当人以外の全員の心の声が一致したような気がします。
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あ、この作品のPVあります。
見ていただけるとヒャッホーーーーーーーーーイって飛び上がった末の感謝の土下座をします(イマジナリーで!)
↓ こちらです。楽曲もオリジナルです!歌詞頑張りました!
https://youtu.be/lGgzV-qP2d4?si=qfMnJDU_K_SPcavB
↓ 曲 2バージョンあります(歌詞は同じです)
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