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前後の脈絡を切る夢の流れにもご注意を

一日目 SHR


~~~~~~


 場面が飛んで、朝のSHR。

 ペガサスに乗って登校した戦いの女神がどうなったかの描写がなく、いきなりSHR。

 教室に四十名くらいいるクラスメイトがいつ登校し終えたかの描写もなく、いきなりSHR。


 戦いの女神と校舎内で会うとかの描写があるのが普通だよね。

 四十名くらいいるクラスメイトが続々と教室に入ってきて、騒がしくなる描写があるのも普通だよね。

 そういう描写があって、そのあとに『待ってましたSHR』といった流れになるのも普通だよね。


 読者の皆さん、ごめん。

 夢を見ている俺が言っちゃお終いなんだけど、夢ってそういうもんだよね?

 前後の脈絡なんて関係なく、場面が飛んでいくのが夢だよね。

 目覚めた後に、夢の中でどうして自分はあんなところであんなことして、かと思ったら、こんなことでこんなことをして……夢って不思議なもんだなぁ、という経験、ありません?

 あっ、安心した。多くの読者の皆さんが頷いてくれて。

 いやはや、本当に夢って不思議ですよね。ええ、本当に。


 というわけで、早く目覚めて仕事を再開したいのだが、目覚める方法を知らないので、目覚めるまでのクラスメイトを見渡してみる。

 知っている顔は俺の後ろの席に座る後輩だけで、牛丼屋の制服を着た女性のクラス担任も、学生服姿のクラスメイトも知らない顔だ。

 でも、昔から知っているような親近感がある。


 クラス担任の年齢は俺と同じくらいだと思うけど、クラスメイトはどう見ても十代後半で、しかも髪の毛フサフサなんだよな。抜け毛組の生徒なのに、髪の毛がフサフサ。


「おっさん!」


 急にまた戦いの女神の声が聞こえた。

 教室を見渡しても、戦いの女神の姿はない。

 あったのは、俺を睨みつけるクラス担任の姿だった。


「おっさん君。SHR中にきょろきょろとしないで。まだ先生の話は終わっていませんよ」


 話なんてしてたっけ?


「すみません。気を付けます」


 腑に落ちないまま、頭を下げるとクラス担任はにっこりと微笑まれ、


「それでは、前々からお話していた転入生をご紹介します。みなさん、拍手でお迎えください」


 初耳の転入生の話を知っていたように感じるのも、夢のせいだね。

 クラスメイト全員がパリピのように歓声を上げながら拍手しているのも、夢のせいだね。

 後ろに振り向いて後輩の様子を見ると、歓声と拍手に参加せず、呑気な顔をしてスマホを操作していた。

 後輩、お前は夢の中でもマイペースだね。


「にゃあ~!」


 気が付くと、黒猫が俺の膝の上に立ち、歓声と拍手に両手を広げて応じていた。

 いや、あの、指の先から出ている爪で俺の顎を引っ掻きそうなんですが。


「転入生の黒猫君です。みなさん、仲良くしてくださいね」


 黒猫、お前がクラスメイトをパリピ化させた転入生だったのか。


「ご主人様、よろしくニャ!」


 黒猫が髭を揺らしながら、俺にそう言った。

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