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30.異世界から最強の剣がきました②



 標準的な冒険者スタイルにワンポイント欲しくて『魔金堂』のばあさんと賭けをする事になった。

 1ヶ月で100万G貯める事が出来たら、100万もする『雷火のマフラー』を50万で売ってくれる事になった。ただし貯められなかったら200万で買わなければならない。


 母さん、ごめんなさい。

 この年で賭け事をすることになってしまい約束を破る愚かな息子を許して下さい。





【1日目】


 一気にお金を稼げる手段がないため取り敢えずはいつも通りに迷宮にて魔物を狩るしかない。階層が上がっていけば出てくる魔物も強くなり、その分の魔石は高く売れる。

 しかし各階のマップはきちんと自分の手で地図にし把握しておきたい。サクサク進めるべきなのだが、隅から隅まで調べておきたい性分がそれを邪魔するのだ。



「隠し通路があって、そこに貴重なお宝でも出ればいいんだけどなぁ…」


 こんな低階層であるわけがない。今まで散々調べられてきておりそんな上手い話はない。



「レアモンスターからレアアイテムがドロップしたりとかしないかなぁ」


 そもそもこんな低階層だとレアモンスターが出てきてレアアイテムをドロップしてもそんな高値で売れるとは思えない。



「どうするかなぁ…」


 王都に行って高額の魔物を狩るのが早い気もするが、そもそも低ランクの俺にはそんな高額依頼受けられる筈もない。移動費も馬鹿にならない。



「ワンダリングでも起きて草薙剣ムラクモで一掃が早そうだけど…」


 そう簡単に起こる筈もなかった。

 この日も6階層を中心に迷宮を進めた。約1万稼いで、宿代と食費で出費が約3千。

 今日の儲けは7千G。




【5日目】


 今日から7階層を攻略していった。出てくる魔物も少し強くなってきた。苦戦はしないがとにかく時間がかかった。1人で倒して1人で魔石を集める…効率が悪かった。しかしパーティメンバーを増やすと効率は上がるかもしれないが取り分が減る可能性もある。ジレンマだ。

 今日で約5万G貯まった。少し頑張った。




【10日目】


 3分の1が経過した。

 頑張って10万Gまで貯めた。活動時間を増やしているが一向に進まないし貯まらない。最近はとにかく疲れる。おまけに睡眠時間も減ってるので効率が下がってる気がする。

 マサさん達は9階層から出てくるオーガ、おまけに10階層のボスモンスターも倒してEランクになったそうだ。




【13日目…】


 最近やたらと独り言が増えてる気がする…起きてダンジョン寝るの繰り返しの生活…他者との会話らしい会話もない。

 あれ?

 俺なんでお金を稼いでるんだっけ?




【15日目】


 朝早くに起きてダンジョンに入り夜遅くに寝る生活にも慣れてきたが、目の下にクマが出来た。だが頑張ったお陰で迷宮8階層に到達し20万Gまで貯める事が出来た。残り半分で目標額の5分の1。無理かもしれないが諦めたくない。




【16日目…】


「やっぱ無理! 死ぬってこんな生活! 俺頑張ったよ! 10才児が半月で20万G稼ぐとかめっちゃ頑張ったよ! でももう限界! 死ぬってこんな生活! こちとら成長期なのにこんな不規則な生活、絶対に体に悪いって! もう嫌だ! 今日はもう寝る!」


 俺は丸一日宿で寝て一歩も外に出なかった。




【17日目】


 少しスッキリした。

 自分でも最近少し情緒がおかしかったと思う。うん、やっぱ無理だな。今の俺にはどうやっても100万は稼げそうもない。なので潔く諦めてゆっくりと200万稼ごうと思う。

 のんびりいこう。



『我が主が負けるとこなど見たくないな』



「え、おま…」


 あれからウンともスンとも言わなかった十握剣が語りかけてきた。草薙剣ムラクモにもならないし、喋りかけてもこなかった。



『とある異世界で最強の剣を呼んでやるぞ』



 いやいいよ。

 草薙剣ムラクモが有っても、一掃出来たところで敵が少なすぎて意味ないし、100万は無理だからもう諦めてる。



『大和世界の草薙剣ムラクモではない。今回呼ぶのは【遊戯世界】で最強と呼ばれた【幸運剣ラッキー】。一振りすれば必ず最高の幸運が訪れるという剣士泣かせの剣だ』



 剣士泣かせ?



『必ず幸運が訪れるのだ。努力や修行、鍛錬しなくていいのだぞ? 剣士として頑張る意味があるか?』



 そういう意味か。

 それはそうだ。必ずいい事が起こるなら人はきっと頑張らなくなるだろう。

 だが、俺は剣士ではない。冒険者です。自分でいうのはアレだけど10才にしては頑張ったつもりなので少しくらい良い事が欲しいです!



『…ならば唱えよ、第七の剣』

「幸運剣ラッキー!」



 十握剣は輝くと、なんとも珍妙な剣へと変わった。柄は細い棒で柄頭には丸い玉…そこだけ見るとまるでレバースイッチみたいだった。鍔は意味が分からないけど777と変なデザインだった。おまけにこの剣、虹色の刀身の上、刃がないのだ。




「変な剣を通り越して、もはや面白いな」


 なんか笑けてきた。俺はその場で一振りしてみた。





「え…!」


 目の前に金色のスライムが現れた。それも2匹。確か金色スライムの魔石は1体で10万Gはする筈…それが2体も。

 ゴクリ…

 これが幸運剣か…やばい…なんだろう…この感覚…なんか脳から変な汁が出てる気分だ…



「動きは…遅い…」


 素早いのかと思ったが動きは普通のスライムと一緒だった。



「えい!」


 俺は幸運剣を金色スライムへと突き刺した。強さも普通のスライムと一緒だった。金色スライムは金色の魔石へと姿を変えた。もう1体も突き刺した。弱すぎる。



「え、嘘でしょ…」


 金色スライムは魔石だけではなかった。アイテムもドロップした。それも2つ。俺はその2つを拾い上げた。




「魔導書と技能書ってドロップするの…?」



 あ、これはダメだ。

 こんな結果ヤバすぎる。

 これはあかんやつやで。

 こんな剣を知ったら人間ダメになってしまう。

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