20.神様にお願いしました
ハルシオンでの市から数ヶ月後、俺とジャンヌは組み手をしていた。今までは剣術ばかりだったのが最近は無手での模擬戦ばかりだ。
師匠曰く、「これから覚えるスキルは最も基本で最も覚えにくいスキルだ」との事。格闘術か身体強化かなと勝手に思ってる。
ルナは市で買った本に『魔法一覧書』があり今は手当たり次第に魔法を唱えて発動できるか試している。色々唱えているが今のところ収穫ゼロみたいだ。
そしてジャンヌは数週間後に、俺は数ヶ月後に身体強化のスキルを覚えた。大人でも覚えるのに数年はかかるスキルだそうだ。きっと師匠の教え方が上手なのだろう。
身体強化のスキルを覚えたから思うのだが、絶対に天駆のスキルの方が難しかった。
因みにだが、ジャンヌはスキルのレベルをめちゃくちゃ上げてる。正直、剣技や体術ではまともにやっても勝てない。
ルナも本を買ってから色々とヤバい実験を自分に試しているそうだ。その結果、どんどん耐性スキルを覚えている。
♢
俺は師匠との修行の合間に、最近はよく耳の長いイケメンおじちゃんの元へ足を運ぶ回数が増えていた。耳の長いイケメンおじちゃんは人族ではなく、『エルフ』と呼ばれる種族らしい。物語だけの種族かと思ったが本当にいたとは驚きだった。確かにちょっと耳が長いな〜とは思っていた。
「ユーマ覚えておけ、獣の中には頭のいい奴もいる。そういった獣を捕獲するためには、二重三重に罠を張るんだ」
「りょーかい、エル師匠」
エル師匠の本名は、エルリエル・エルド・リ・ナトゥリエルといい、エルが沢山あるのでエル師匠と呼ぶ事にしてる。
エル師匠に連れられ俺は今、山の中にいる。エル師匠は息を潜め弓をサッと構えた。無音。エル師匠の弓の腕は超一流。矢の狙う先には当然獲物がいる。エル師匠なら一発で仕留めるだろう。
しかしエル師匠はワザと矢を外した。獲物は慌てて逃げるがその瞬間、事前に仕込んでいた罠にかかった。
「いいかユーマ、もし一撃目を当てられないのなら、せめて獲物が罠の方に逃げる様に打つのだ」
「りょーかい、エル師匠」
「やってみろ」
「りょーかい」
そうして俺は弓術のスキルを覚え、罠師のレベルを上げた。弓術スキルを覚えたお祝いにエル師匠は手作りの弓をプレゼントしてくれた。今の俺にはほんの少し大きいがいずれ丁度よくなるとの事だ。
♢
師匠とエル師匠の他にもう1人俺には師匠がいる。それは鍛冶屋のおじちゃんだ。おじちゃんは背が低く筋骨隆々でめっちゃ髭の生えている。おじちゃんは『ドワーフ』と呼ばれる種族でこれもめっちゃ物語に出てくる種族だった。確かに背が低いな〜とは思っていた。
おじちゃんの本名は『ゴルディ』で、俺はゴル師匠と呼んでいる。
ゴル師匠は相変わらず鍛治の事は教えてくれない。見て覚えようとしたがそれも許してくれなかった。
特に十握剣を見せてからは一層無口になり、相変わらず研ぎ方しか教えてくれない。お陰で研師のスキルが2にあがった。
♢
家ではアルテマとアルマナの子守りをし、いいお兄ちゃんをしている。最近2人は「にぃ」とか「にぃに」とか呼びながらハイハイで近づいてくれる様になった。可愛すぎるぜ2人とも!
わんぱくな2人はハイハイという名のスキルを駆使して家中を荒らしまくる。当然、育児に集中したい母さんの代わりに、料理・掃除・洗濯を手伝っている。
俺は鍛治ではなく家事スキルを覚えてしまった。
♢
そんな皆との楽しい日々も終わりが近づいてきている。俺は…もうすぐ10才になる。もし職業スキルに『冒険者』があれば俺は…この村を出ようと思う。もしなくても出ようと思う。
何故だろう…ずっと物語を読んで育ってきたからだろうか?
俺は英雄になりたい。
勇者や魔王みたいな世界を救うとか世界を壊すとか、そんな人外の存在ではない。異世界転移者とか、そんな雲の上の存在など知らない。
俺は普通の人として、頑張って頑張って頑張り抜いて、そしていつか物語の主人公の様な英雄になりたい。
だから神様…
お願いします…
俺に…
冒険者のスキルを下さい。
次回、新章です
♢
ステータス(鑑定の儀、前)
【名前】
ユーマ
【スキル】
剣術3、速読2、剥取り2、罠師1→2、研師1→2、採掘2、縮地1、天駆1、身体強化1、弓術1
※不明だが何らかの魔術スキル有り
【魔法】
ライジングテンペスト、アイテムボックス【小】
【装備】
十握剣、ナトゥリエルの弓
【収納魔法内】
剥取りナイフ、罠道具、砥石、子供用採掘道具
【名前】
ジャンヌ
【スキル】
剣術4、剛力2、縮地2、天駆2、剥取り1、身体強化1
【装備】
魔剣レス
【名前】
ルナ
【スキル】
聖魔術4、速読3、毒耐性1、麻痺耐性1、混乱耐性1、催眠耐性1
【魔法】
ヒール、キュア、プロテクト、レイ、パワー




