4.経験者故の小波乱
「スキル選択か……うーん……」
『また、画家をメイン職業に選択したため固有スキル《色彩感覚》《画家の勘》を、そして《付与魔術師》をサブ職業に選択したため、固有スキル《付与魔術》《付与魔術師の勘》が自動で取得できますが、どうしましょう?』
「《色彩感覚》ってなんのスキル?」
『絵の具などの色を混ぜ合わせる時に事前にどんな色になるか分かります』
「ああ、助かるわね…」
素直に頷く。彼女は生まれた時からのデジタル絵描き世代。そもそもこの時代に絵の具の混ぜる比率を知っている人の方が少ないだろう。
「取ります」
『承知しました。スキル《色彩感覚》を取得』
ピコン、と通知がなりステータス欄に文字が追加される。
『また、《画家の勘》についての説明もいたしますか?』
「お願い」
『はい。《画家の勘》は絵を描く際の基礎的な感覚を補助し、線の引き方や構図の取り方などを助けるスキルです』
「それイラスト初心者用のスキルよね?」
『はい』
「…いらないわね」
《せやな》
《え》
《ライネが必要だったらもうそれは未知の技術やしな》
『承知しました。《画家の勘》を破棄。代替として《色彩感覚》が進化、《色彩眼》になります』
「何それ???」
『代替措置です。今までに裁縫師、吟遊詩人、建築士など様々な方がこの措置を受けております。』
《こんなんあんのか》
《せやで。吟遊詩人とかだとVsingerの子とかこれ起きてた。画家は初じゃね?》
《待って建築士聞いたことないぞ調べなきゃ》
《おいたわしや検証勢…》
《経験者がクソ強くなる理由》
「《色彩眼》はどんなスキルになるの?」
『スキル《色彩眼》は進化前の能力に加え、色彩に対する認識能力を大幅に向上させる技能です。
肉眼で確認できる色の差異を正確に識別し、対象が持つ色彩情報を読み取ることができます。』
「…具体的には?」
『簡単に説明すると、今まで「なんとなく青い」と認識していたものが、「どうして青く見えるのか」まで分かるようになります。画家、特にイラストレーターの方であればその影響で「世界の色を全てスポイトできる」と表現すれば分かりやすいでしょうか?』
「現実にもほしいんだけどそれ」
『運営にお問い合わせください。実装予定はありません。』
《おい》
《ここゲームだぞ》
《戻ってこい》
《ライネの気持ちは分かる》
「取得お願いします」
『承知しました。スキル《色彩眼》を取得。
《付与魔術師の勘》《付与魔術》の説明は必要ですか?』
「勘スキルは初心者用の補助スキルなのはなんとなく分かったし、付与魔術はさっき説明してもらったから飛ばして。あ、もちろん両方取ります。魔術流石にやったことないし」
『承知しました。スキル《付与魔術師の勘》《付与魔術》取得。これよりスキル選択に移ります』
「そうだった。まだスキル選択してないんだったわね…!」
前途多難である。
スポイトとは: イラストソフトで画面上の色をそのまま取得する機能。
そろそろ街に出ようよ、ライネ




