表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/60

神の庭のティータイムと、人類の選択

食べ終わった皿を下げながら、ウェイターは内心で首を傾げていた。

(この星に危機が迫っているという割には、なんともアットホームな雰囲気だ。女神様は万能なのだから、ご自分でどうにでもできるはずなのに。なぜ、わざわざ人間を介して対処なさるのだろう)

 他の客には聞こえていなかったようだが、ウェイターの耳には、この一団の会話がはっきりと届いていた。いや、女神様があえて彼にだけ聞かせていたのだ。


食器をワゴンに乗せ終え、彼が軽くお辞儀をして去ろうとしたその時、背中越しに鈴を転がすような声が響いた。

「爽やかなウェイター君。確かに私なら、この事態を簡単に幸せな形で収められよう。だが、それではダメなのだ」

 女神様は彼の心を読み、そう告げた。


次の瞬間、レストランの壁と天井が消失した。

 彼らのテーブルとウェイターを残して、周囲には遠くに山脈を望む広大な草原が展開していた。一同は、女神の仕業だと察しつつも驚く様子はない。むしろ、物珍しそうに辺りを見回して面白がっている。

 ユニフォームを着てアメリカンフットボールに熱中する絶滅種のクマたち。ピクニックを楽しむ見たこともない愛らしい動物たち。パントマイムでコントを披露する珍獣。テーブルの周りは、異様なほど賑やかで平和な光景に包まれていた。


「私は人間の子を可愛いと思うことは滅多にない。タキオンとツキノワは千年ぶりに可愛いと思った。私に可愛いと思われたものは、私を見ることができる。そしてそれからまた千年後、赤ん坊だった君を見て、私は可愛いと思ったのだ。……君は私を見るなり、質問攻めだったな。あまりに可愛かったので、神の庭へ連れて行って心で話をしたものだ」


かつての邂逅を思い出したウェイターは、失礼を承知で、ずっと抱いていた疑問を女神様に問いかけた。

「……ならば、なぜご自身でこの星を救わないのですか?」


女神様は、慈愛と厳しさが混ざり合った瞳で彼を見つめた。

「それはな、今、滅びの運命線に乗っている人類が、自ら回避せねばならないからだ。自分の運命は、自分で決めるもの。他人も肉親も、すべてがそうだ。人類の運命を変えられるのは人類だけ。……これは不変の法則なのだよ」


女神様はウェイターに、一筋の光のような言葉を贈った。

「君に女神からの言葉を授けよう。――今日を精一杯に生きた者にのみ、本当の明日が来る」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ