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クラスで一番の美少女が、私の義妹になってから距離がおかしい  作者: 柴咲心桜
第2章 カップル編

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第28話 外での距離

「……まだ?」

リビングから声が飛んでくる。


「あとちょっと!」

鏡の前。

制服じゃない自分を見る。


(……なんでこんな緊張してるの)

ただ出かけるだけ。

それだけなのに、今日に限って、服を決めるのにやたら時間がかかった。


『デート』

昨日、凛花が普通に言った言葉を思い出す。


(いや、だからって意識しすぎでしょ……)

深呼吸。

それから、部屋を出る。


「お待たせ」

リビングに入った瞬間。

凛花がこっちを見る。


「……」


「な、何」

無言。

その視線が落ち着かない。


「似合ってる」


「……っ」

不意打ち。


「そ、そう」


「うん」

それだけ言って、満足そうに笑う。


(ほんと、そういうのさらっと言う……)


「凛花も」


「ん?」


「……似合ってる」

小さく言う。

すると。


「嬉しい」

即答。


「……近い」

気づけば、顔が少し近かった。


「まだ何もしてないけど」


「その距離が近いの!」

くすっと笑う。

絶対楽しんでる。


休日の駅前は、人が多い。

「……すご」


「人苦手?」


「嫌いじゃないけど、疲れる」


「じゃあ手繋ぐ?」


「は?」

さらっと言う。


「迷子防止」


「子供じゃないんだけど」


「でも、お姉ちゃんすぐいなくなりそう」


「ならないって」

そう言いながら歩き出す。


その瞬間。


「っ」

指先に、触れる感覚。


「凛花!?」

いつの間にか、手を握られていた。


「迷子防止」


「絶対違うでしょそれ……!」


「違わないよ?」

平然と言う。

でも。


(近い近い近い)

家とは違う。

外だから、周りには人がいる。

それだけで、変に意識する。


「……離して」


「嫌」

凛花は即答する。


「なんで」


「恋人だから」


「っ……」


最近、その言葉を使えば押し切れると思ってる。

いや。


(実際押し切られてるんだけど……)


「お姉ちゃん」


「何」


「顔赤い」


「うるさい……」

笑う声。

でも、手は離れない。

店を見たり。

クレープを買ったり。

他愛ないことばかり。

なのに。


(……なんか楽しい)

不思議なくらい。

ただ一緒に歩いてるだけなのに。


「ねえ」


「何」


「こっち」

袖を引かれて振り向く。

アクセサリーショップ。

「見るの?」


「ちょっとだけ」

店に入る。

並んだネックレスやリング。

その中で。


「これ」

凛花が、小さなペアリングを手に取る。


「っ」


「な、何見てるの……」


「別に?」

絶対別にじゃない。


「お似合いですね」

突然、店員さんに声をかけられる。


「え」


「ペアリング探してる感じでしたし」


「……っ!」

一気に顔が熱くなる。


「ち、違っ……」

言葉が詰まる。

その横で。


「そうなんです」

凛花は普通に答えた。


「ちょ……!」


「恋人なんで」


「っっ!!」

やめて。

ほんとに。

店員さんは微笑ましそうに笑っている。

もう無理。


「……買わないの?」

店を出た後。


「買わない!」

即答。


「なんで」


「恥ずかしいから!」


「ふーん」

少しだけ、不満そう。

その顔を見て。


「……その」

小さく呟く。


「いつかなら、別に」


「……え」

今度は、凛花が止まる。


「今じゃなくていいけど」

視線を逸らす。


「……そのうちなら」

沈黙。

それから。


「……ほんと、ずるい」

小さく呟かれる。


「何が」


「期待する」


「知らないし……」

くすっと笑う。

そのまま。

また、手を握られる。


今度は、さっきより、少しだけ自然に。

帰り道。

夕方。


「疲れた?」


「ちょっとだけ」


「でも」

少しだけ、笑う。


「楽しかった」

すると、凛花も、少しだけ目を細めた。


「うん」

短い返事。


でも、それだけで十分だった。


人混みの中で繋いだ手は、まだ離れない。


外では少し恥ずかしくて周りも気になる。


普通じゃないって、思う瞬間もある。


でも。


(……隣にいるの、凛花がいい)

そう思ってしまう。

たぶん、それがもう答えなんだと思う。

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