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クラスで一番の美少女が、私の義妹になってから距離がおかしい  作者: 柴咲心桜
第1章 関係形成編

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23/25

第23話 答え

(……なんで、あんなこと言ったの)

昨日のことが、ずっと頭から離れない。

“もう縛らない”

“好きにしていい”

あの言葉。


(……そんなの)

凛花に言われたことを考えながら教室に入る。

室内は静かというか。


(……普通すぎる)

ざわつきも、視線も、いつも通り。

でも、一番違うのは──


「……」

凛花が、来ない。

いつもなら。

当たり前みたいに隣に来て。

距離を詰めてきて。

何かしら言ってくるのに。

今日は、何もない。


「七瀬ー」


「っ」

呼ばれて顔を上げる。

昨日の男子。


「おはよ」


「……おはよ」

普通に、話しかけてくる。

普通に、距離が近い。


(……普通)


「今日さ、放課後――」


「無理」

食い気味で答えていた。


「え?」


「ごめん、無理」

それだけ。


「……そっか」

少しだけ困った顔で、離れていく。


(……違う)

違う。

違うのは、分かってる。


「……はぁ」

小さく息を吐く。


(こんなの、全然落ち着かない)

昨日までの方が、よっぽど――


「……七瀬」


「っ」

聞き慣れた声。

振り向くと凛花がいた。

でも、少しだけ距離がある。


「何」


「プリント」

それだけ言って、差し出される。


「……ありがと」

受け取る。

それで終わり。


(……それだけ?)

何も言ってこない。

距離も、詰めてこない。


「……それだけ?」

気づけば、聞いていた。


「何が」


「いつもみたいにさ」


「何それ」

少しだけ、笑う。


「いつもって?」


「……」

言葉に詰まる。


(……そういうとこだよ)


「別に」

あっさり。


「好きにしていいんでしょ」


「……っ」

それ、自分が言ったこと。

でも。


「……やだ」

気づけば、口に出ていた。


「……え」

凛花が、少しだけ目を見開く。


「やだ、それ」

心臓が、うるさい。

止まらない。


「好きにされるの、やだ」


「……なんで」


「分かんないけど」

でも。


「……嫌」

それだけは、はっきりしてる。

静かになる。

周りの音が、遠い。


「……じゃあ」

凛花が、少しだけ近づいてくる。


「どうしたいの」


「……っ」


逃げられない。

でも。


「……わかんない」

また、それ。


「でも」

一歩、近づく。


「分かってることはある」


「何」


「……一緒にいたい」


「っ」

言った。

言ってしまった。


「他の人じゃ、なんか違って。落ち着かなくて……凛花といるときが、一番」

声が、少しだけ震える。

「……いい」

沈黙。

凛花は、何も言わない。

ただ、見てる。

逃げられない。


「だから」

もう一歩。

距離を詰める。


「……好き、なんだと思う」


「……っ」

やっと、出た。

はっきりした言葉。

心臓が、壊れそうなくらい鳴ってる。


「ちゃんとは、分かんないけど。でも……凛花がいい」

それだけ言い切る。

長い、沈黙。

それから。


「……遅い」

ぽつりと、凛花が呟く。


「は?」


「もっと早く言ってよ」

少しだけ、拗ねた声。

でも。

次の瞬間。

ぐっと、距離が詰まる。


「っ」


「逃げないでって言ったのに」


「逃げてないし」


「逃げてた」

即答。


「でも」

少しだけ、笑う。


「ちゃんと来たから、許す」


「何それ……」

呆れた声が出る。

でも、嫌じゃない。

むしろ。


「……ほんとに、もう」

小さく呟く。

そのまま。

凛花が、さらに一歩近づいてくる。


「じゃあ」

すぐ近くで。


「もう、私のものでいいよね」


「……は?」

最後まで、それ。


「冗談」

くすっと笑う。

でも。


「半分くらいは本気」


「どっちだよ……」

呆れながら。

でも。


「……いいよ」

小さく、答える。


「っ」

今度は、凛花が一瞬止まる。


「……何それ」


「分かんないけど」

少しだけ、笑う。


「そうしたいって思ったから」

沈黙。

それから。


「……ほんと、ずるい」

小さく呟いて。

そのまま「好き」と耳元で、ささやかれた。


「……っ」

何も言えない。

ただ、心臓の音だけが、やけに大きかった。

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