表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスで一番の美少女が、私の義妹になってから距離がおかしい  作者: 柴咲心桜
第1章 関係形成編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/25

第12話 守られない約束

玄関のドアを閉めた瞬間、私は大きく息を吐いた。


「……はぁ」

ようやく、気が抜ける。


学校ではずっと張り詰めていたせいか、肩が重い。


靴を脱いで、リビングの方へ向かおうとした、その時だった。


「おかえり、お姉ちゃん」


「っ!?」

反射的に振り向く。


そこにいたのは、当然だけど───凛花。


家の中だというのに、制服のまま、当たり前みたいな顔で立っている。


「ちょっと……!」

私は慌てて距離を詰めて、小声で抗議する。


「学校でああいうことするのやめてって言ったよね!?」


「“話しかけるな”とは言われたけど、“お姉ちゃんって呼ぶな”とは言われてないよ?」

さらっと、とんでもないことを言う。


「そういう問題じゃないから!」

声が大きくなりかけて、慌てて抑える。


……誰に聞かれるか分からない。


「バレたらどうするの……」


「別に、バレてもいいけど?」


「よくない!」

即答だった。

凛花は、少しだけ楽しそうに目を細める。


「お姉ちゃん、必死だね」


「……っ」

完全にからかわれている。


「私は普通にしてるだけだよ?」


「どこが!?」

耳元で“お姉ちゃん”なんて囁いておいて、それは無理がある。


「だって、本当のことだし」


「それは……そうだけど……!」

言い返せないのが悔しい。


血は繋がっていないとはいえ、戸籍上はもう家族だ。


「でも、学校ではダメ。絶対ダメだから」

念を押すように言うと、凛花は少しだけ首を傾げた。


「……じゃあ、家ではいいの?」


「え」

一瞬、言葉に詰まる。

家ではいいのかって、そんなの───


「それは……」

視線を逸らす。

はっきり否定できない自分がいる。

凛花はそれを見逃さなかった。


「ふーん」

にやり、と小さく笑う。


「じゃあ、家ではいいんだ」


「ち、違っ……!」

否定しようとした、その瞬間。


「お姉ちゃん」

まただ。


さっきよりも近い距離で、自然に呼ばれる。

今度は逃げ場もない。


「……っ」

顔が熱くなるのが、自分でも分かる。


「ほら、やっぱり」


「な、何が……」


「嫌じゃない顔してる」


「してない!」


即否定。

でも、声が少しだけ揺れてしまった。

凛花は満足そうに頷くと、くるりと背を向ける。


「ご飯できてるよ、お姉ちゃん」

最後まで、その呼び方をやめないまま。


「……ほんとに、もう……」

小さく呟く。

でも───

完全に嫌だとは、言い切れない自分がいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ