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【キセイシリーズ】国のクソ制度で解雇された薬師の華麗なる辺境ワークをとくと見よ!  作者: mizuchi_0307
第二章 上手い話は作るべし!

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第20話 イオタの暴剣って物騒な二つ名よね

 ヴィエラはちらりとバルガンを見ると、少し不思議そうな顔をしながらゆったりと彼に話しかけた。


「あら、懐かしい名前ね。でもそれ、もう五年以上前の話だし、恥ずかしいからやめてくれる? あと、その制服、ちょっと変わってるけど、この街のお役人さんでしょ? 人の家に土足で踏み込んでる泥棒を捕まえなくていいの?」


「噂にたがわず自分勝手な言い分ばかり押し付けてくるな……あんただって大して違わないんじゃないか……?」


 バルガンがちらりとあたしを見る。ええ、そうね……呼んでもないのにきて土足で入ったっていう部分で言うならその通り……助けられたけど。


「まあ、でも助けてくれたわけだし。それはそうとバルガン! こんな物件だなんて聞いてないわよ! 法律上問題ないで通していいような案件じゃないでしょ!」


「そりゃ、そうなんだけど、俺にも立場ってのがな……と、とりあえず。こいつら……気絶してるだけだな。流石だぜ……」


 バルガンは一人一人野盗の状態を確認し、手錠を掛けていく。よく見ると、壁はきしんだ音こそしたものの、壊れてないし、土だらけになった床に血は殆ど落ちてない。そういえば、オリエラも拳で対応していたから、殴打の痕はそこら中にあるけど、血が出るような傷は見当たらない。……え? オリエラもヴィエラもそこまで計算して戦ってたってこと? あんた達の所属してる冒険者ギルドって、もしかして荒事専門だったりするわけ?


「しかし、暴剣様は隣国の人間だったはずだし、入国記録もなかった気がするんだがな……? なんだってこんなところにいるんだ?」


 あ、まずい。その話はあたしも経緯は聞いたけど事情は聞いてないから答えられないのよ! ごめん、バルガン! これについてはあたしが取れる行動ってこれだけなのよ!


「ほら、サッサと片付けて帰ってよ! あたしは、ヴィエラに話があるの! あんたとは明日話すでしょ? だから明日きちんと話すわ!」


「あら、私のことを優先してくれるの? 嬉しいわ」


「あんたにとって嬉しい話じゃないからね!? バルガン! ヴィエラのことは他言無用! あたしが何とかするから、あたしを信じて!」


 そう言いながらあたしは魔素粉末の蓋をしっかりと閉め、飲用中和剤もしまう。正直、これ使って戦ったとしても、ここまで綺麗に野盗を倒せたかわからなかったし、何より、これ飲むと数日は人に支えてもらわないとまともに動けなくなるから使いたくなかったのよね……しばらくは製薬業務にかかりっきりになるつもりだったとはいえ、助かったわ。

 気づけばオリエラが野盗達を丁寧に縄で縛って拘束し始めていた。


「バルガン様。縄はこの程度でよろしいでしょうか?」


「なんであんた、そんなに縄の取り扱い上手いんだ……? まあ、いいか。流石に縄なんて持ってきてないしな。まとめて連れていくのにちょうどいいから貸しといてくれや。で、シルバーナ。お前さんの言葉は信じてるからな。話せる限りでいいから明日話を聞かせてくれや」


 しばらくして。オリエラが野盗十人全員に綺麗に縄をかけ終わり、バルガンに引き渡した。バルガンは野盗達を連れて、拠点の外へと出ていった。その様子を見送ってからオリエラが一言言った。


「さて、扉を修復しなくては」


 思わずクスリと笑う。あんた、この状況で最初にやること、扉の修繕なの? ふと見ると、ヴィエラもオリエラを見て笑っていた。


「それで、私にお話って何かしら。シルバーナ」


 オリエラが扉の修繕をしている中、改めてヴィエラと向き合って話すことになったあたし。近い。距離が近い。


「そんなに近づかなくても話せるから! というか、あんた、最初あたしを遠ざけようとしてたでしょ! 昨日の今日で心変わりは大分やばいんだからね! 薬はまだ開発に取り掛かる前段階なんだから、もう薬はいりません! なんて状態まで悪化されるのは困るんだけど!」


「いえ、依頼はそのままで。今は冗談ということにして、制御はしていられるけれど、冗談じゃなくなる日が割と近そうだなとは思ってるの。流石に、笑えないわ」


 ……何よ。まともに話せるんじゃない……あんた、どこまで冗談なのかわかんないタイプね? うっわ、面倒だわ……もしかして、それでやらかしまくって『イオタの暴剣』? ありそう……


「オリエラ。あの人からの許可は出てる?」


 そのヴィエラの一言に、少し嬉しそうな表情を見せるオリエラ。……? オリエラの命令優先基準って実は主人よりヴィエラの方が上だったりする? まあ、話を聞く限りはヴィエラに優先権があってもおかしくはないか。


「いえ、まだ返信はございません。しかし……わたくし独自の判断では、話すべきだと考えております。もちろん、貴方が伏せたい事……メリッサとテリッサについては、まだ伏せていてもよいと思います。話すべきは、貴方の症状……この世界を滅亡させかねないモノの話だけで良いかと」


「そうね……そもそも、それを多くの人に伏せる理由が『混乱を招くから』というのは私も納得はしていなかったの。シルバーナになら、話してもいいわね」


「シルバーナは信用するに値する人物ではあると思います。しかし、ヴィエラ。貴方がそう判断する理由がまったくもって理解ができません。どう考えても症状のせいです。これ込みでお話させてください。シルバーナもよろしいでしょうか?」


 この世界を滅亡させかねない、モノ? 何よそれ……あたしはただ、この場所に拠点作ってのんびり冒険者ライフを送りたかっただけなのに、なんでそんな大げさなものの正体を知る必要が出てきちゃうわけ!?


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