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Private Detective Satomi  作者: 坂上聡美
9.いじめ

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2.復讐

 聡美は、磯貝の以前の経歴を調べていた。

 亡くなった高校を赴任する前の学校で話を聞いている。

「磯貝先生ですか。懐かしいですね。彼は五年前に他の高校に移動しましてね。元気におやりになられてますか?」

「それが、つい先日、屋上から転落して亡くなりまして」

「な、亡くなった!?」

 驚き戸惑う校長先生。

「それで、詳細を調べてるんですが、磯貝先生が担当したクラスで、何か問題が起きたことがあるか、もしくは恨みを買うようなことがあれば、教えていただきたいのですが……」

「うーん……。あ! そういえば」

 校長先生が何かを思い出した。

「磯貝先生が移動する半年前に、担当のクラスで自殺があったんですよ」

「自殺、ですか?」

「はい。加害者はわかってないんですけど、いじめを苦に自殺されましてね。警察を交えて生徒に聞き取りをしたんですけど、これといって収穫はなく」

「その自殺された方のお名前と連絡先を教えていただけますか?」

「それでしたら、事務室に行ってみて下さい」

 聡美は会釈をすると、事務室に移動した。

「何でしょうか?」

「磯貝先生が担当したクラスで自殺があったと校長先生に伺いました」

「はあ……、それで?」

「その自殺された生徒の名前と連絡先を知りたいのですが……」

「あなたは一体?」

「実は、磯貝先生が先日亡くなりまして、それでちょっと調べてるんです」

「警察の方、には見えませんね。そういうことは、個人情報ですし、お断りさせていただきたいのですが……」

(仕方ない)

 聡美は探偵手帳を取り出した。

「た、探偵?」

「はい」

「失礼いたしました」

 事務員が自殺した生徒の個人情報が書かれた資料を用意した。

「こちらになります」

「お預かりします」

 聡美は資料を受け取った。

「それでは」

 聡美は自殺した生徒の家を訪ねたが、しかし、表札には違う名前が書かれていた。

 インターホンを押し、スピーカー越しに訊ねる。

「以前、こちらにお住まいだった、岩崎さんについて訊ねたいのですが、何か知りませんか?」

「岩崎は私の旧姓ですけど、どういったことですか?」

「自殺されたお子さんについてです」

「ちょっと待ってて下さい」

 通信が切れ、ドアが開いた。

 五十代くらいの女性が出てくる。

「どうぞ」

 女性に中へ促される。

「そちらに」

 リビングへ通された聡美は、ソファに腰掛けた。

「どういうことでしょうか?」

「自殺された息子さんについてです。息子さんのクラスを担当した磯貝先生が亡くなりまして、何か関連があるのではないかと思って調べてるんです」

「警察の方ですか?」

「いえ、探偵です」

「探偵?」

「磯貝先生は新しい赴任先の高校で屋上から転落死をしてます。ここへ来る前に警察で聞いたのですが、息子さんも当時、高校の屋上から飛び降りてますね」

「もしかして、私がその磯貝先生を殺したと? 何をご冗談を」

「いえ、まだ犯人はわかってないんです」

「そ、そうでしたか」

「息子さんにご兄弟は?」

「下に女の子が一人。ただ、私は産んでなくて、主人の連れ子なんです」

「連れ子?」

「はい。私、再婚なんです。亡くなった息子は私と前夫(ぜんぷ)の間にできた子で」

「前の夫はどちらに?」

「死別したんです。息子が高校生になった春に」

「そうでしたか」

「それから半年でしょうか。今の夫と再婚して。息子は娘を本当の妹のように可愛がってくれてたわ」

「そうですか! ちなみに、今、その妹さんはどちらの学校に?」

「芽衣(めい)は都内にある白水(しろうず)高校に通ってます」

 それは、磯貝の赴任先だった。

「芽衣さんはいつも何時頃に?」

「八時過ぎですね。あの子、アルバイトしてるから」

「どこでやってるんですか?」

「近所のコンビニです。もしかして、あの子を疑ってるの?」

「疑わざるを得ないんです」

「そう……」

「どちらのコンビニですか?」

「イレブンセブンです」

「どうもありがとう」

 岩崎の家を飛び出し、コンビニへ向かう聡美。

「いらっしゃ……っ!?」

 挨拶しようとして、聡美の顔を見て驚く店員。

 胸には矢島と書かれたバッチがしてある。

「矢島 芽衣さん、ですね?」

「え、ええ……」

「磯貝先生のことでお聞きしたいのですが、あなたは磯貝先生が亡くなった時、どちらにいましたか?」

「どうだったかな。覚えてないです」

「そういえば、以前、磯貝先生が担当してた学校のクラスで自殺がありましたね。確か、岩崎 薫という、あなたのお兄さんでは?」

「お兄ちゃんのことを思い出すと、今でも悲しいです」

「今回、亡くなった磯貝先生ですが、何か恨みを買っていたのでしょうか?」

「さ、さあ? 私にはさっぱり」

「そういえば、白水で聞き込みしてる時に生徒に聞いたのですが、磯貝先生はある生徒と恋仲になっていたそうです」

「そうなんですか?」

「はい。そして、その生徒が殺した可能性が高いです」

「動機はわかってるんですか?」

「薫くんを自殺に追い込んだからですよ」

「え?」

「そうなんでしょ? 磯貝先生を殺害した、矢島 芽衣さん」

「わ、私が?」

「あなたは磯貝先生と恋仲になり、薫くんの情報を引き出し、殺害したんです。その殺害に至った情報とは、薫くんを磯貝先生がいじめていたという情報……。そうなんでしょ、矢島 芽衣さん?」

「ど、どうして知ってるのよ! 誰にも言ってないのよ!」

「やはり、そうでしたか。憶測に過ぎなかったのですが、図星でしたか」

「カマをかけたのね?」

「ええ。さて、今回の犯行は、磯貝先生が以前務めていた学校で、薫くんをいじめて自殺に追い込んだことが原因で、間違いないですね?」

「……はい」

「殺人罪で警察署に連行します」

 聡美は芽衣を警察署に動向させた。

 その後、警察で取り調べが行われ、芽衣は殺人罪で送検、起訴されたという。


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