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Private Detective Satomi  作者: 坂上聡美
9.いじめ

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1.学校

 ─五年前─

 都内某所で、一人の男子高校生が、学校でのいじめを苦に自殺した。

 死亡したのは、岩崎(いわさき) 薫(かおる)。岩崎財閥の跡取りとも言われていた成績のいい少年だ。

 いじめの加害者は分かっていない。

 学校側は生徒に聞き取り調査をしたが、解明には至らなかったという。

 そして、月日が流れ……。



 都内の公立高校で教師が屋上から転落死をした。

 その教師の遺族が、聡美に事件を調べるよう依頼しに事務所までやって来た。

 聡美は依頼を引き受け、現場である高校に足を運んだ。

 事件当時、警察が捜査し、事故死として処理していたが、しかし、遺族は納得がいかなかったようだ。

(ここが転落現場……)

 聡美は遺体が倒れていた地点に立っていた。

 上を見上げる。

 五階建ての新しい校舎だ。その屋上から落ちたら一溜まりもない。

 聡美は屋上に上ってみた。

(高!)

 聡美は地上を見下ろしてめまいがした。

(ここから落ちたら一溜まりもないね)

 聡美は屋内に移動する。

 職員室を訪問し、手帳を提示して聞き込みを行った。

 聞き込みによると、亡くなった教師の磯貝(いそがい) 光太郎(こうたろう)は、男女誰に対しても優しく、信頼の厚い教師であることがわかった。

 他殺だと仮定すると、殺される理由がわからない。

「これまで磯貝さんについて、他殺の前提で話をしましたが、自殺の線で考えてみようと思うんですが、自殺するような動機というようなものはあると思われますか?」

「さあ、どうでしょう? 彼、特に悩んでることもなかったので、わかり兼ねますね」

「そうですか……」

 聡美は、「何かあればまた来ます」と、残して高校を後にした。

 そして、所轄の渋谷警察署に向かう。

 渋谷警察署の資料課で捜査記録を確認する。

 特に引っかかる点は見受けられない。

 そこへ、精悍な顔立ちをした男性が入ってくる。

「ん?」

 目が合う聡美と男性。

「君はここの職員かな。見たことないけど」

「いえ、私は探偵ですよ」

「探偵?」

「はい。坂上です」

「あなたが坂上さんなんですか?」

「あなたの方こそ何者ですか?」

「この間、電話してた小坂です」

「え、あなたが小坂刑事?」

「ええ。坂上さんはどういったことでここに?」

「ちょっとこれをね」

 聡美は捜査記録を見せた。

「ああ、それなら応援で僕も担当しました」

「そうですか。……事故で処理なされたんですよね?」

「ええ、自他殺の怪しい点がなかったので」

「確かに、事件ファイルを見ても引っかかるところはないですね」

「高校へは聞き込みは?」

「しましたが、これといって手応えは。やはり事故でしょうかね」

 その頃、渋谷警察署の外では。

(何人たりとも私にはたどり着けない。例え検挙率ナンバーワンの探偵でもね)

 怪しい人物が、警察署を眺めていた。


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