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Private Detective Satomi  作者: 坂上聡美
8.東京警察病院殺人事件

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2.木島への嫌疑

 聡美は病院内で聞き込みをしていた。

 だが、特にこれといって収穫はなかった。

「聡美!」

 木島警部がやってきた。

「義人くん」

「そっちはどうだ?」

「収穫なしよ」

「こっちもだ。屋上の人影はお前の見間違いで、自殺だったんじゃないか?」

「いや、自殺じゃないわ。遺書は見つかったの?」

「遺書か」

 木島警部は考え込む。

「ところで、亡くなった方の身元は?」

「あ? ああ……中島(なかじま) 幸雄(ゆきお)、35歳。会社員だよ」

「入院患者なの?」

「いや。言いにくいんだが、美琴くんのお見舞いに来ていたみたいだ。来院記録にあった」

「用事ができた」

 聡美は美琴の元に戻った。

「美琴、中島 幸雄って知ってる?」

「幸雄? 彼がどうしたの?」

「知ってるのね。何者か答えて」

「私が引き取られた家の人。法律上は兄」

「お兄さん?」

「仲は悪かったけどね」

「殺してないよね?」

「まさか。私にはアリバイがあるじゃん。それはお姉ちゃんが証明してるでしょ?」

「そ、そうだったわね」

「お姉ちゃん、私のこと疑ってる? 疑ってるなら証拠を持って来てね」

「そんなまさか?」

(美琴が犯人?)

 聡美は考え込んだ。

(美琴が犯人として、一体どうやって?)

 聡美はもう一度屋上へ向かった。

(さっきは義人くんと会ってよく調べてなかったけど……)

 聡美は縁を調べた。

 縁には何かが擦れたあとがある。

(これは?)

 足跡だった。恐らくここから落とされたのだろう。

「ん?」

 聡美はバッチを見つけた。

(これって……)

 警視庁本部の捜査一課の刑事がつけているバッチだった。

(警察の人間? いや、まさかね)

 そこへ、木島警部がやってくる。

「ここか?」

「どうしたの?」

「さっきバッチを落としたみたいなんだ」

(義人くんが犯人?)

「どこで落としたかわからなくて。聡美と別れるまでは付いてたんだけど」

 聡美はバッチを取り出した。

「ああ、それだ!」

 バッチを受け取ると、木島警部は胸につけた。

「ところで、こんなところで何を?」

「ああ。落下時の状況を分析しようと思ってね」

「それで、何か進展は?」

「やっぱり落とされたようよ」

「そうか……」

あ──木島警部が思い出したように口を開く。「犯人じゃないからな」

「それならいいのだけど。私もあなたのことは逮捕したくないし」

それじゃ──と、聡美は屋上を後にした。

「さて……」

 聡美は院内の携帯使用許可スペースに移動した。

 警視庁にかける。

「はい、警視庁本部です」

「捜査一課お願いします」

「お名前を伺ってもよろしいですか?」

「はい。坂上と申します」

「おつなぎします」

 一瞬、間が空き、相手が変わる。

「捜査一課の小坂と申します」

「そちらに本日付で木島 義人さんという、階級が警部の刑事が移動になってるようですが?」

「いいえ。そのような話は伺ってないですね」

「左様でございますか」

「あの、どのようなことでお電話されたんですか?」

「確認の電話です」

「失礼ですが、あなたの職業は?」

「探偵ですよ」

「探偵? 名前は?」

「坂上 聡美」

「ああ! あなた、あの有名な!? 私、本部捜査一課警部の小坂です」

「小坂さんですね。いずれお会いしたいですね」

「そうですね」

「ところで、東京警察病院で事件が起きたのですが、お話は伺ってますか?」

「いいえ。所轄の担当でしょ?」

「そうですか。……あ、そうだ。新宿署捜査一課の木島 義人警部を調べてもらえませんか?」

「木島 義人、ですね?」

「はい」

「わかりました。ちょっとつついてみます」

 電話をしまうと、院内放送が流れた。

「坂上 聡美様、会計までお越し下さい」

 聡美は会計に急いだ。

「坂上です」

「坂上様ですね」

 会計職員が明細表を出す。

「う!」

 支払総額を見て驚く聡美。

「これ、安くならない?」

「ならないですね」

「カード使えます?」

「はい」

 聡美はクレジットカードを提示した。

「お支払いは一括でよろしいでしょうか?」

「分割で」

「何分割にしますか?」

「最高で」

「36回払いになります」

「それでお願いします」

「わかりました」

 職員が機械にカードを通した。

 聡美はカードを受け取ると財布にしまった。


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