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Private Detective Satomi  作者: 坂上聡美
8.東京警察病院殺人事件

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1.病院

 聡美は東京警察病院へ美琴の退院手続きをしに来ていた。

 手続きから清算までしらばく時間がかかるため、聡美は美琴の病室を訪ねた。

「あ、お姉ちゃん」

「元気そうだね」

 その時、美琴の背後の窓の外で、何かが落下した。

「あ?」

 聡美は窓に近づいた。

「下が見えそうで見えない……」

「何かあったの?」

「何かが落下したのが見えたからさ」

「人?」

「そんなまさか?」

 しかし、そう思って、聡美は表に回った。

 人だかりができている。

「何かありました?」

 野次馬に訊ねると、「人が屋上から落ちてきたらしいのよ」と。

「え?」

 人混みをかき分けて奥へと進む聡美。

「ちょっと失礼」

 奥へやってくると、確かに人が倒れていた。

「みなさん、下がって下さい!」

 聡美は野次馬たちに探偵手帳を提示しつつ、屋上を見上げた。

「ん?」

 人影のようなものが動いた。

(誰かいる?)

 騒ぎを聞きつけた病院の職員がやってくる。

 職員が遺体を調べる聡美に訊ねた。

「何してるんですか?」

 聡美は手帳を提示した。

「探偵?」

「はい。マル害……あ、いや、被害者の生死を確認して欲しいのですが」

 職員が被害者の眼球に懐中電灯の光を当てた。

 瞳孔は開いている。

「お亡くなりのようです」

「ドクター、すぐに警察へ連絡を。私は屋上の様子を見てきます」

「わかりました」

 聡美は屋上へ向かった。

(被害者はここから落ちたのか)

 聡美は縁(へり)を確認する。

 パトカーのサイレンが聞こえてきた。

 サイレンは病院の前で止まり、警視庁の捜査員がやってきた。

「また君か」

 と木島警部。

「義人くん? なんで?」

「本日付で本店勤務になったんだ」

「移動になったんだ?」

「ああ。で、今回も他殺なのか?」

「自殺の線は低いだろうね」

「どういうことだ?」

「遺体を確認した時、屋上で人影のようなものを見たのよ」

「そうか。じゃ、殺しの線でも動いてみるよ」

「私は私で調査するわね」

「気をつけろよ」

 聡美は屋内にある美琴の部屋に戻った。

「パトカーが来たみたいだけど?」

「事件」

「そうなんだ。物騒な世の中になったね」

「ここ最近、犯罪の件数が増えてる気がするわ。ま……警察とかの犯人検挙率もトータルで上がってるけどね」

「検挙率ってどのくらいなの?」

「96.8%よ。殺人はほとんど逮捕されてるわ」

「へえ、そうなんだ?」

「だから変な真似はしてもらいたくないわ」

「で?」

「え?」

「事件の犯人」

「まだわからないわ」

「調べるんでしょう?」

「だけど、退院手続きが」

「調べたいんでしょう?」

「うん、まあ」

「じゃあ、行ってきてよ。私のことは後回しでいいから」

「うん、じゃあそうするね」

 聡美は病室を出た。


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