2.ブアメードの血
(今更、何もないとは思うけど……)
聡美は公園を見て回る。
特にめぼしいものはない。
「ん?」
聡美は茂みの中にバッチのようなものを見付けた。
(これは……)
見覚えがあった。
これは、三日ほど前にテレビで見た、刑事ドラマに出て来る登場人物がつけていたバッチだ。
その番組は、暗示で人が殺せるかどうか、と言うテーマだった。
劇中では、被験者が亡くなり、刑事が殺害方法を解き明かしていた。
そのドラマの被験者の顔は覚えていない。
聡美は京都の西映と言う映画制作会社へ向かう。
入り口で、警備員に呼び止められる。
「一般の方の入場はお断りさせていただいてます」
聡美は探偵手帳を提示した。
「探偵?」
「先日、遺体が発見された公園の茂みにこれが落ちてまして、何か関係があるのかと思って来てみたのですが……」
聡美はバッチを見せた。
「ああ、これはバディのゲストがつけていたバッチですね。私も見てますよ、バディは」
「そのバディのゲストの方の連絡先とかってわかりますか?」
「それなら、撮影スタッフに聞いてみてはどうでしょうか?」
聡美は入場した。
バディの制作現場へ向かう。
「なんだ、あんた? ここは一般の人が立ち入っていい場所じゃないぞ」
聡美は探偵手帳を提示した。
「探偵!?」
「あの、これをつけていたバディのゲストの方の連絡先を教えていただきたいのですが……」
「わかりました。少々お待ち下さい」
スタッフが連絡先の書かれたメモを用意する。
「ありがとうございます」
聡美はメモを受け取り、その住所に向かう。
ピンポン──と、インターホンを鳴らすと、男性が出て来た。
「……誰?」
「福田 紀夫さんの件でお話があります」
「ふ、福田!?」
驚き戸惑う男性。
「あ、いや……どう言うご用件でしょう?」
「福田さんのお知り合いでしたか」
「そ、そんなやつ知らない」
「福田さんは亡くなったのですがね、遺体の発見現場にこれが落ちていたんですよ」
聡美はバッチを見せた。
「それは、無くなったと思ってたんだけど、あなたが見付けてくれたんですね?」
バッチに手を伸ばす男性だが、聡美はその腕を躱した。
「これは重要な証拠品です」
「どう言うことでしょうか?」
「福田さんは傷一つない状態で亡くなっていました。さて、どう言うことでしょう?」
「病死か何か?」
「いいえ、違います。私は暗示で殺されたのだと思っています」
「そんなバカな? 俺がその暗示で殺したとでも? 仮に殺したとして、俺は罪に問われるのですか?」
「因果関係が認められれば、問うことはできますが、現状はできませんね」
男性は崩れた。
「ほんの遊び感覚だったんだ。バディで再現した暗示殺人、福田とやってみようぜって話になって。だけど、まさか本当に死んでしまうなんて……」
「遺体を遺棄したのはあなたですか?」
「……はい」
「死体遺棄の容疑で逮捕します」
聡美は男性に手錠をかけ、京都府警に身柄を預けた。




