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星海のストライヴガールズ!Reboot  作者: エミール藤峰
出会い編!

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第9話「学園長の挨拶!マナの暴走!」

 いよいよ、入学式の始まりだ。

 学園長のジュリアンさんが、壇上に上がる。

 講堂に集まっているわたしたちを見渡すジュリアンさん。

 あれ? いま、わたしのことを見た?

 ほんの一瞬だったけど、ジュリアンさんが視線を流すのを止めて、ジッとわたしだけを見つめた気がした。

 気のせいかな?

 これって、自意識過剰ってやつ?

「ねぇ! いま、ジュリアンさんが私のことを見たわ! あのジュリアンさんが、私のことを見たのよ!」

 小声だけど興奮した様子で言うアンジェちゃん。

「そ、そうなの? よかったね」

 なんだ……わたしじゃなくてアンジェちゃんを見てたのか。

 や、アンジェちゃんの気のせいの可能性もあるけど。

「…………!」

 舞台袖に待機してるロゼッタ先輩が、わたしたちのおしゃべりに気づいた。

 ロゼッタ先輩は、自分の口元に人差し指を寄せて首を横に振ってる。

 お喋りはしちゃダメって注意されちゃった。

「……こほん」

 ジュリアンさんが、小さく咳ばらいをする。

 挨拶が始まるんだ。

「皆さん、わたくしが今期のストライヴ・リード学園の学園長を務めさせていただくジュリアンです。よろしくお願いいたします」

 凛とした声が、講堂に響き渡る。

 なんてことのない挨拶なのに、声の音色から威厳みたいなのを感じるよ。

「さて――」

 話を続けようとしたジュリアンさんだったけど、

『ここで、学園長であらせられるジュリアンさんについてご紹介させていただきます』

 マナの放送が被さってきた。

 ジュリアンさんも、虚を突かれたらしい。

 ちょっぴり、目を見開いてる。

『ジュリアンさんは、ブレイヴ史上最強の世代と言われるイサジュリ世代の代表として、その時代を牽引したおひとりです。皆さんも、ご存じでしょう。いや、ご存じじゃないと困ります。ジュリアンさんこそ、ライバルであるイサミさんと並び称されたスーパーブレイヴそのひとなのです』

 マナが、淡々と……だけど、声には力を込めてジュリアンさんの紹介をしてる。

「ご紹介ありがとうございます。さて――」

 ジュリアンさんが、マナの話が途切れたのを機に話し始めた。

 だけど……。

『そのバトルスタイルは、冷静でありながら勇猛果敢。他の追随を許さぬほどの槍さばきと圧倒的な雷撃をもって勇名を馳せました。そして、その強さを称え、人々から呼ばれた二つ名が――雷帝。まさに、星の数ほど存在するブレイヴの頂点に立つ皇帝なのです』

 ……マナの話が止まらない。

 ……これ、まずいよ。

 ……話し出したら止まらないやつだ。

『皆さん、スーパーブレイヴの名に相応しい偉大なる勇者ジュリアンさんに、敬意を込めて盛大なる拍手をお願いします』

 え? は、拍手……?

 ぱちぱちぱち――!

 アンジェちゃんは、キラキラに輝く笑顔で拍手を始めた。

 ジュリアンさんのファンだから、心から拍手してるに違いない。

 ぱちぱち――!

 周りのみんなも、きょろきょろと動揺しながらも拍手を始めた。

 わ、わたしもやらなきゃ……!

 ぱちぱち――!

「ありがとう。どうも、ありがとう。温かい拍手に、わたくしは感激しています」

 そう言いながらも、ジュリアンさんは困り顔だった。

 ロゼッタ先輩やセイラ先輩も、舞台袖で、どうしようかって様子で話をしてる。

「では、挨拶を続けさせ――」

 二度あることは三度ある。

『さて、ここでジュリアンさんの武勇伝をひとつご紹介させていただきます』

 また、マナの放送が被った。

 ここまで来ると、もうジュリアンさんの挨拶じゃなくてマナの解説コーナーだ。

「…………」

 ジュリアンさんが、眉間を押さえてる。

 後ろに控えていた教員のお姉さんたちが、舞台袖のロゼッタ先輩たちに目配せしてる。

 それを見たロゼッタ先輩とセイラ先輩が、ダッシュで駆け出した。

『これは、約14年前のお話です。スペリオル杯への出場を控えていたジュリアンさんは、調整の最後の仕上げのためにライバルであり親友であるイサミさんと、モッコス星へと――』

 延々と続きそうなマナの放送。

 だけど、放送中に「ばたん!」と乱暴に扉を開ける音と足音が紛れてきた。

『こら! もう、いい加減にしないか!』

『学園長が、ご挨拶できないわ!』

 セイラ先輩とロゼッタ先輩の声だ。

 放送に乗ってふたりの声が聞こえてきた。

『やめてください! まだ、話の途中なんです!』

『そっちこそ、やめるんだ! 式の段取りと違うぞ!』

『ですが、これは伝えなければいけないことなんです!』

 がた~~ん――! ごと~~ん――!

 放送を流してるスピーカーから、揉み合う音が聞こえてくる。

 ……どうしよ。

 わたしも、行くべきかな。

 行ったところで、マナを説得できる保証なんてないけど。

『セイラ! とにかく、音声を切るのよ!』

『心得た!』

『なにするんですか! まだ、話は――』

 ブツっと、放送の音声が切れた。

 講堂の中が、ざわざわとしている。

「あんたの友だち、やらかしたわね」

 アンジェちゃんが、苦笑してる。

「…………マナったら」

 わたしがやったことじゃないのに、恥ずかしくて体がカッと熱くなっちゃった。

 なんか、嫌な予感はしたんだよぉ。

「あの子が、連行されてきたわよ」

 と、アンジェちゃん。

 ロゼッタ先輩とセイラ先輩が、マナの両脇を抱えながら舞台袖まで連れてきた。

 マナは、不満そうにムスっとしてる。

 そのまま大人しくしてて~~……お願いだから。

「ごほん……! 少々予定外のことが起きましたが、わたくしの挨拶を続けさせていただきます」

 ジュリアンさんが、仕切り直すように話し出した。

「皆さん、この度はご入学おめでとうございます。こうして、様々な星域から豊かな才能が集まっている光景を見ることができ、わたくしも、大変うれしい限りです。半年という短い期間ですが、あなた方のような未来ある若者の指導に携われることを光栄に思います」

「いえ、むしろジュリアンさんが学園長を務める学園に通えることこそ光栄で――むぐぐ!?」

 壇上の後ろで喋り出したマナの口をセイラ先輩が手で押さえてる。

 ……わたしの親友が、ご迷惑をかけて申し訳ございません。

「さて、事前に配布したパンフレット等でご存じかと思いますが、この学園がある惑星エンカは一種の箱庭のようなつくりになっています」

 そのとき、ホログラムの立体映像が講堂に映し出された。

 惑星エンカの見取り図だ。

「この惑星エンカには、様々な場所があります。まず、この高台にそびえ立つ学園の本校舎――ストライヴ・キャッスル。ここは、学園の主要機関として機能しております」

 おお~~! あのお城みたいな校舎はストライヴ・キャッスルって言うんだ!

 まさに、お城だね!

「そして、この高台の麓にある城下町エンカ・シティ。エンカ・シティには、人家だけでなくアリーナやアーキ・ヴェセルナーのショップに工房、その他にも飲食店や娯楽施設などがあり、キャストと呼ばれるスタッフが本物の町さながらに生活圏を構築しています」

 へぇ~~! いろんなお店があるってことだ!

 アリーナって、ブレイヴバウトのアリーナだよね?

 う~~ん! はやく、そこに行ってみたいなぁ!

「学園や城下町から離れると、ペッタン平原やモッサリの森などモンスターが生息する領域があります。さらに、遠くまで行けばウンタレル山脈を越えた先に、ゲリッパの沼地があり、そこからさらに奥地に進むと魔王の住む魔王城がそびえ立っています。そして、これら以外にも、さまざまな場所が存在し、自由に探索することができます。皆さんは、この箱庭の世界で、自分のやりたいこと、学びたいことを自由に決めてください。わたくしたち、指導者は強制はしません。みなさんの自由です」

「はい! 質問!」

 立ち上がって、びしっと手を挙げたのは、ジュンちゃんの隣にいるレアちゃんって子だ。

「どうぞ」

「えっと、つまりオープンワールドのアクションゲームって感じでいいんだよね!」

 ジュリアンさんは、その質問が思いがけないものだったのか、ぽかんとした。

「は? オープンワールドのアクションゲーム?」

「そう! いろんなアクティビティにチャレンジして実績解除とか、そんな感じでいいんだよね!」

「……はて?」

 ゲームが好きな人には、なんとなくレアちゃんが言ってることがわかると思う。

 わたしも、なんとなくわかる。

 だけど、きっとジュリアンさんはゲームとかやんないんだ。

 だから、ピンときてないんだと思う。

「……はぁ」

 ジュンちゃんが、疲れ切ったようにため息をつきながらレアちゃんの袖を引っ張って座らせようとしてる。

「つまり、何が言いたいのです?」

 ジュリアンさんは、まだ質問の意味がわかんないみたいだ。

「そうそう! オープンワールド! まあ、だいたいそんな感じだよ!」

 そう言ったのは、後ろに控えてる教員のお姉さんだ。

 青い髪で、すらっとした人だ。

 なんだか、故郷の友だちに似てる気がするなぁ?

「おっけ~~! わかった! ありがとう!」

 レアちゃんが、望んでいた答えを得て満足したのか笑って座った。

 ジュンちゃんも、ホッと胸を撫で下ろしてる。

「まあ、ともかくです。わたくしたちは、必修課題や定期テスト以外に、カリキュラムを強制することはありません。皆さんは、箱庭世界を舞台に、自由に学び、大いに楽しみ、そして健やかに成長してください。わたくしは、ここに集った皆さんの中から、次代の先頭に立ち導いていけるようなブレイヴが生まれることを切に願います」

 そう締めくくると、ジュリアンさんは壇上から離れた。

 マナが暴走したときは、どうなることかと思ったけど、ジュリアンさんの挨拶が最後まで無事に終わって良かったぁ。


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