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星海のストライヴガールズ!Reboot  作者: エミール藤峰
出会い編!

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第6話「許せぬ!」

 レジーナちゃんは、顔を真っ赤にしてナイフを取り出した。

 わたしに、押し倒されたのが、よっぽど悔しかったらしいや。

「このチビ! もう、許さねぇ!」

 怒り顔で、ナイフをチラつかせるレジーナちゃん。

「け、喧嘩よ! 喧嘩!」

「学園に来たばっかりで、もう!?」

 近くを歩いていた子たちが、ざわつきながら遠巻きにこっちを眺めてる。

 騒ぎになっちゃってるけど、いまさら、引くに引けないよ。

 わたしも、レジーナちゃんに言い返す。

「ふん! そっちが、先にフォルティミヤの悪口を言ったんじゃん! こっちこそ、許さないだよ!」

「はん! だったら、どうするってんだ! まさか、その腰に差してるちゃちな木の棒で、俺様のナイフと斬り合おうってのか?」

「ふん! あなたなんて、素手で十分だよ!」

「言いやがったな! 生意気なやつだ! 泣いても、知らねぇぞ!」

「おう! そっちこそ!」

「ちょ、ちょっと! ふたりともやめなさい! シャルロットも、こんなお馬鹿の言うことなんて無視しとけばいいでしょ!」

 アンジェちゃんが、わたしたちの間に、割って入ろうとする。

 だけど、それをレジーナちゃんが突き飛ばした。

「邪魔すんなよ! 優等生!」

「なによ! あんたが、お馬鹿だから私が止めてやってんでしょうが!」

「余計なお世話だっつ~~の! 優等生は引っ込んでろ!」

 どん――!

 また、アンジェちゃんを突き飛ばした。

「ひどい! 関係のないアンジェちゃんまで!」

 ムカっときて、飛びかかりそうになった。

 そのとき……。

「2度も突き飛ばしたわね! もう、許さないわ! 今日という今日は、ぼこぼこにしてやるんだから!」

 アンジェちゃんが、目を逆三角形にした怒り顔で、レジーナちゃんに飛びかかった。

「うわ!? アンジェちゃん!?」

 そっちが、先に飛びかかっちゃうの!?

「な、なにしやがる! いてて! やめろ!」

 レジーナちゃんに組み付いて、密着した状態から頭突きを繰り出すアンジェちゃん。

 うわ……意外とパワータイプの戦い方だ。

「アンジェリカさんも、意外と血の気の多い方ですね」

「マナだけ、ひとり冷静……!」

「いえ、これでも怒ってますよ。シャルロットやアンジェリカさんのように、表情に出ないだけです」

「マナとは、小さな頃からの付き合いだけど、いまだに感情が読めないなぁ」

「まあ、それはさておき。この状況をどうするかですね」

「いつの間にか、アンジェちゃんVSレジーナちゃんみたいになっちゃってるんだけど」

 ふたりは、取っ組み合いながらわめいてる。

「おらぁ! そのナイフは飾りなの! 切り裂いてみなさいよ! できるもんならねぇ!」

「このやろ! ひとが手加減してやればつけあがりやがって!」

 もう、わたしのことなんて蚊帳の外って感じだよ。

 先に、ケンカを売られたのはわたしだったのに……。

「このまま、アンジェリカさんにお任せしても良いと思いますが」

「それは、ちょっとつまんないなぁ」

「ですよね。まあ今後、舐められないように少し驚かせて差し上げましょう」

 マナが、人差し指でピッとレジーナちゃんのナイフを指さした。

「おっけ~~。それじゃあ、ちょっと驚かせてあげちゃおう」

 にやりと笑ってレジーナちゃんの腕を掴んだ。

 手にナイフを握っている方の腕だ。

「てめ! 2対1は卑怯だろ!」

 レジーナちゃんの言うことなんて無視。

 わたしは、大きく口を開けてナイフに顔を寄せる。

「おい! なにしてる! 口が裂けちまうぞ!」

 慌てるレジーナちゃん。

 なにさ、いまさら。

ナイフを取り出したのは、そっちでしょうに。

 がぶ――! ばきん――!

 ナイフの真ん中にかじりついて、へし折ってあげた。

「なッ――!?」

 レジーナちゃんが、目を見開いて驚いてる。

 アンジェちゃんも「え!?」って顔でびっくりしてる。

 それに、周りの子たちは悲鳴を上げた。

 ばきん――! ばきん――!

 刃の根元まで噛み砕いてナイフはレジーナちゃんの握る柄だけになった。

 いよいよ、ここから本番だ。

「あ~~ん」

 それまでより、もっと大きく口を開ける。

 レジーナちゃんの手が、すっぽり収まるくらいだ。

「ひぃ~~!? や、やめろ!?」

 がちん――!

 レジーナちゃんは、わたしの口が閉じる前に、手を引っ込めた。

 さすがに、逃げちゃったか~~。

「ばりぼりばりぼり」

「こ、こいつ……! ナイフを食っちまいやがった!」

 ぺっと、ナイフの残骸を吐き捨てる。

 すかさず、お掃除ロボットがやってきて、ナイフの残骸を回収してくれた。

「食べてないよ。噛み砕いただけ」

「大して変わんねぇよ! なんて、やつだ!」

「へへ~~ん! いい悲鳴だったね! ひぃ~~!? だってさ! 手まで噛みつかれると思って、怖くなったんだね!」

「なっ!? う、うるせえ! ひとをおちょくりやがって!」

 レジーナちゃんの手のひらから、拳くらいの大きさの鉄球が現れた。

 棘の付いた黒い鉄球だ。

 それって、もしかして……!

「これでも、くらいやがれ!」

 ぶん――!

 レジーナちゃんが、棘の付いた鉄球を投げつけてきた。

「ふん! 余裕、余裕!」

 こんな鉄球なんて簡単に避けれちゃうもんね。

 ひょいっと鉄球を避けるわたし。

 って、ダメだ!

 わたしが、避けたら後ろのマナに鉄球が……!

 急いで振り返ったときだった。

 ぱし――!

 マナに迫っていた鉄球を、ぎりぎりのところで受け止めてくれた子がいた。

「能力をこんなことに使うなよ。格が下がるぞ」

 さっき、発着場で密航者騒ぎのことを教えてくれた黒髪の子だ……!

 その子は、冷静な表情で鉄球を軽々と掴んでる。

「怪我はないな?」

「は、はい。どうも」

 黒髪の子に訊かれて、マナがぽやっとした表情で答える。

 あれ? なんとなく、マナのほっぺたが赤いような気がするけど……?

「って、そんなことより! だいじょうぶ!? マナ!」

 マナに駆け寄る。

「ええ、まあ……そちらの方が助けてくれたので」

「そっか! ありがとう~~!」

「いや、別に」

 なんて、クールな子なんだろう。

 それにしても、あの一瞬で、鉄球を受け止めるなんて、この子……すごい!

「くそ! 生意気そうなやつが出てきやがった!」

 レジーナちゃんが、地団太を踏んでる。

「もう、やめとけよ。これ以上、やっても恥をかくだけだぞ」

 黒髪の子は、顔色ひとつ変えずに言って、

 ぐしゃ――!

 掴んでいた鉄球を握りつぶした。

 鉄球の破片が、光の粒子になって消えていく。

 やっぱり、あの鉄球はレジーナちゃんの能力で生み出したものだったんだ。

「お、俺様が恥をかくだと!」

「まあ、さんざん恥をかいた後のようだけどな」

「このやろ!」

「もう、やめとけって。悪役を気取るのは良いけど、周りを見てみろ」

「あん?」

 黒髪の子に言われて周りに視線を巡らせるレジーナちゃん。

 このあたりにいた子たちが、みんなレジーナちゃんの方に、突き刺すような視線を向けている。

「な、なに睨んでやがる!」

「ここにいるのは、みんな勇者の卵だ。乱暴を働くお前のことをよく思わないのは当然だろう。これ以上、続けるっていうなら、ここにいるみんながお前の相手になるぞ。それでも、まだ続けるのか?」

 レジーナちゃんが、「ぐっ!?」と言葉に詰まった。

 わたしやアンジェちゃん、それに周りにいるみんなの視線が、真っ直ぐにレジーナちゃんに集中した。

「ちっ! わかったよ! なんだよ、ちょっとからかってただけじゃねぇか! どいつもこいつも、マジになりやがって! あ~~、くそ! つまんねぇ!」

 レジーナちゃんは、くるっと背を向けると大股に歩きだした。

「おい」

 黒髪の子が、呼び止めた。

「なんだよ」

 レジーナちゃんが、チラっと振り返る。

「ごめんなさいは?」

「ちっ!」

 ギリっと歯を噛みしめるレジーナちゃん。

 けっきょく、そのままレジーナちゃんはドカドカと足音を鳴らして行ってしまった。

 周りにいた子たちも、ぽつりぽつりと解散していく。

「やれやれ、めんどくさかったわねぇ」

 と、アンジェちゃん。

「ほんと、なんだったろ! 感じの悪い子だったね!」

 いきなり現れて、わたしの故郷のフォルティミヤの悪口を言ったり、わたしのことをチビって言ったり、ナイフを取り出したり、ほんとやな感じだったなぁ。

「……昔は、あんなじゃなかったんだけどね」

 ぽつりとアンジェちゃんがつぶやいた。

 どういうことか訊こうと思ったのに、アンジェちゃんは、知らん顔で歩き出しちゃった。

「あの……ありがとうございました」

 マナが、黒髪の子にお礼を言ってる。

 そうだ、わたしもお礼を言わなきゃ。

「マナを助けてくれてありがとう!」

「いや、たまたま居合わせただけだから。じゃあ、な」

 クールに、立ち去ろうとする黒髪の子。

「あ、あの……お名前を……!」

 マナが、追いかけるように訊ねると、

「オレは、ジュン」

 それだけ言って、ジュンちゃんは行ってしまった。

「……ジュンさん、ですか」

 あれ……なんか、マナの様子がおかしいような。

 も、もしかして……マナってば、ジュンちゃんって子のことが……?

 とか思ってたら、マナは急にわたしの顔をジト目で見た。

「……なんで、あのとき避けたんですか?」

「え!?」

「わかってましたよね? 自分が、後ろにいると。その上で、なぜ避けたんですか?」

「いや、その……反射的に、ね!?」

「そのおかげで、危なかったんですよ」

「は、はい。大変、申し訳ございませんでした」

「大いに反省してください。ちなみに、半分冗談なので真に受けないでいいです」

「……それでも、半分は本当なんだ」

「まあ、そうですね。それより、講堂に行きましょう。無駄に時間を消費してしまいました」

「うん。それにしても、学園に来たばかりなのに、あんな喧嘩を売ってくるなんて、度し難い子もいたもんだぁ」

「まったくです」

「宇宙船から飛び降りるようなやつや密航者に言えたことじゃないでしょ!」

 いつの間にか、アンジェちゃんがそばに戻ってきてて、盛大にツッコまれちゃった。


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