エピローグ「これから一緒に」
「むしゃむしゃ! もぐもぐもぐ!」
わたしは、ちょっと遅めのお夕飯をかきこんでいた。
「あっきれたわねぇ。さっきまで気絶していたのに、よくもまあ、そんなにガツガツと食べられるもんだわ」
アンジェちゃんが、苦笑しながら言った。
「まあ、それがシャルロットですから」
と、誇らしげなマナ。
「いいじゃねぇか。こいつ、なりは小さいけど大物だぜ」
レジーナちゃんが、からからと笑っている。
ここは、わたしたちのリード・ハウスの中。
ユウキとのブレイヴバウトが引き分けに終わった後、わたしは気絶しちゃった。
目が覚めたときは、リード・ハウスのベッドの上だったんだ。
身体に怠さがあったけれど、傷は、もう癒えていた。
クラウン先生が、治療してくれたんだって。
「あんまり無茶をするなってクラウン先生も言ってたわよ。あんた、身体は頑丈にできてるんだろうけど、まだ小さいんだから。ブレイヴ・ハートが成熟するまで、無理な負荷をかけるんじゃないわよ」
アンジェちゃんが、心配そうな表情だ。
わたしのことを本気で心配してくれてるってわかる。
「そうは言ってもねぇ……本気で闘おうって思えば、無茶のひとつやふたつはしちゃうもんだよねぇ。あっ、ご飯おかわり!」
「あきれた……! まだ、食べるわけ!」
「あれだけ、暴れまくったんだもん。お腹が空くのも仕方ないじゃん!」
「どうぞ、いくらでも食べてください」
マナがよそってくれたお茶碗を受け取り、またかき込むわたし。
食事は、マナがリード・ハウスの冷蔵庫に入っていたお野菜とお肉で作ってくれた肉野菜炒めと白米だった。
さすが、マナはわたしの味の好みを良く知ってくれているから、とっても美味しい。
空きっ腹にかきこむのが、すんごく気持ちが良かった。
それにしても、ユウキは本当に強かったな。
あんなに、強い子と闘ったのは初めてだ。
これから、一緒に強くなれるんだよね。
だって、ライバルだもん。
わたしは、ご飯を食べながらリード・ハウスの中を見渡した。
マナがいて、アンジェちゃんがいて、レジーナちゃんがいる。
ここに、ユウキもいたら良かったのに。
そしたら、毎日、張り合いのある楽しい日々が過ごせるのにって、そう思った。
「――あっ!?」
不意に、わたしの鼓動がときめいた。
外から、そうさせる波動の気配に気づいたから。
ぴんぽ~~ん――!
リード・ハウスの玄関のチャイムが鳴った。
わたしは、すぐさま玄関に駆け寄ってドアを開ける。
「まあ、シャルロットったら、もう動けるんですね」
そこにいたのは、イサミちゃんだった。
いつもの黒いジャージ姿で、にこやかに笑っている。
「元気と頑丈さには、自信があるからね!」
わたしも、イサミちゃんに笑って返す。
「それは、イサミちゃんの後ろにいるユウキもだよね!」
そう言うと、イサミちゃんの後ろから、ひょっこりとユウキが姿を現した。
「気づかれたんだ。さすが、勘が良いね」
ちょっとばかり照れくさそうなユウキが、かわいかった。
「ユウキ~~! わたしに、会いに来てくれたの!」
「や、やめてくれよ! 恥ずかしいからさ!」
がばっと抱き着くと、ユウキの身体が固まる。
「あら、まあ……! 仲が良いですねぇ。それもそうですよね。ふたりは、ライバルなんですから。これから、ひとつ屋根の下で暮らすことになりますけど、その調子で仲良くしてくださいね」
イサミちゃんが、わたしとユウキの頭を撫でてくれている。
「え? ひとつ屋根の下?」
「はい! 実は、この子……ユウキは、シャルロットたちと同じリード・ハウスで暮らすことになりました」
「え!? そうなの!?」
「ははっ。なんでか、そういうことになったんだ。まあ、よろしくね」
ユウキが、恥ずかしそうに言った。
「うれし~~~~!」
ぎゅ~~っとユウキを抱きしめる。
「これから、一緒に暮らせるんだ! よろしくね! ユウキ!」
「う、うん! よろしく! シャルロット!」
わたしとユウキは、みんなの視線を感じながらも、構わず抱き合った。
「ふたりとも、それにイサミさんも中へどうぞ。ちゃんぽんができあがったので、みんなで食べましょう」
と、マナ。
「ちゃんぽん! やった! わたしの大好物だよ!」
「なんだい、それ?」
ユウキが、きょとんとする。
「ちゃんぽんを知らないの!? すっごく、美味しい食べ物だよ!」
「そうなんだ。どういう食べ物なの?」
「食べればわかるよ! さあ、リード・ハウスの中に入って! 今日から、わたしたち、ここで一緒に暮らすんだよ!」
「う、うん!」
わたしたちは、みんな仲良くちゃんぽんを食べた。
不思議と、いつもより美味しく感じちゃった。
さあ、これからの学園生活はどうなるんだろう。
わくわくどきどきが止まらないよ!
エピソード1「運命の出会い」――完。




