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P4TCHW0ЯK_W0R⧉D  作者: 哉守柚栞
第一章
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第六話 BΞ⧉ΞΛ⧉H⧉THΞ⧉SΛ⧉⧉FΛC⧉ (4)


 赤い巨大なテント。それは黒い屋根と灰色の壁で構成された街並みにおいて、異常なまでの存在感を放っていました。

 周囲の建物よりも遥かに大きく、突き出た天辺は雲に届くほど。空に蓋をする低い灰色の雲はテントの上空で渦を巻いておりますが、相変わらずの不動。雲の渦の中心点は黒く染まっていて、テントの先端が飲み込まれていました。

 鮮やかな赤の天幕は表面が雨で濡れているわけですが、まるでテント自体が液体であるかのように、赤い波が上から下へと脈動するように流れ落ちているようです。風で波打っているのだとしたら、真上から風を受けているような動きですが、生物的な生々しさがありました。

 そんな様子を望遠鏡で確認できるまでの距離まで大通り沿いに進み、定期的に通過するパレードを路地にそれる事でやり過ごしてきた我々ですが、パレードが飲み込まれていく賑やかな正面入り口になど向かうはずもなく、途中で路地に入り、薄暗い路地裏からテントの間近へと向かっていくことになりました。

 既に深層の洗礼として強烈な精神的な摩耗を受けていましたが、それはあくまでもパッチの影響によるもの。甘味効果と慣れによってもはや無視しても問題なレベルになりましたが、中核クラスターであるテントに近付いた今、別の脅威が牙を剥いてる次第です。

「ぬんッ!」

 力強い気合と共に振られるは両手持ちの両刃剣。牛の角とカメレオンなるトカゲの尾をもつオルヴァさんが力任せにしか見えない横なぎで、透明な道化師をぶった切りました。

 青と赤、それに白のノイズ柄の道化服で、手袋にはナイフを持っていたそれは胴を切られて真っ黒な体液をぶちまけながら地面にどしゃどしゃと墜落。完全に動かなくなります。

 路地同士がぶつかった真四角の広場。そこで突っ立っていただけのアノマリーは、今や無残に壁際で沈黙しております。

「泥か油の塊でも切っているようだ……」

 大きな剣に付着した黒い体液を見て、オルヴァさんが顔をしかめます。今の所、リュミンとカイリス、オルヴァさんが排除しているのですが、二人の感想も似たようなものでした。曰く、泥の塊。

 これで三度目の襲撃……というか、道中に邪魔だから排除しているのですが、すごく弱いのです。

「ひどい油の匂いだよねぇ」

 リュミンが鼻をつまむのも理解できます。あれらの体液は、タール状で独特な匂いがするのです。

「もしかしたら、やられるのが前提のアノマリーなのかもしれませんね」

 オルヴァさんはへばりついた体液を布でふき取ってますが、拭いきれてません。これでは刃に油を塗られたのと同じです。

 私はパレードと初遭遇した時のパンフレットを広げてみます。演目の一覧の中にはかろうじて読める文字で火の輪くぐり、火の玉ジャグリングなんて事が書いてありました。

「可燃性の油をぶちまけさせてからの、火を使った攻撃。返り血というか、油には十分気を付けた方がよろしいかと思います。洗濯も大変そうですし」

 パッチは意味不明な事が多いのに、危険については合理的だったり、計画的だったりします。こういう世界観型のパッチでは情報収集も生死を分けるのです。

 ニブレットさんは隊列から外れて動かなくなったアノマリーの体液を指先につけ、匂いを嗅ぎます。練るように指先で感触を確かめてからは、壁面に擦り付けて落としてました。

「わたしくしめの知識では、重油に近いまったく異なる物質ですな。重油であれば燃えにくい性質があるはずですが、匂いが立ち込めているという事は揮発性の高い何かが混じっているように思えます。つまり燃えやすく、燃え始めたら消えにくい。実にアノマリーらしいですな」

 おまけにしつこいくらいに落ちにくいようで、彼は何度も指先を壁にこすりつけてました。

 生物型のアノマリーとしては、個体は弱いですが、相手にすればするほどこちらが不利になるタイプ。非常に厄介です。

「ニブレット卿のアノマリー避けも効いていないように見受けられますね」

 最初は手に持っていましたが、今はニブレットさんが背負う鞄に取り付けられた。淡い光を放つランタン。低位のアノマリーなら避けてくれるはずですが、道化型は無反応。離れていくことも寄ってくることもありません。

 生態は知っておきたいところですが、夜が来る前にキャンプ予定地に到着するのが重要です。先行して潜伏しているはずのニブレットさんの子供も心配ですね。精神汚染が深刻化して発狂状態になければよいのですが。

 警戒を最大にしつつ細い路地を進んでいきます。似たような建物一軒一軒の間に路地があり、いつ何が飛び出してきてもおかしくはないのですが、幸い待ち伏せに合うような事はありませんでした。

 しかし何事もなかった訳でもありません。

 キャラバン組が十字路を先に行き、私とアマリが続こうとした時、左側から何かが走っている音が聞こえ、とっさに腕を広げてアマリの歩みを遮ります。

 息をひそめて待てば、左側一つ隣の路地で立ち止まる一つの影。

 それは透明人間の執事のようでした。燕尾服を着て、シルクの手袋をつけた、蝶ネクタイの細身の透明人間。

 息を切らすように肩を上下させていた彼は十字路で迷うように辺りを見回すと、意を決したような仕草で左奥、私達から遠ざかる道を選びました。その直後、両手の指にナイフをそれぞれ挟んだ赤と金の道化師が姿を現し、すぐに彼を見つけて追いかけていきます。

 悲鳴や叫び声なんて聞こえません。ただ、遠ざかっていく足音。ほっとしたのも束の間、通路の奥から一つの赤い風船が空にむかって飛んでいきました。

「…行きましょう」

 小声で呟き、先で待っていたリュミン達に合流。先ほどの道化師が戻ってくることはありませんでした。

 アノマリーのすることに意味を求めるのは時間の無駄です。重要なのは、何をしているか。

 追いかけていた。道化が、執事を。パレードでも、洗濯ものでも干しているのかと思いましたが、あれは道化にとっての敵を晒していたのでしょう。

 二つの派閥が敵対しているパッチ。ここはそういう場所なのかもしれません。それが今後どう影響するかは、見極める必要がありますね。

「……この先の広場が一応、キャンプ予定地だけど」

 リュミンが呟き、すぐに視界は開けます。

 建物一棟分の広場。建物に囲まれていますが、視界は悪くなく、クラスターの側面に至る一本道と繋がっています。この辺りでテントを広げて拠点とするにはまさに理想の広さではありますが、クラスターが目の前にあるのでそれはできません。

 目的地に到着した私達はそれぞれ広がり、辺りを警戒します。

 先遣隊であるニブレットの子供らがいるはず。ここまで目印の明るい黄色のリボンは途切れておらず、この広場にも…ありました。通ってきた通路から正面の建物。見上げれば、それは鐘のある複製された形状の建物の中でも比較的目立つ建物で、重厚な扉の取っ手に結ばれていたのです。

 くすんだガラスの向こうの影が動き、すぐに鉄で補強された両開きのドアが開きます。

「父さん、こっち」

 声量を上げつつも響かないようにする声で呼ぶは、仮面をした斑模様の毛並みが特徴的な獣頭のキメラ。大きなリスの尻尾を嬉しそうに振ってました。

 ニブレットさんが駆け寄ると、彼らは膝を落として抱擁を交わします。

「よくやった二人とも。もう大丈夫だ。しっかり休みなさい」

「父さんこそ……ほらみんなも早く中へ。ここもあの道化師が通るから」

 猫背のキメラに促され、私達も中へ入っていきます。

 両開きのドアの向こうは広い空間でした。赤い絨毯がまっすぐに敷かれ、等間隔で長椅子が置かれており、間に二つ寝袋が敷かれてます。

 正面にはステンドグラスと呼ばれる色付きガラスの芸術窓がありましたが、背後に建物があるからか光が一切入っておらず、その正面にある台座にある像の威光も薄れていました。

 高い天井に、鉄格子がはめられていますが豪華な窓と装飾に富んだ柱。信奉する存在との対話の場である、教会のようですが。

「ふむ、あの像は見覚えがありますね」

 ステンドグラスを背景に置かれた台座の上。近寄って見上げてみれば、その像の人物はドレスを纏った女性。小休止の際に立ち入った絵画まみれの部屋で見た、特に多く描かれた彼女でした。

 自信に満ちた微笑。凛とした美しさは像になっても健在です。上品な立ち振る舞いが想像できますね。一体何を生業にしていたのか。この街の王女か、救世主か。

「この町は彼女を対象とした推し活を推奨していたのですね」

 推し活が厳格化しより高次元へ昇華すると宗教になると私は思うのですが、教会内部に像が設置されるという事は、彼女への信仰はその域に達していたのでしょう。もっとも、ここは壊れた世界の壊れた領域。何かのシンボルを示唆しているだけですが、こんなものは頭の隅に置いておいて見落としたら消し去ってもいい程度の情報でしょう。

 振り返れば各々荷物を降ろし、短くも長い冒険の終わりに一息ついているところでした。天井が高いおかげで雨の音も遠く、静かで良い場所。流石にシャワーは望めないでしょうが、簡易拠点としては申し分ないです。椅子を解体すれば燃料にも困らなそうですね。

 これから辺りも暗くなり、探索どころでは無くなります。つまりあせる必要は無いのです。

 私はニブレットさんに近付き、残していた最後のチョコバーを袋ごと差し出します。

「先行していたお二人にあげてください。きっと疲れていると思うのです」

「…かたじけない。ありがたく頂戴しよう」

 受け取った彼はぺたぺたと入り口で座り込んでいた二人に私に行きます。事情を話してくれたのか、子供っぽい笑顔を浮かべて手を振ってくれました。

『ニブレットのガキ共は見た目より中身が幼すぎる。母親もかなり見た目が獣に寄ってるそうだが、関係あんのか?』

「知性が獣っぽくなってる、という話なら、それはたぶん母側の混ざり具合の影響ですね。双子、三つ子が当たり前の人ってキメラでは一定数いて、そういう人の子って母体の負担を減らすために小さい体で生まれるんです。成長の過程では体を作る方に栄養が回されるから、知能が同年代の平均より幼くなりますが、成人までに差異がなくなります。むしろキャラバンを支えてるあの子らは優秀になりそうですが…」

『つまり英才教育の真っ只中って事か。しかしそう考えるとキメラ種ってのは良く出来てるな。あぁもちろん、お前の知識が全て正しければ、だが』

 痛いところを突かれます。私の知識は全てが合ってるわけじゃないのです。偉そうに語りますが、限りなく事実に近い仮定のお話に頼ってる部分もかなりあります。

 知識の欠片を繋ぎ合わせて答えを導き出すのが好きなのです。正解如何に関わらず、その方が自分で納得できます。

「さてみなさま。尻に根が張る前にもう一仕事願えますかな。今日の所はここで休むとして、野営の準備といきましょう」

 ニブレットさんの号令で、座り込んでいた各々が動き始めました。

 並んでいた長椅子は両端に寄せて、一部は荷物置きに。幸い、窓の全部は鉄格子が張られていますし、入り口のドアは鉄で補強されていて元々丈夫です。閂をすれば万が一の襲撃も大丈夫。

 料理のための火でもある焚火は、絨毯の無い部分が石製なのでそこで。燃料は解体した椅子です。食事の準備は腕に自身があるからと、ニブレットさんとカイリスが名乗り出ます。そして筋肉質の村の三人は仕込みと、燃料である椅子の解体。

 アマリとリュミンは入り口を挟むようにある窓から、一応見張りについてくれました。

 ちなみにニブレットのお子様二人は寝袋で爆睡。一晩中見張ってくれたそうで、ようやく安心して眠れたようです。

 私? 私は明日に備えて準備、という名目で教会内を散策してました。

 聖堂の正面、両側にドアがあって、右側は壁に囲まれた中庭になっておりました。枯れた芝が敷き詰められた中庭を横目に、短い廊下を通れば上部の鐘を鳴らすための塔…なのですが、入り口が板で打ち付けられてて入れません。パッチでよくある、絶対に入れない場所。鐘の位置まで登れるなら、良い見張り台になると思ったのですが……板を剥がしてみるのもありかもしれません。ドアが張りぼて状態の可能性もありますけどね。

 中庭から聖堂の背面を見てみたのですが、ステンドグラスを直接遮っているのはほかでもない、聖堂自体の壁でした。壁にステンドグラスを張っている何をしたいのかわからない構造ですが、まぁ、パッチにありがちな不条理な構造。つまり存在が歪んでいるのです。

 聖堂の左側のドアは廊下になっていて、お手洗いと、空っぽの書斎、それに狭い部屋がありました。部屋があっただけで何もないつまらない場所。隠し扉の開閉スイッチみたいなロマンもありませんでした。

 あとは聖堂内に小部屋があって、それはいわゆる懺悔室ってやつでしたが、なぜか掃除用具入れになってました。モップとバケツが妙に黒く汚れているのが気になりましたが……パッチの内部なら許容範囲の違和感。意味深な意味のない物資の配置が実にパッチらしいです。自称学者の皆さんが無駄に脳の記憶容量を使う原因。

「探索の結論。広いわりに何もない、外れ系廃墟です!」

 懺悔室のドアを閉めてそんな事を言っちゃいました。拠点としては優秀ですよ? 拠点としては。

「イコナ、手が空いてるならこちらを手伝ってはくれないかい?」

 慣れた手つきで野菜をナイフで切っているカイリスに、私は胸を張ってお答えします。

「先日の慰労会の際、やけに小さな芋があったの気が付きませんでしたか? あれを生み出したのが私だとしたら、どうします?」

「………すまない、気にせず楽にしていてくれ。明日からはキミが一番働くのだからね。それに今日一番の功労者でもある。さすがだった」

「ふっふーん! そのまま私の評価を上げて、例の件、イコナ様って呼ぶのを検討してもいいんですよ?」

「それはごめん被る」

 というわけで、堂々と退屈な時間を過ごせるようになりました。

 先に熾されていた焚火の近くに長椅子を引っ張ってきてごろごろ。立ち上る煙は大丈夫かな、と思えば、高い天井の窓は空いておりなんの心配もありません。あの窓どうやって開け閉めするんだろう、なんて考えちゃいます。どうせ最初から開いてて、閉めたい人の事なんて考えてないんですよ。

 外は変わらない曇り空。広い聖堂内はほんのり薄暗い程度。焚火の火と音は癒し効果があるとか聞きますが、イコナさんの尻尾はパタパタと、落ち着きません。

 理由は色々。明日の予定。村人三人の私への敵意の正体。微妙な空腹と退屈。リム不足。何より、せっかくのそこそこ深度のパッチなのに収穫が一切ない事。

 放浪生活に慣れすぎて、パッチの中で何も得られない日ってなんだかやり残した感がすごいです。明確な目的にほぼまっすぐ向かったのなんて初めてです。もっとこう、寄り道して直感で建物に突入してロマンを求めるべきです!

 キメラは目的のためだけにある訳じゃないんです! ロマン! この壊れて歪んだ世界にはロマンが必要なのです!

「ぬあー! やっぱり無理です! あらゆるしがらみから解放されている自由の旅人であるイコナさんには団体行動は向きません! ちょっと近くの建物漁ってきますね!」

 料理組の村所属の四人からは何言ってるんだこいつ、みたいな目で見られました。ニブレットさんだけは深く頷いてくれます。

「わかりますぞ。この深度、この場所ならいいものが絶対にありますからな。どなたか手伝いに連れていかれては? 食事の準備は、さほどかかりませぬからな」

「大丈夫です! お忘れかもしれませんが、私はパッチで年単位で生活したベテラン遭難者です。危険に遭遇してもやり過ごす術があります。広場周辺の建物見てきますので、三十分くらいで戻ります!」

 焚火を離れ、入口へ。見張りをしていたアマリとリュミンも、心配よりも呆れの方が勝っているようでした。

「姉さま、一人で平気なの? わたしも行こうか?」

「大丈夫ですよ。アマリはゆっくり休んでください。あ、リュミン。これ持っててください。乙女には一人になりたい時があり、今がその時です」

 ポーチから取り出したのは、シルバーの娯楽端末。ガンターは何も言いません。本体はここにありますが、彼自身は別の場所にいます。具体的には、私を敵にしたい人達の所。

「えっと、イコナ。おいらは別に心配しないけど、一応、気を付けてね」

「大丈夫です。私はあなたの恩人ですからね。あ、暇だったらそれに内蔵されてるゲームで遊んでもいいですよ?」

 折り畳み式の端末を少し開けて見せます。

「…暇だったらね。わかった。いってらっしゃい」

 受け取って一度開き、すぐに閉じます。ちゃんと気付いてくれました。流石です。

 閂をそっと外し、変わらない調子で振り続ける雨の中へ。一応警戒しつつ、一番近くの別の建物へ向かいます。

 ガンターの本体に挟んでいたのは、小休止の際に用意した短いお手紙。リュミンはちゃんと気付いて、抜き取ってくれました。

『村の三人にリムが敵意を一瞬向けました。何かしようとしていると思います』

 リュミンには、リムが私を守ろうとする事を知っています。その強さも。ここで付いてきてくれても良いのですが、アマリにも余計な心配かけちゃいそうですからね。彼女はこの環境への注意に意識を使っていただきたいのです。

 それに、一人で探索したいのは本当でした。リム断ちが限界だったのもあります。最初の建物に入って早々、通常サイズで呼び出しちゃいました。もし生物型のアノマリーが待ち伏せしてても、彼らが逆に隠れる状況でしょう。

 集合住宅型の建物はいくつも部屋に別れていてそれぞれ探索し甲斐がありました。缶詰数個、読み物は歪んでゴミ状態、壊れてない蓄音機と黒い円盤ことレコードはお宝レベルの貴重品、石鹸二個、ラベル有の果物缶二個、旧式カメラとステッキはリムにその場で食べられて、未開封の瓶詰一個、タール物質垂れ流しの傘アノマリー一個、リムを見た瞬間ひえー、みたいな怯えた目をしていました。知性のあるアノマリーだったようで、拾った棒で露出していた額をつついてあげました。

「大当たりきちゃー!」

 テンションが振り切れたのはキッチンの戸棚に収納されていたお湯を注ぐだけでコーヒーが作れる、インスタントコーヒーの瓶です! しかも大瓶! 個人的にもコロニー的にも大当たり品で叫んじゃいました。しかもこれを見つけた部屋には本棚があり、部屋の廊下や室内の間取りが完全におかしかったので手当たり次第に本を引っ張り出して散らかしてみたら、一冊だけ固定されてて隠し扉のスイッチになってました。これぞベテラン遭難者の探索術。後片付けの事なんて考えないです。

 本棚がどいて開かれたそこには、お洒落なボトルに入った飲料が、ぎっしり……ではないんですが、棚に一つずつありました。かなり強いお酒のボトル。合計三本。お宝です! アノマリー化している可能性も考慮しましたが、残念ながらリマナの類ではなかったですね。もしかしたら体内に取り入れた瞬間に効果を発揮する類かもしれませんけど。

 他にもまだ動いてそうな機械類があったのですが、流石に持ち切れないし持ち帰る事もできないので放置。コロニーで高額取引が期待できる物資の一部は大鞄に隠しつつ、最後にリム吸いを存分にしてまた隠れてもらい、鞄ぱんぱんでさらに拾った木箱一杯に荷物を抱えて帰ってきたほくほく笑顔の私に、皆さま驚愕してました。

 短時間でワーカーも真っ青な大収穫ですからね。場所がいいのは間違いないんですが、これもウサギの幸運効果かな! 崇め奉り教会の真ん中に銅像でも建てるとよいですよ!

 村人三人も変な気を起こす前に考えを改め、私を崇めたおすようになると大変よろしいです!


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