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【全年齢】第六話前編:神父様を夕張メロンで「ベリーメロン」させた話

プリシラ、オイ、エクウス、ナハトに加えて、アルボも聡介の家に住みついた。


今回は、平野耕太先生の「HELLSING」のアレクサンダー・アンデルセン、および、雷句誠先生の「金色のガッシュ!!」のビクトリームという二作品の二キャラをオマージュしたキャラクターが登場します。なぜこの二人かというとアニメ版の声優つながりです。

ご存じでない方はぜひ「アンデルセン神父」、「ビクトリーム」で検索してみてください。

※平野先生。雷句先生尊敬してます。ガッシュは続編も見ています。

※若本さん、コミカルな演技も、シリアスな演技もどちらも大好きです。

・六話後編は飯テロ要素なくてオマージュのバーゲンセールです。

・七話は飯テロ要素満タンにする予定です。

 厳然(げんぜん)たる空気が満ちる広大な仏間。正面には、墨痕(ぼっこん)鮮やかな巨大な掛け軸が壁一面を支配し、その傍らでは古色蒼然(こしょくそうぜん)とした黄金の仏像が、慈悲と威圧の混ざり合った眼差しを投げかける。畳の香りのなか、黄金の光が鈍く室内を照らし、見る者を沈黙させる重厚な静寂が漂っている。


 その室内でかつてヴァルフェルト王国で深紅の戦乙女クリムゾン・ヴァルキリーと称えられたプリシラ・スカーレットは、赤い長髪を左右に動かしながら聡介、ナハトとともに掃除をしていた。


「聡介、ぞうきんが汚れてきてしまったのだがどうしたらいい」プリシラは真っ黒になったぞうきんを片手に、聡介に質問した。


「ああ……そろそろ変えないといけないですね。ちょっと倉庫に行ってきますね」


聡介はプリシラの質問に答えながら立ち上がると時計を見た。


「もう十五時ですし、少し休んでいてください。ついでにメロンという果物を準備してきます。甘くて美味しいですよ」聡介はそう告げた。


「果物か!大好きだぞ!」プリシラは体育すわりをして鼻歌交じりにゆらゆらと揺れていた。


「私には創造神が与えし、これがあるからな。ポテチの神になる!」ナハトはそういうとのり塩味のポテチの袋を開けて食べ始めた。


 聡介はその様子をみて順番に微笑み、呆れると、立ち上がり仏間を後にした。


 聡介が倉庫の扉を開けると、そこには白髪の男が立っていた。


 その男は爆発的な白髪を逆立て、丸眼鏡の奥で狂気的な瞳を爛々(らんらん)と輝かせていた。法衣(ほうい)を身に纏うが、異様なのはその意匠(いしょう)()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()W()()()()()()()()()()()()


「神父様ですか……俺は橋本聡介です。貴方は?」聡介はその男に声をかけた。


「ええそうですよ。私の名前はフィリッポス・ワイルド、迷える子羊よ。ここは?」男は柔らかな物腰で、笑顔で答えると質問した。


「ああ、ここは、貴方たちの世界とは多分異なる世界で、日本という国の東京という都市にある俺の家です。プ……深紅の戦乙女クリムゾン・ヴァルキリーはご存じですか?」聡介は説明をすると尋ねた。


「よぉく知っていますとも。騎士団の騎士団長ですよね」ワイルドはにこりと不自然なほどの笑顔で答えた。


「ぐぅううううううーーーー」という天啓のような音が辺りに広がった。


「ちょうどおやつにしようと思っていたところですが、何か食べますか」聡介は提案した。


「ええ。お願いします」ワイルドは穏やかに答えた。


「わかりました。キッチンにいきましょう。ワイルドさん、ついてきてください」聡介が扉に手をかけ促した。


 ワイルドはその場で立ち尽くしたまま動かない。

 ワイルドは不気味な笑顔で口を開いた。


「私のことを呼ぶときは、華麗なるワイルド様と呼べ」そういうと手を伸ばし


「さぁいってごらん」ゆっくりと手のひらを聡介の方に静かに向けた。


「え……あなた、情緒大丈夫ですか……いや……はい……わかりました。華麗なるワイルド様、ついてきてください」


「子ぉ羊よぉ、わかればいいのっだ」ワイルドは満面の笑みで独特の声で答えた。


「はぁ……」聡介は扉を開けキッチンへ向かう。


 ワイルドは後ろについていきながら「AMEN……」とつぶやいた。

 ―――――――――――

 キッチンに到着した聡介とワイルド。

「今日はメロンにしますよ」聡介は独白した。ワイルドはそれを食卓に座り聞いていた。


 聡介は冷蔵庫を開けると夕張メロンを取り出した。


 切る前から夕張メロンの芳醇(ほうじゅん)な香りが霧のようにほのかに立ち込めていた。


 まずは、その芸術的な網目を帯びた外殻に刃を入れる。T字の蔓を避け、中心を貫くように垂直に断ち割れば、現れるのは燃えるような「夕焼け色の果肉」だ。溢れ出す果汁(かじゅう)を逃さぬよう、スプーンで種とワタを優しく、かつ迅速に掬い取った。


 そこからはゆっくりと包丁で、二分割された半球をさらに縦に割り、四等分へ。そして、八等分の船形に切り分けていく。聡介はそれを皿の上に整然と並べた。


「おひとつどうぞ」聡介はワイルドに皿を近づけ進めた。


 ワイルドはそれを手に取ると口に入れた。無言で咀嚼するワイルド。


 静寂があたりを包んだ。ワイルドは目を見開き、口をかぁぁぁっと開くと叫んだ。


「エイメェェェェンッ!!見ろ、この瑞々しき(みずみずしき)果肉をッ!まるで主の慈悲が、この網目の内側に閉じ込められたかのようだ!一口噛み締めれば、溢れ出す果汁(かじゅう)はまさに『聖なる濁流』!私の枯れ果てた喉を、この甘美なる雫が、罪を洗い流すかのように潤していく!

 だが……これだけでは足りないッ!これほどの芳醇さ、これほどの輝き!これを讃える言葉は、もはや聖書の中にも存在しないッ!私の魂が、私の血が、勝利の雄叫びを求めているぅッ!!

 さぁ、唱えよ!救済(メロン)栄光(ビクトリー)が一つに重なる、禁断の祝詞(のりと)をォォッ!!ああ……私の心の臓を捕(キャッチマ)えて止まない(イハート)……これぞまさしく神の奇跡(ベリーメロン)だ……!!」


 ワイルドは聡介にメロンの皮が乗った皿を見せて叫んだ。


「おかわりだ!」


「あ……はい。気に入ってもらえたなら……」聡介は二つ目を渡したがワイルドはあっという間に食してしまった。


「残りはみんなにも分けるので移動しましょう」聡介はそういうとメロンを持って立ち上がり仏間に向かった。


 ―――――――――――――


 聡介たちは仏間に向かう途中で、エクウスたちもメロンがいるかを確認するために各自の部屋に立ち寄った。


「フゥン……貴様いい加減に最後にはドロ2は使えんというルールを覚えたらどうだ……凡骨より知能がないんではないか……」エクウスは腕を組みながら蔑んだ。


「不合理こそUNO……それがUNOの本質、UNOの快感……不合理に身を委ねてこそギャンブル」アルボはつぶやくように返した。


「フゥン!何をわけのわからんことを言っている」エクウスは胸倉をつかんだ。


 そこにちょうどメロンを持った聡介と、ワイルドが通りかかった。


「轟雷、青眼なかよくしなさぁい……いいですか?暴言を吐いたり、暴力を振るって良い相手は悪魔共と異教徒共だけです」ワイルドはにこやかに微笑みながらそう告げた。


「さらっと物騒なこと言わないでください……」聡介はつぶやいた。


「エクウスさん、アルボさん、おやつにメロンがあるんですがいりませんか」聡介は二人にメロンを見せながら聞いた。


 アルボは返事をせずにUNOを見つめていた。


 エクウスはワイルドの顔を見て「フゥン……」とつぶやくと立ち上がり、「俺も行こう」とだけ告げると聡介とワイルドに続いた。


 エクウスは道中無言で、後ろからじっとワイルドのことを見つめていた。


 ――――――――――――


 仏間に到着した三人。ワイルドは周囲の様子をきょろきょろと眺めると険しい顔をした。黄金の仏像を眼にして、動きを止めると、笑顔が消えた。


「子ぉ羊さぁん……ここはどういう部屋ですかぁ……」聡介の顔をなめまわすように見ながら聞いた。


「先祖代々伝わる仏間なんです。もともと先祖は仏教徒でその名残ですね」聡介は答えた。


 ワイルドはゆっくりと法衣(ほうい)の中に手を入れた。


「聡介……遅かったではないか。おや……また、新しい者が来たのか……」プリシラはワイルドの姿を見た。眼を見開くと、大剣を手に取り、聡介たちの方に駆けた。


「危ない!その男から離れろ聡介!」プリシラは大剣を振りかぶりながら叫んだ。


AAA(エェエエイ)ME-N(メェン)……」ワイルドは銃剣(バヨネッタ)を懐から取り出し、聡介に切りかかった。


 周囲が深紅に染まった。プリシラの大剣が一歩速くワイルドの体を切り裂いた。ワイルドは静かに血だまりの中に崩れ落ちた。


「プリシラさん!!!何てことをしでかしたんですか。救急車を呼びます!」聡介はポケットから携帯電話を取り出し119番に電話をかけ始めた。


「馬鹿者!この男は教会の過激派で異教徒は全員ぶち殺すと公言している男だ!華麗なる再生者ブリリアント・リジェネレーター聖職騎士(パラディン)狂信の殺し屋ファナティック・アサシン神の塵(ゴッドダスト)銃剣(バヨネッタ)等の数々の悪名を持つ狂信者だ!早く離れろ!殺されるぞ!」プリシラは大粒の汗を額ににじませ叫んだ。


 聡介はプリシラの話を聞きながらも救急に状況を告げた。


 電話を掛け終えたところで、エクウスがナハトと聡介の前に立った。


 「フゥン!深紅!凡骨と、ポテチは、強靭な俺様が見ておいてやる!お前はそいつを押さえろ!いいな!」エクウスがプリシラに叫ぶと、プリシラはワイルドの様子をみながら、無言で縦に首を振った。


 切り裂かれた体から白い煙を上げながら、むくりと起き上がるワイルド。縦に裂かれたはずの傷が消えていく。


「異教徒をかばうとはぁ……深紅ぅ……貴様も粛清(しゅくせい)が必要なようだな……」ワイルドはかぁぁっと口を開き上下の歯の間には白い線が繋がりにちゃりと笑う。嗜虐(しぎゃく)加虐(かぎゃく)の色を帯びた、瞳孔まで見開いたような不気味な眼を向けた。


 プリシラは息をのんだ。大剣を握る手が震えていた。ナハト、エクウス、聡介がその様子を固唾をのんで見守っている。


 緊張が走る。


 ワイルドは二本の銃剣を手に取り十字を切った。そして、地面を銃剣でがりがりと削りながら、ゆっくりとプリシラに近づいた。


「我らは神の代理人……神罰の地上代行者……我らが使命は……我が神に逆らう愚者を……その肉の最後の一片までも……絶滅すること……」


 プリシラの前まで来るとワイルドは聡介の方を一瞥して眼を見開いていった。


Amen(エイメン)……貴様らは震えながらではなく藁のように死ぬのだ」

 ワイルドは歩き続け、プリシラの横を通過すると立ち止まり……

 二本の銃剣でプリシラを薙いだ。


 プリシラは大剣でそれを受け止めた。腕がしびれた。


 ワイルドは両手の銃剣で連撃(れんげき)を繰り返す。一発一発が重く、速く、プリシラの肌が切り裂かれ鮮血が周囲に散った。


 プリシラは大剣を振った。ワイルドはそれを後方に飛んで避けると法衣(ほうい)の中に手を入れ、大量の銃剣を握った。


 その銃剣を一斉にプリシラめがけて投擲(とうてき)した。


 プリシラはその銃剣を避けようとしたが、プリシラの肩や、太ももをかすめ割いた。


 プリシラは膝をついた。大剣を杖代わりにして体を支えていた。


「馬鹿め、深紅!戦乙女を使え!そんな凡骨に負けることなどこの俺様が許さん!」エクウスが叫んだ。


 プリシラが後ろに飛んで距離を取った。


「エクウス、いいヒントをくれたな……」プリシラはそうつぶやくと、手を頭上に掲げ叫んだ。


「召喚術!戦乙女の加護(ヴァルキリー・ソウル)!」


 羽の生えた九人の戦乙女が舞い降りると、それぞれが虹の七色、白色、黒色の光の玉に変わった。光の玉はプリシラの掲げた手の平に収束した。


憑依合体(オーバーソウル)戦乙女(ヴァルキリー)!」


 プリシラは、そう叫ぶと、光の玉を体に取り込んだ。


 辺りにまばゆい光が広がった。


 光が消えたとき、プリシラは、十八本もの輝く腕がついた、白金(プラチナ)の軽鎧を身に着けていた。その腕は九色九対の手甲で飾られていた。


「フゥン!あれは術者の大剣と十八の手が持つ片手剣で攻撃をする攻撃特化のモード千手(センジュ)。このモードで繰り出す無数の斬撃は『千手ブレイド』と呼ばれている……」エクウスが説明をしながら一呼吸置いた。


「だが、やはり負け犬。剣までは持ち込めなかったようだな。拳で繰り出すその技はさしずめ『千手パンチ』とでも呼んでやろう!わーっはっはっは!」エクウスは高笑いをしながら説明した。


「ああ……その名前は想像できる……というか聞いたことありますね」聡介は冷静に返した。


 プリシラは大剣を置き、二十の拳を握り構えた。


「ワイルド、この姿になった私には勝てん……退け……」プリシラはワイルドを睨んだ。


 ワイルドはじりじりと近寄っていたが、その言葉を聞き立ち止まった。


 銃剣を十字に合わせ、口を開き、かぁぁぁと不気味な息を吐くと叫んだ。

「退く!?退くだと!?この私が!?我々神罰の地上代行イスカペナウムの第13課が!?ナメるなよ売女……私が貴様ら汚らわしい異教徒共に引くとでも思うか!?(だぁれ)が退くものかぁっ!異教徒共はぁっ!全員残らず裁いてやるぅっ!」


「……」プリシラはワイルドに対して、


ゆっくりと左手を腰に当て、


後ろに重心を倒し、


右手の人差し指を突きつけつつ叫んだ。


「裁くのは私の戦乙女(ヴァルキリー)だ!!」

お読みいただきありがとうございました。後編は明日17時10分に公開します。

次回はプリシラとワイルドのバトル展開となります。前書きにもありますが飯テロ要素は皆無ですが、懐かしのマンガ・アニメのオマージュだらけですのでぜひお楽しみください。


TO BE CONTINUED →



※筆やすめなので不定期更新です。ご了承ください。

※本作は各作品へのオマージュ・パロディを含みます。権利者の方でご不満がある場合はご連絡ください。

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