【全年齢】第六話後編:神父様を夕張メロンで「キャッチマイハート」させた話
前編のあらすじ
・聡介、プリシラが仏間を掃除していたら神父「華麗なる再生者」フィリッポス・ワイルドが異世界からやってきた。
・ワイルドが夕張メロンで「ベリーメロン」
・仏間を見たワイルドが激おこぷんぷん丸、「Amen」からの「深紅の戦乙女」プリシラに対する「売女」発言
・プリシラも激おこぷんぷん丸で、「裁くのは俺のスタンドだ!」
※平野先生。雷句先生尊敬してます。ごめんなさい。
※若本さんの作品も大好きです。
※後編についてはいろんな作品のオマージュが出ます。全部大好きです。とにかく大好きです!
・今話の飯テロ要素はオイが美味しくいただきました。そのためオイは登場しません。
・繰り返しになりますが七話は飯テロ要素満タンにする予定です。
「フゥン…そういえば大切なことを言うのを忘れていた」エクウスが聡介の方を見ていった。
「どうかしましたか」聡介はエクウスの方を見た。手にはメロンが乗った皿を相変わらず持っていた。
「深紅の戦乙女の加護はモードによって、深紅自身に戦乙女一人一人の性質が色濃く反映される。モード千手では、星を愛する戦乙女の影響が強い……」
「どうなるんですか……」聡介は息をのんで質問をした。
「その戦乙女は性格が苛烈で、術者は攻撃的になる……」エクウスが珍しく神妙な面持ちでいった。
眼前ではワイルドとプリシラが無言で見つめあっていた。
「ゴゴゴゴゴ……」
ナハトが急につぶやいた。
「どうしたんですか。ナハトさん、急に」聡介は困惑した。
「作者がつぶやけとそういっていた!仰せの通りにぃいいい!」ナハトは両手を広げて叫んだ。
「ああ……そうですか……」聡介は考えるのをやめてそういった。
プリシラは二十本の手を握りこみ、拳を繰り出した。弾幕のごとき圧倒的連打がワイルドを襲った。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」
プリシラは全身の空気を吐き出すかのように叫ぶと精密な動作で拳を繰り出した。
「ラァッシュの速さ比べかぁっ!」法衣に手を入れ、両手に大量の銃剣を握ると、プリシラの拳めがけて全力で投擲した。
それと同時に二本の銃剣での連撃を繰り出した。
無数の金属音、手甲と銃剣がぶつかり合う音が響いた。
双方のラッシュは止まらない、二十の腕から繰り出す拳に、二本の銃剣が拮抗状態だった。
「深紅!そのままではらちが明かん!あれを使え!」エクウスは叫んだ。
「おおおおおおぉぉぉぉ!」プリシラは叫ぶとワイルドの銃剣での連撃を、九本の右手で受け止めた。そして、その反動を九本の左手にため込み、自分の力を加えて一気にワイルドの顔めがけて拳を放った。
『千手ブレイド改め千手パンチ因果応報っ!』プリシラが叫ぶと、ワイルドが吹き飛んだ。
「ぶるあああああああああああああああああああ!」
ワイルドは吹き飛んだ。受け身を取ったが、膝をついて崩れ落ちた。右腕が異様な形に曲がっていた。ワイルドはそれを無理やり左腕でつかみ元に戻すと白い煙を上げて見る見るうちに半身が回復していった。
「……」ワイルドはプリシラをにらむと、くはぁぁぁっと長い息を吐いた。
そして、両手を斜め上に掲げた。ワイルドの法衣の両腕、両膝、そして、股間に描かれたWの紋様を描く線が緑に怪しく光り始めた。それと同時にワイルドの体全身を光の壁が包んだ。
ワイルドは続けた。
「怒りのパワーを右肩に……レブレナト!」右肩にある十字架が緑色に輝いた。
「フゥン!あれはワイルドの得意とする神聖殲滅型召喚術!神を体に宿し力を行使する、その威力は魔界に潜入した神官がとある大陸で使用したが、その大陸が消滅したというほどだ!この一帯が消し飛ぶぞ!深紅!全速全身で阻止しろ!」エクウスが叫んだ。
「とりあえず召喚術っていっとけば何とかなるんですかね」聡介は突っ込みを入れた。
「フゥン……」エクウスはそれ以上何もいわなかった。
ワイルドは詠唱を続けた。
「憎しみのパァウワァーを左肩にィ……レブレナトォ!」左肩にある十字架が緑色に輝いた。
「我が強さをぉ右膝に……レブレナトォッ!」右膝にある十字架が緑色に輝いた。
「誇り高きィ心をぉ左膝にぃ……レブレナトォッ!!」左膝にある十字架が緑色に輝いた。
プリシラは拳を握り攻撃を仕掛けた。
「おぉおおおお!オラオラオラオラオラァ!!!」鋼鉄音とともに拳は光の壁に弾かれてしまった。
「馬鹿めぇ!レブレナトをしている間は、神の加護で一切の攻撃が無効となぁる!ブラッラッラッラ、イーハッハッハァ!」ワイルドはプリシラを指をさし、口を押さえると不気味な野太く甲高い声で笑った。
プリシラはそれを聞いて深呼吸をしてワイルドを見据えた。
「かったるいことは嫌いだからな……このままぶち壊させてもらうぜ」プリシラは大きく息を吐きながら全拳に力を入れた。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ オラオラオラオララオラオラオラ!オラァアアアアアアア!」プリシラは少年漫画であれば3ページ半分くらいの長さで連撃を叩き込んだ。
「無駄無駄ァッ!我が美しさを……」ワイルドはプリシラを蔑むような眼で見た。
「股間の神父にぃっ!」股間にある十字架が怪しく光った。
「レブレナトぉっ!」
それと同時に股間にある一際大きな十字架が深緑色に輝いた。
「全然元気だ!詠唱が止まらない。あと、股間の神父って……」聡介は突っ込まずにいられなかった。
「やれやれだぜ……こんなに頑丈な障壁は初めてだ。代わりに自分の自信がぶっ壊れそうだ……」プリシラは汗をかきながらつぶやいた。
「やむを得ないか……」プリシラは一歩前に出るとワイルドの前に立った。
すべての拳を前に集めると肘を曲げ、腰を落とし身構えた。
「やめろ無謀だ深紅!死ぬぞぉ!」エクウスが叫んだ。
「Wゥ……の……華麗な力をォ……頂点にィ……レブゥレナトゥ!」それと同時に法衣に走るWの線が、十字架が、股間の神父が、激しく緑色に輝き周囲を包んだ。
「異教徒どもめ!完全に消し去ってやるぞ!」ワイルドが、大きく息を吸い込んで、目を見開くと咆哮した。
「レプレナトぉ!エミッシオンんぅぅぅ!」
それと同時にワイルドの眼前に、Wを象る緑色の巨大な光線が放出された。
「オオオオオオオオォっ!」プリシラが十八の手甲でそれを受け止めた。踏みしめる地面は砕け、大気が揺れた。プリシラはその場に踏みとどまり耐えていた。
「いいぞ!抑え込め!深紅!両手の出力を高めろ!」エクウスが叫んだ。
「無駄だぁっ!その程度の力では神の力、レブレナト・エミッシオンは防ぐことなどできぬぅ!ダメ押しのぉ!レブレナトゥオッ!」ワイルドを包む光と、光線がさらに深い緑に変わった。
プリシラの体が地面にめり込んだ。手甲にひびが入り数本が砕け散って消えた。
「ちっくしょおぉおお!」プリシラは叫んだ。
「消えるな!消えるな!深紅ぅぅぅ!」エクウスも叫んだ。
「こなくそぉおおおお!」プリシラはさらに叫んだ。出力の低い左腕側から血が噴き出した。
「……」聡介はその三人のやり取りを尻目にメロンの乗った皿を持ったままゆっくりとワイルドの後ろに近づいた。
じっと観察すると、ワイルドの光の障壁は消えているようだった。
聡介は足を後ろに大きく振りかぶると……
非情にも……
大胆かつ冷静に……
股間の神父を後ろから蹴り上げた。
「ワーオゥ!」ワイルドは甲高い声を上げると……
膝をついて崩れ落ちた。
「私の神父を蹴り上げないでぇ……」
同時にWを象る禍々しき深緑の光線が霧散した。
「はぁはぁ……ぜぇぜぇ……」プリシラの背中から生えている手甲は一本だけになっていた。全身は血にまみれ、息も絶え絶えだった。
「股間の神父を蹴られて動けないぃ……頭も痛い、吐き気もする……」ワイルドは股間の神父を押さえ、腰をたたいていた。
プリシラは残った一本の手甲を無言で回し始めた。一回転すると手甲の周りに赤い線がまとわりついた。二回転、三回転と回すと、赤い線は赤い渦へと姿を変えた。手甲を回すたびにその渦は大きくなっていった。
「あれは千手モードの最終奥義……回せば回すほど威力が増すと言われている回転式の刺突……」エクウスは息をのんで見守った。
歩きながら手甲を回し続けるプリシラ。だが、全身は自身の血液で深紅に彩られ、意識は朦朧としていた。ぶつぶつとうわ言をつぶやきながら徐々にだが、ワイルドに近づき歩いていた。
「右の拳でぶっ飛ばす。まっすぐ行ってぶっ飛ばす。右の拳でぶっ飛ばす。まっすぐ行ってぶっ飛ばす。右の拳で……」
手甲を回す度に、まとわりつく赤い渦が大きくなる。
ワイルドはその様子をみて恐怖に汗を流した。股間の神父が痛み、足がすくみまだ動けずにいた。
血まみれの深紅の戦乙女。
深紅の髪が、眼が。
血で深紅に染まった顔が、全身が。
そして、禍々しいまでの殺気を放つ深紅の渦を帯びた腕が。
ゆっくりゆっくりと、念仏を唱えるようにぶつぶつつぶやきながら、ワイルドの目の前まで迫ってきた。
「私のそばに近寄るなぁぁぁぁ」股間の神父を押さえたまま、震え、脂汗を流し、プリシラを指差しそう叫んだ。
プリシラはワイルドの前に立った。手甲は十分に回し終えていた。
深紅の大渦をまとう手甲を後ろに大きく引き、右手を開いた状態で照準を定めるように構えた。
そして、高速回転する最後の拳を前に突き出し、叫んだ。
「深紅の廻天ぉぉぉぉぉぉおっ!!!」
拳がワイルドの顔にめり込んだ。骨のきしむ音、砕ける鈍い音が辺りに広がった。鈍い音のあと高速回転しながらワイルドは吹っ飛んだ。それと同時にプリシラの白金の鎧も、最後の手甲もはじけ飛んだ。
「ぶるああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ……!」
ワイルドは弾み、転がり、縁側を砕き、門戸を転がり抜け、家の前の道路に出て、体をVの字にして倒れた。
ワイルドは、身体を振るわせ、股間の神父を押さえながら立ち上がろうとした。
だが、その時、大きな声が聞こえた。
「おい!人がいるぞ!止まれ!」救急隊員が大きな声を上げた。
ワイルドは股間の神父を押さえたまま、
救急車に頭をつぶされた。
「……」沈黙が訪れる。
救急隊員は事態が呑み込めず息をのんでいた。
ワイルドの頭はつぶれた。確かにつぶれたはずだ。
だが、ワイルドの頭はあった。
ワイルドは立ち上がった。相変わらず股間の神父を押さえていた。
ワイルドは無言であたりを見渡した。
「ここはどこだ……私は一体……」
「記憶がないんですかね……」聡介はワイルドの様子をみていた。
「そう……かもしれん……」プリシラはエクウスに支えられながら、息も絶え絶えとその様子をみていた。
聡介は何かを思いついたように無言で仏間の方に歩いた。そして、手に持ったメロンを軒先に置いた。
そっと仏間の扉を閉めて、音を立てないように細心の注意を払い、鍵をかけた。
ワイルドは軒先に置かれたメロンを見つけておだやかな顔で笑った。
「おかわりだっ……」
メロンを手に取り咀嚼する。無言で咀嚼する。一つ、二つ、三つと皮だけに姿を変えていくメロン。
ワイルドはメロンを全部食い尽くすと叫んだ。
「キャッチぃぃぃ!」
「マぁイ!」
「ハーーーーーーーートぉう!」
「ベルィィィィィィーーー」
「メェロォン……」
プリシラはその様子をただ見ていることしかできなかった。ボロボロの体で動くこともできず、食べたかったメロンを蹂躙された。がくりと膝をつくとつぶやいた。
「今回はこんなに戦ってボロボロになったのに……それでも私はメロンが食えぬというのか……なんということだ……心が折れた……もう私は戦えない。こんな気持ちでは。騎士として失格だ。くっ……殺せ。殺してくれ……」
ワイルドは、プリシラに歩み寄ると、プリシラの手を取った。
「な……何をする気だ……もう、私は指一本動かす力はないぞ……」
ワイルドは口からメロンの種をプリシラの手のひらにブッと吐き出して、プリシラの指に手を重ね握らせると微笑みながら言った。
「一粒の種は100万のメロンを生む。これだけは忘れるんじゃあないぞぉ」
プリシラは微笑み返した。
そしてメロンの種を弱弱しく……
いや、万力の力を込めて握ると、
「普通に汚い!」種を地面に投げ捨てた。
「今までで一番最悪のオチじゃないかーーーー!作者――――――!」
戦乙女の慟哭が夕焼けでオレンジに彩られる空に響いた。
「今あの人ひかれてませんでしたか!?」救急隊員は、ワイルドの方を指さし、聡介に聞いた。
「いや……気のせいですよ」聡介は頭をかきながら答えた。
「それはそうと、怪我人は?さっき人が切られたとか何とかで、大けがをしたと通報されましたよね?」別の救急隊員が聡介に詰め寄った。
「切られた人はいないですが、あの人血まみれなので連れて行ってあげてください」聡介はプリシラのことを指さした。
「ああ!本当だ!タ、タンカだぁ―――、早くしろ!!」
救急隊員があわただしく動き出すと、血と涙に濡れた戦乙女はストレッチャーに乗せられ、病院へと運ばれていったのだ。
お読みいただきありがとうございました。
第六話は前後編通じてかなりの量のオマージュがあるので、4月28日17時10分に元ネタを特別編として公開します。ワイルドの命名の由来なども掲載予定ですので興味あれば見てください。なお、原作のネタバレを一部含むので注意ください。
次回、予告!
聡介が寝室に入るとそこには軍服の女性がマンガを読んで寝転んでいた。
「一は全、全は一」
女性が語るその言葉に聡介は食の在り方を改めて考えさせられる!
次回、騎士団長は料理の魅力にあらがえない
第七話:魔法軍団少将を豚づくし御膳で「一は全、全は一」させた話
次回も見てくれよな!なお、第七話公開は不定期更新なので未定です。ほぼ書き終えているのでゴールデンウィーク中には公開したい気持ちですがブックマークしていただければ見落としません。
作者が別で書いている「父娘転生」という長編の方に集中するので少し間が空きます。こんなくだらない話とは違うヒューマンドラマです。興味ある方は検索ください。
※筆やすめなので不定期更新です。ご了承ください。
※荒木先生、富樫先生、武井先生、三条先生、稲田先生尊敬してます。富樫先生はHUNTER×HUNTER書いてください。
※本作は各作品へのオマージュ・パロディを含みます。権利者の方でご不満がある場合はご連絡ください。




