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同じレールの上で  作者: ゆっさん
第1章 『日常』
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第1話 『出発進行』

特急「しらなみ」は、今成駅を定刻で発車した。


「ドア閉まりまーす」


星華の声がホームに流れる。

ブザー。


「出発進行」


仁十はマスコンを入れた。


ディーゼルエンジンが唸り、列車はゆっくりと動き出す。


ホームの端で駅員が敬礼を送る。

それに軽く視線で応える。


見慣れた出発だった。


「今日は少なめだな」


「平日ですから」


短いやり取り。


列車は速度を上げ、今成の街を離れていく。


黒坂。

飯蔵。


小さな駅を次々と通過する。


レールを刻む音だけが、一定のリズムで続く。


「この先、縄島まで一気だな」

「はい」


停車はない。


特急らしく、速度を保ったまま走り抜ける。


やがて、前方に街の規模が大きくなっていく。


線路の数が増え、列車の往来も増える。


縄島。


縄島鉄道最大の拠点。


「まもなく、縄島。縄島です」


星華のアナウンスが流れる。


仁十はブレーキに手をかける。


距離を測り、タイミングを取る。


一段。


さらに一段。


分岐器を渡る振動。


列車は減速し、ホームへ滑り込む。


停止。


「ドア、開けます」


一気に人の流れが増える。


乗り換え客。

通勤客。

旅行客。


この駅だけ、空気が違う。


「やっぱ多いな」

「ここは別格ですから」


ドア閉。


「出発進行」


再び発車。


列車はそのまま南へ進む。


次の停車駅、須賀原。


「次は、須賀原。須賀原です」


速度を落とし、短い停車。


乗客の入れ替えを終え、すぐに発車する。


再び巡航。


線路が分岐し始める。


やがて前方に見えてくるのは――


浦川口。


運行の要所。

空港アクセス線との分岐駅。


「次は、浦川口。浦川口です」


車内にアナウンスが流れる。


乗客の動きが増える。


仁十はブレーキを操作する。


距離、速度、勾配。


一段。


さらに一段。


分岐器を渡る音。


ホームが近づく。


列車は滑るように減速し、定位置に停止した。


「ドア、開けます」


乗客が動き出す。


それと同時に、ホームには次の乗務員の姿が見える。


特別なことではない。

いつもの業務の一つだ。


「引き継ぎ、行くか」

「はい」


二人は列車を後にする。


ホームに降り、次の乗務員と簡単な引き継ぎを行う。

必要な確認だけを済ませる。


それで終わりだった。


特急「しらなみ」は、この先も方南へ向けて走り続ける。


二人の乗務は、ここで終了した。

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