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プロローグ
日本のどこかにある島嶼型都市、縄島。
本島を中心に、複数の島々で構成されたこの地域は、独自の発展を遂げてきた。
最大都市・縄島市を中心に、西島市、羽奈川市、方南市、そして神郷郡。
それぞれが役割を持ち、一つの都市圏を形成している。
この地の交通を支えているのが、縄島鉄道だ。
今成から方南までを結ぶ本線を軸に、羽奈川支線、空港アクセス線、川坂支線が広がる。
電化区間と非電化区間が混在し、気動車と電車が共存するこの路線網は、
縄島の地理と歴史をそのまま映したものだった。
その中でも――
浦川口。
複数の路線が交差し、空港アクセスの分岐を持つこの駅は、運行の要所として機能している。
そして、この鉄道で働く二人の社員がいる。
運転士、佐倉仁十。
車掌、霜月星華。
同期として入社した二人は、現在も同じ列車に乗務することが多い。
真面目で冷静な判断を下す仁十と、淡々と業務をこなす星華。
性格は似ているが、どこか異なる。
それでも、日々の運行において、その違いが問題になることはない。
列車を定刻通りに走らせる。
それが彼らの仕事であり、役目だった。
そして今日も列車は走り出す。
いつも変わらないはずの、同じレールの上をーー。




