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同じレールの上で  作者: ゆっさん
第1章 『日常』
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第10話 『変わらないはずの日常』

特急「しらなみ 11号」第11Dは、定刻通りに走っていた。


エンジン音。レールを刻む振動。


変わらないリズム。


運転台。


仁十は前方を見据えたまま、計器に目をやる。


速度。規定内。

時刻。問題なし。


そのまま維持する。


やがて、終点が近づく。


方南。


ブレーキ。


一段。


さらに一段。


速度が落ちる。


ホームへ進入。


――停止。


ズレはない。


「ドア、開けます」


ドアが開く。


乗客が降りていく。


終点。


流れが一度、途切れる。


運転台。


仁十は時計を見る。


定時。


問題はない。


「……交代だな」


「はい」


運転台のドアが開く。


次の乗務員。


軽く会釈。


「異常なし」


「了解」


短い引き継ぎ。


それで十分だった。


仁十は席を立つ。


運転台を降りる。


星華も続く。


ホーム。


さっきまで乗っていた列車。


ドアが閉まる。


ブザー。


ゆっくりと動き出す。


別の乗務員が、そのまま今成へ向かっていく。


仁十はその後ろ姿を一瞬だけ見る。


何も言わない。



方南駅。


乗務員詰所。


ドアを開けると、外の音が途切れる。


机。椅子。時計。


数人の乗務員。


それぞれの時間。


仁十は席に座る。


帽子を外し、机に置く。


それだけ。


星華も少し離れて腰を下ろす。


会話はない。


必要がない。


時計の針が進む。


静かな時間。


「……少し空くな」


仁十が小さく言う。


「はい」


短い返事。


それで終わる。


外では、列車が出ていく音。


ここには届かない。


ただ、時間だけが流れる。



しばらくして、立ち上がる。


「行くか」


「はい」


短い返事。


詰所を出る。


再びホーム。


次の列車が入ってくる。


特急「しらなみ 14号」第14D。


今成行き。


ドアが開く。


乗客が動く。


いつもの流れ。


変わらない。


「乗務、入ります」


運転台へ。


交代。


「異常なし」


「了解」


短い引き継ぎ。


それで十分だった。


ドアが閉まる。


「出発、合図」


ブザー。


列車が動き出す。


運転台。


仁十は前を見る。


通路。


星華は歩き出す。


同じ確認。


同じ動き。


何も変わらない。


特急「しらなみ」第11D、そして第14D。


流れは続く。


日常は続く。


それが、変わらない日常だった。

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