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特別ダンジョンへ入れるカードキーと新たなダンジョンに入れるカードキーを手に入れたはいいがこれをこの国で使用することができないのが残念だ。
まず黙って使用すればまず間違いなくバレる。何しろ王子までもが最高級ポーションを探してダンジョンに入っているからには管理も徹底しているだろうし、それにたとえこっそり設定しても攻略しようとすれば痕跡が残り絶対に誰かに気付かれるだろう。
そうなれば国の許可なくダンジョンに入り、あっさりカードキーを手に入れたのを話さねばならなくなり、結果国の法律に従い権利も含めてすべて取り上げられることになる。
王も宰相も隷属させているのでどうにでもできるなんて考えていたらきっと痛い目に合う。
なにしろ法律が関わってきたら隷属させているいないは関係ないので、自分の権利だけを主張しやりたいことをしたらそれはまるで暴君のようなものだ。
私にはそれができる程まだ心は強くないし、その辺を上手く丸め込むだけの知識も経験もない。
多分セイラン辺りならきっと何か上手い抜け道を見つけ出し、自分の思うようにしてしまうのだろうが今さらセイランには頼れない。
それに置き手紙を書いてはいないけれど、寝心地最高の布団をいただいて貴賓室を出てきている以上この国を出る覚悟を見せたようなもので、今さらやっぱり無しなんてことにするのもバツが悪いと言うより絶対に嫌だ。
「出る出る詐欺だよなぁ…」
国を出る覚悟を見せ、いずれは国を出るを口にしながらもしこの国に滞在し続けたらそれこそ自分自身に呆れ自分を嫌いになってしまいそうだ。
肝心なところと言うか変なとこで小心者気質が顔を覗かせ、結局日和ってしまう自分の性格を残念に思うけれどそう簡単には治らない。
だから尚更これ以上いいように利用されそうなセイランには関わるべきでないだろう。
「となったらコレを堂々と使える国を探すしかないんだよな」
折角手に入れた宝をすぐには使えないと思うと残念でならず、諦めきれない心がまだこの国に滞在しどうせなら暴君にでもなってしまえと言っている。しかしまたどこか別のところで楽しみは先に延ばした方がより楽しめるとも言っていた。
それとまた別にどこかで野良のダンジョンを見つけたら、そこで設定し自分の好きなようにダンジョンを開拓し街を作る事もできるのではないかとの考えも浮かんでいた。
野良のダンジョンとは新しいダンジョンの杭を抜いて別の土地に移植させるのではなく、ダンジョンとして既に定着していながらまだ発見されていないダンジョンのことを言う。
こういう初めから杭を打ち込まれ定着しているダンジョンはカードキーなしでも誰でも入れる。
ごく希に発見されることもあるらしいが、そもそも野良のダンジョンが見つかる場所などどこかの無人島か秘境か魔境かなんにしても人が寄りつかない場所と決まっている。そうでなければとうに見つかっている筈だからね。
「そうか、見つかる前に杭を抜いて持ち出してしまえば良いのか」
誰もダンジョンに入らない夜のうちに新しいダンジョンをこっそり設定し、朝までに杭を抜いてしまえば持ち出しも簡単だ。
そうすればたとえ痕跡が残りバレたとしても、その時には既に新しいダンジョンを持ち出して出国しているなんてこの国にとって最高の嫌がらせになる。
何しろ禁忌の召喚にまで手を出して欲しがった物だ。それを最後の召喚者となった私が簡単に見つけ持ち逃げしたと知ったらあの王もセイランもさぞかし悔しがるだろう。
何かの法律に触れ指名手配され追っ手を差し向けられようと返り討ちにするのも逃げるのも難しくはない。
それに移植できる新しいダンジョンを持っているとなると、あとは自由になる土地かそれこそ無人島でも手に入れてプライベートダンジョン化させたら一人で好きなだけ攻略も可能だ。
新たなダンジョンは最高十五個まで増殖可能。ただし元となるダンジョンと大きく環境が変わることはなく魔物だけが強くなって行くので旨味のないダンジョンを増殖させる意味は無く、また別の場所に移植するのは不可なので増殖させたダンジョンは同じ場所に設定しなくてはならない。
もし途中で移植を考え杭を抜いたら元のダンジョンしか残らず、増殖させたダンジョンは消滅してしまう。
だから新たに見つけたこのダンジョンがスローライフも夢ではない環境のダンジョンだったなら、私はそれ以上新たなダンジョンを見つける必要も無く好きに開拓し好きなだけダンジョン攻略を楽しめる。
「それいいね」
ダンジョン管理人が撤収するのを待って、夜のうちに新しいダンジョンを設定し攻略してしまおうと決め、それまで休んでおこうと考えて宿を探すのだった。




