第57話 北方水都アクアリアの闇と、湖底を繋ぐ絶対安全航路
第57話 北方水都アクアリアの闇と、湖底を繋ぐ絶対安全航路
軍事国家ヴァルカン帝国の理不尽な侵略を、圧倒的なインフラと防衛力によって完全に退けた『安全第一商会』。彼らが次なる交易の拠点として目を付けたのは、ゼフィラス王国の北方に位置する巨大な淡水湖『レムリア湖』の畔に築かれた、歴史ある美しき水上都市『北方水都アクアリア』であった。
死と幻覚が渦巻く『迷いの森』の遥か上空を貫くようにして、トウヤの規格外の錬金魔法によって架けられた巨大な『空中魔導ハイウェイ』。その真っ白な防護壁に守られた道を猛スピードで駆け抜けてきた漆黒と黄金の装甲列車『安全第一エクスプレス』の到着は、異常気象による魔獣の狂暴化で外部との連絡を完全に絶たれ、ゆっくりと滅びへの道を歩んでいた水都の人々にとって、まさに空から舞い降りた奇跡の光景であった。
エクスプレスの巨大な貨物車両がプシューッという排気音と共に開き、中から次々と運び出されるのは、南方大陸エルドラドやゼフィラス王国王都からの新鮮な肉、瑞々しい野菜、甘い果物、そして何より、都市の結界を維持するために不可欠な純度の高い魔力結晶の山であった。
寂れ果てた港の広場に恐る恐る集まったアクアリアの市民たちは、信じられないものを見るような目でそれらの物資を見つめ、やがて誰からともなく歓喜の声を上げて泣き崩れた。長引く飢えと物資不足、そして明日は魔獣に食い殺されるかもしれないという恐怖に苦しんでいた彼らにとって、それは文字通り命を繋ぐ希望そのものだったのだ。
「トウヤ様……。貴方様たち安全第一商会がもたらしてくれたこの莫大な物資、そして決して越えられないと言われていた『迷いの森』を安全に越える空の道……。アクアリアを統べる領主として、なんとお礼を申し上げればよいか、言葉もありません……!」
透き通るような青い髪を湖からの風に揺らし、アクアリアの若き領主であるシズクが、トウヤの前に深く膝をついて深々と頭を下げた。彼女の美しく可憐な顔には、長きにわたる心労と、領民を救えない無力感からくる深い疲労が色濃く刻まれていたが、その瞳には今、確かな希望の光が宿っている。
「頭を上げてくれ、シズク殿。俺たちは商人だ。困っている相手に物資を届け、絶対に安全な物流網を構築して、その対価として適正な利益を得る。それが俺たちの至上理念である【安全第一】死に戻り商人の異世界スローライフ~万能魔法と『リトライ』を駆使して完璧な物流網とインフラを整備し、のんびり隠居を目指します~というビジネスのやり方だ。……だが、街を空から少し見た限り、そしてこの港の惨状を見る限り、現在のアクアリアの状況はただの『物資不足』だけが原因ではないようだな。何かに怯え、何かに搾取されている匂いがする」
トウヤが冷静かつ鋭い商人の視線で街の奥を見渡すと、シズクはハッとして唇を強く噛み、悲痛な表情で立ち上がった。
「……お恥ずかしい話ですが、トウヤ様のご慧眼の通りです。現在、この美しいはずのアクアリアは、内と外、両方から致命的な危機に瀕し、首の皮一枚で繋がっている状態なのです」
シズクの案内により、トウヤと特務チームの主要メンバーたちは、湖に面した美しい白亜の領主の館へと招かれた。通された広々とした応接室からは、広大なレムリア湖が一望できたが、その青く美しい湖面には時折、船を丸呑みにできそうなほど巨大で不気味な影が蠢き、大きな波を立てているのが見えた。
「まず『外の危機』についてですが、レムリア湖に生息する水棲魔獣の異常な凶暴化です。ここ数年の気候変動の影響で湖の魔力バランスが大きく崩れ、本来は深層にいるはずの巨大な『湖蛇』や、無数の触手を持つ『暴食水魔』が頻繁に浅瀬に現れ、街の防衛結界を直接攻撃してくるようになりました。結界を維持するための魔力結晶も完全に底を突きかけており、もしトウヤ様が来てくださらなければ、数日内に結界が破られ、街は魔獣の群れに蹂躙されていました」
シズクが震える指先で、今にもパチンと弾けそうなほど薄くなった湖側の結界を指差す。
「なるほど。だから漁船も一隻も出せず、湖底から採掘されるというアクアリアの特産品、希少な魔法鉱石『蒼海晶』も全く採れないわけだ。完全に経済活動がストップし、外からの物資も入らない。完全に詰み(ゲームオーバー)の一歩手前だな」
鼬人族の情報屋リンが、眼鏡を中指で押し上げながら、手元の魔導端末に情報を素早く打ち込んでいく。
「そして、もう一つの『内の危機』ですね。シズク様、私が先ほど街を少し歩いて調べたところ、そして裏のネットワークから収集した情報によると、この街が飢えに苦しんでいる非常事態にもかかわらず、一部の特権貴族や大商人たちが、残された食料や魔力結晶を不当に買い占め、法外な値段で市民に売りつけて暴利を貪っているという黒い事実を掴みましたが?」
リンの容赦のない鋭い指摘に、シズクは力なく、しかし悔しそうに頷いた。
「……はい。アクアリアの財務と治安維持を代々担当している大臣、ガルドス伯爵を中心とした一派の仕業です。彼らは私のような若く経験不足な領主を軽んじており、この危機に乗じて街の実権を完全に掌握し、自分たちだけの王国を作ろうと企んでいます。私が配給用の食料を放出するよう命じても、彼らは金で雇った屈強な私兵を盾にして、一切従おうとしません。私の力不足のせいで、善良な市民たちを苦しませてしまっている……!」
両手で顔を覆い、悔し涙を流すシズク。
「外には凶悪な魔獣、内には血をすする腐敗したダニどもか。……インフラを構築し、街を『絶対安全圏』にするためには、地盤の徹底的な清掃が必要不可欠だ。ゴミの上に綺麗な道は造れないからな」
トウヤは冷酷な商人の顔になり、出された紅茶のカップを静かにテーブルに置いた。
「俺たちの物流網を邪魔する害虫は、全て物理的・経済的に駆除する。シズク殿、この街の治安維持とインフラ整備の全権を、一時的に安全第一商会に委任してくれるか? もちろん、後腐れのないように完璧に片付けてやる」
「は、はいっ! トウヤ様がこの街を救ってくださるなら、喜んで全権をお預けいたします! どうか、どうかアクアリアをお願いいたします!」
シズクが力強く頷いたその時だった。
「おおっと、どこから湧いて出たか知らんが、余所者の分際でこの街で勝手な真似をされては困るな。このアクアリアのルールを決めるのは、青二才の領主の小娘ではなく、この私だということを教えてやろう」
応接室の重厚な扉が乱暴に蹴り開けられ、豪華なシルクの衣装に身を包み、高価な宝石をジャラジャラと身につけた肥満体の男――ガルドス伯爵が、数十人の完全武装した凶悪な人相の私兵を引き連れて、ドカドカと土足で踏み込んできた。
「ガ、ガルドス伯爵! 貴方、なんという無礼な真似を! 彼は私たちを救ってくれた恩人です!」
シズクが立ち上がって毅然と抗議するが、ガルドスは下卑た笑みを浮かべて彼女を完全に無視し、トウヤをねめつけた。
「貴様らが『迷いの森』を越えてきたという安全第一商会とかいう行商人か。……まあ、よくやったと褒めてやろう。貴様らが持ってきたあの山のよう食料と魔力結晶、そしてあの巨大な鉄の列車は、このアクアリアの危機を救うため、治安維持の責任者である私が全て『接収』してやろう。安心しろ、後で端金くらいの対価は払ってやる。嫌とは言わせんぞ」
ガルドスは、自らの権力と私兵の武力に絶対の自信を持っているらしく、極めて傲慢な態度でトウヤを見下した。
「接収、だと? 俺たちの血と汗の結晶であるインフラと物資を、お前のような腐敗した三流貴族が独占しようというのか。……笑えない冗談だ」
トウヤの瞳が、氷のように冷たく、そして鋭く細められる。
「なんだと!? 貴様、この私に向かって三流だと!? ええい、この無礼な余所者どもを捕らえろ! 抵抗するならその場で斬り捨てても構わん! 列車と物資は全て私のものだ!」
ガルドスの怒号と共に、屈強な私兵たちが一斉に剣や斧を抜き、トウヤたちに向かって殺意を剥き出しにして襲いかかろうとした。
「……交渉決裂だな。ザック、リュウガ、ガレス、ヴォルグ。……ゴミ掃除の時間だ。殺さない程度に、徹底的に教育してやれ」
トウヤが静かに指を鳴らす。
「おうっ! 待ってました! 腐った貴族の金で動く私兵なんて、斬る価値もねえがな! 峰打ちで十分だぜ!」
人間の冒険者ザックが、鞘に入れたままの紅蓮隕鉄の巨大なバスターソードを無造作に振り回す。
「フン。身の程知らずの愚か者どもめ。真の竜の覇気を前に、立っていられると思うなよ」
竜人族のリュウガが、冷笑を浮かべて腕を組む。
「虎王の咆哮!!」
虎人族のガレスが腹の底からすさまじい咆哮を上げると、応接室の窓ガラスがビリビリと震え、私兵たちは本能的な恐怖にすくみ上がり、武器を持つ手が完全に止まった。
「オラァッ! 邪魔だ!」
ザックの大剣の強烈な峰打ちが炸裂し、私兵たちがボーリングのピンのように次々と壁際まで吹き飛んでいく。
「グルァァッ! 遅いぜ!」
狼人族のヴォルグが目にも止まらぬ速さで懐に飛び込み、私兵たちの剣や槍を次々と素手で叩き折り、顎に的確なアッパーを叩き込んでいく。
「ひぃぃぃっ!? な、なんだこいつらは!? 化け物か!?」
わずか数十秒。ガルドスが誇り、街を力で支配していた数十人の私兵たちは、一人残らず床に転がり、白目を剥いて気絶していた。
「ば、馬鹿な……。私のお抱えの精鋭たちが、一瞬で……!」
腰を抜かしてへたり込み、ガタガタと震えるガルドスを見下ろし、トウヤは冷酷な足取りで近づいた。
「俺は、俺の造り上げる安全な物流網を、己の私腹を肥やすためだけに利用しようとする輩を最も嫌悪する。……リン、ファラ。この豚が隠し持っている不正な財産と、溜め込んだ物資の隠し場所を全て洗い出せ」
「了解です、会長。すでに彼の屋敷に潜入し、裏帳簿のデータは全て押さえてあります。真っ黒ですね」
「隠し倉庫の場所も、私の部下である情報員たちが特定済みですよ。いつでも差し押さえ可能です」
リンと豹人族のファラが、ガルドスにとって死刑宣告に等しい言葉を並べ、不敵な笑みを浮かべる。
「シズク殿。この男の身柄と不正な財産、そして隠し物資は、領主である貴女に引き渡す。これで、街の『内の危機』は解決だな」
トウヤの言葉に、シズクは深く感動し、そして強い決意を持ってガルドスに向けて毅然とした態度で宣告した。
「ガルドス伯爵! 貴方のこれまでの領民を苦しめた悪行、そして領主への反逆罪により、直ちに地下牢へ投獄します! 貴方が溜め込んだ物資は、全て市民のために無償で解放します!」
「お、おのれぇぇっ……! 覚えておれ、余所者どもぉぉっ! 私がいなくなれば、この街は……!」
見苦しく喚きながら無様に引きずられていくガルドスを見送り、応接室にようやく平和な静寂が戻った。
「さて、害虫駆除が終わったところで、次は『外の危機』の解決と、本当のインフラ構築に取り掛かるとしよう」
トウヤは応接室のバルコニーに出ると、広大なレムリア湖を見渡した。
街を覆う結界は、魔力不足により今にもパチンと弾けて消えてしまいそうなほど薄く、透明になっている。そして、結界の外側には、獲物を待ち構えるようにして、全長数十メートルにも及ぶ巨大な『湖蛇』や、無数の触手を持つ『暴食水魔』が集結し、湖面を黒く染め上げていた。
「会長! 街の魔力結界が限界です! あと数分で完全に消滅しやすぜ!」
犬人族のマイロがレーダーを見ながら叫ぶ。
「ちょうどいい。あんな燃費の悪い旧式の結界など不要だ。俺が、物理的に魔獣を一切寄せ付けない、絶対に壊れない『絶対安全な防潮要塞』を構築してやる」
パリンッ……!!
ガラスが砕けるような鋭い音と共に、長年アクアリアを守っていた魔力結界がついに魔力切れで消滅した。
「ギシャァァァァァッ!!」
「ギュオォォォォォッ!!」
結界が消えたのを待っていたかのように、湖の魔獣たちが一斉に歓喜の咆哮を上げ、巨大な水しぶきを上げてアクアリアの街へと怒涛の勢いで襲いかかってきた。
「ひぃぃぃっ! け、結界が破られたぞ!!」
「魔獣だ! もう終わりだ、逃げろぉぉっ!」
港にいた市民たちがパニックに陥り、絶望の悲鳴を上げて逃げ惑う。
「落ち着け! シズク殿、市民を安全な高台へ誘導しろ。特務チームは俺が魔法を撃つまでの間、魔獣の足止めだ!」
トウヤの号令と共に、ザックたちがバルコニーから港へと一気に飛び出していく。
「街には指一本触れさせねえよ! オラァァァッ!!」
ザックの大剣が、上陸しようとしたレイク・サーペントの巨大な顔面を強烈に殴りつけ、強引に進行方向を逸らす。
「水には水だ! 水破竜巻!!」
リュウガが両手から放つ超高圧の螺旋水流が、グラトニー・クラーケンの無数の触手をちぎり飛ばし、湖の奥へと押し戻す。
しかし、湖から湧き出てくる魔獣の数はあまりにも多く、個人の武力だけで全てを捌き切るのは不可能であった。
「時間稼ぎは十分だ。……これより、アクアリアの港を『絶対安全圏』へと書き換える!」
バルコニーに立つトウヤが、両手を湖に向けて大きく広げ、彼の中に眠る規格外の莫大な魔力を解放した。
「『全魔法創造』――『超広域氷属性魔法・絶対零度の城壁』、からの『錬金魔法・超重装甲防潮堤構築』!!」
カッ……!!!
トウヤの両手から放たれた極低温の青白い魔力波が、アクアリアの港周辺の湖面を一瞬にして分厚い『魔導永久凍土』へと変貌させた。
襲いかかってきていた巨大な魔獣たちは、空中に飛び出した姿勢のまま、あるいは湖面に触れた瞬間に細胞レベルで完全に凍りつき、美しい氷の彫像と化していく。
ズゴゴゴゴゴォォォォォッ!!!
さらにトウヤの錬金魔法が発動し、凍りついた魔獣ごと、湖水と湖底の岩盤が分子レベルで分解・再構築されていく。
アクアリアの街を半円状に囲むようにして、純白の魔導コンクリートと漆黒の紅蓮隕鉄で構成された、高さ五十メートル、厚さ二十メートルにも及ぶ超巨大な『防潮要塞』が、湖の中から凄まじい地響きを立てて隆起し、一瞬にして構築されていったのだ。
「な、なんという事だ……。湖が一瞬にして凍りつき、魔獣ごと巨大な壁が……!?」
シズクが信じられない光景に言葉を失い、へたり込む。
完成した防潮要塞の上部には、ニアが即座に同期させた全自動の『魔導防衛ガトリング砲』がズラリと並び、空にはエルフのシルフィの魔法と連動した不可視の防空・浄化結界が張り巡らされた。
「これで『外の危機』も排除完了だ。魔獣どもは、二度とこの街の土を踏むことはできない」
トウヤはバルコニーから飛び降り、平和を取り戻した港の地面に降り立った。
「……しかし、これだけでは終わらない。アクアリアの真の価値は、湖底に眠る『蒼海晶』だ。魔獣がうろつく危険な湖底でも、絶対に安全に採掘ができ、物資を運べるインフラを構築する」
トウヤはセイレーン族の海先案内人、セレンを呼んだ。
「セレン。お前の美しい歌声で、湖の中に隠れている水棲の亜人たちを呼び出してくれないか。彼らと、これからの街のことについて交渉したい」
「わかったわ、トウヤ様! 私にまかせて!」
セレンが防潮要塞の先端に立ち、美しく透き通るような魅惑の歌声を、静かになった湖の奥深くへと響かせる。
しばらくすると、波一つない湖面から、美しい人魚の姿をした亜人――マーメイド族の集団が、警戒しながらそっと顔を出した。
その先頭に立つ、輝くような金髪とエメラルドの鱗を持つ人魚の少女が、セレンを見て驚きの声を上げた。
「セレンお姉様!? どうしてあなたが人間の街に……!?」
「メリル! 元気だった? 私の恩人であるトウヤ様が、あなたたちとお話がしたいって!」
メリルと呼ばれた人魚の少女――水棲亜人族の族長の娘が、恐る恐るトウヤの前に進み出た。
「初めまして、メリル。俺は安全第一商会のトウヤだ。あなたたちも、異常気象で凶暴化した魔獣のせいで湖底の住処を追われ、困っているのではないか?」
トウヤが優しく、しかし確信を持って尋ねると、メリルは悲しそうに深く頷いた。
「はい……。魔獣たちが暴れ回り、私たちのサンゴの村は壊滅状態です。私たちは隠れて怯えることしかできず、食べ物も……」
「なら、俺たちと協力しよう。俺が、湖底からこのアクアリアの港まで、魔獣が絶対に手出しできない『完全密閉型の魔導透明チューブ』を敷設する。あなたたちには、その安全なチューブの中で、蒼海晶の採掘と水産資源の確保を手伝ってほしい。もちろん、報酬として絶対に安全な住処と、地上からの豊かな食料、それに最新の魔導具を約束する」
トウヤの商人の顔での完璧な提案に、メリルは目を輝かせた。
「ほ、本当ですか!? あの恐ろしい魔獣から守ってくれて、美味しいご飯まで……! はい、ぜひ私たちマーメイド族も、安全第一商会に協力させてください!」
交渉成立と同時に、トウヤは再び規格外の魔力を解放した。
「『全魔法創造』――『水流制御・モーゼの奇跡』、からの『錬金魔法・完全密閉型・湖底魔導クリスタルチューブ生成』!!」
港から湖底深くへ向けて、湖水が真っ二つに割れ、その隙間に超硬度の透明なクリスタルガラスと魔導コンクリートで構築された巨大なトンネルが、轟音と共に一直線に敷設されていく。
チューブの内部は地上と同じ快適な空気が満たされ、水圧や魔獣の体当たりを完全に弾き返す絶対の強度を持っていた。これなら、マーメイド族たちは魔獣に怯えることなく、安全に湖底の鉱石を採掘し、そのまま港のターミナルへと運ぶことができる。
「す、すごい……! これが、トウヤ様の力……! 神の御業だわ……!」
シズクが涙を流し、その場に崩れ落ちるようにしてトウヤに祈りを捧げた。
「トウヤ様! 貴方様はアクアリアの、いや、西方大陸すべての救世主です! 私、シズクは、アクアリアの領主として、そして一人の女として、一生貴方様にお仕えし、安全第一商会にすべてを捧げることを誓います!」
こうして、内外の脅威によって滅びかけていた北方水都アクアリアは、わずか一日の間に、トウヤの圧倒的な武力とインフラ構築力によって難攻不落の『水都グランドターミナル』へと生まれ変わった。
夜には、獣人の少女ミアが用意した、アクアリアの新鮮な魚介類とエルドラドのスパイスをふんだんに使った『特製・湖の幸の極上パエリアと海鮮バーベキュー』の盛大な宴が開かれ、市民たちも、マーメイド族も、そして特務チームの面々も、皆が極上の笑顔で腹を満たした。
迷いの森を貫く空中ハイウェイと、湖底を繋ぐ安全なクリスタルチューブ。
新たなる巨大な物流のパイプラインと、美しい水の街、そしてマーメイド族という新たな仲間を手に入れた安全第一商会。彼らの造り上げる『絶対安全圏』は、この過酷な異世界を確実に行き渡り、平和と豊かさで塗り替えていくのであった。
【現在のステータス状況】
名前:トウヤ
年齢:18
職業:商人 / 冒険者(ランクS)
レベル:131 (超重装甲防潮堤の構築、および湖底密閉型クリスタルチューブの超長距離敷設により大幅レベルアップ!)
体力:1600/1600
魔力:85,000/100,000 (防潮堤構築と湖底チューブ敷設により大きく消費。現在急速回復中)
固有スキル:『リトライ(発動可能)』
魔法適性:全属性(火・水・風・土・光・闇・時空・無)
取得スキル:鑑定、算術、交渉術、全魔法創造、全武具習熟、気配遮断、錬金、空間把握、海洋環境制御、砂漠環境制御、要塞建築術、経済掌握術、毒物浄化制御、大規模地下掘削術、国家間交渉術、古代技術解析、広域インフラ防衛術、超高架建築術、【新】深海・湖底インフラ構築術
【仲間・後援者の状況】
ミア(獣人の少女):宴での「特製・湖の幸の極上パエリアと海鮮バーベキュー」が大絶賛。アクアリアの市民やマーメイドたちから「胃袋の女神」と崇められ、レシピの交換をしている。
シルフィ(エルフの護衛):アクアリアの浄化防空結界を新たに構築し、街の空気を常に清浄に保つシステムの管理を任される。
ザック(人間の冒険者):レイク・サーペントを物理で殴り飛ばしたことで、街の警備兵たちから剣の師匠として尊敬の眼差しを向けられる。
リュウガ(竜人族の戦士):水辺の戦いで本来の力を存分に発揮し、「やはり水辺は落ち着く」と上機嫌で宴の酒を飲んでいる。
ガレス(虎人族の戦士):腐敗貴族の私兵を咆哮だけで気絶させたことで、アクアリアの裏社会の連中からも恐れられる存在となる。
マイロ(犬人族の地図職人):湖底クリスタルチューブの完成により、レムリア湖の完全な安全航行・採掘マップの作成に没頭中。
ピピト(鳥人族の飛脚):アクアリアから王都ゼフィリアへの定期連絡便の運行ルートを確立し、商会の空の要として活躍。
リン(鼬人族の情報屋):ガルドス伯爵から没収した不正財産を完璧に管理・運用し、蒼海晶の市場価格を商会の都合の良いようにコントロールし始める。
ヴォルグ(狼人族の傭兵):熊人族のガルダと共に、アクアリアの新しい自警団の訓練教官として熱血指導を行っている。
ファラ(豹人族の女戦士):ガルドスの残党がいないか、夜のアクアリアの街を隠密行動で徹底的にパトロールしている。
セレン(セイレーン族の海先案内人):幼馴染のメリルとの再会を喜び、共に湖底のチューブ内での安全な歌のコンサートを開く計画を立てている。
ルミナ(ドワーフの機関技師):水都のターミナルに水力発電システムを組み込む設計を思いつき、徹夜で図面を引いている。
リラ(狐人族の商人):白砂商会アクアリア支部を設立し、蒼海晶と水産資源の西方大陸全土への独占販売ルートを確立。
ニア(猫人族の魔導具技師):防潮堤に設置した全自動迎撃システムを改良し、水棲魔獣の弱点を自動で狙い撃つプログラムを実装する。
ガルダ(熊人族の族長):トウヤからの指示で、アクアリアの崩れかけた建物を持ち前の怪力で次々と修繕している。
クレア・フォン・ゼフィラス(第一王女):トウヤがまた一つ西方大陸の都市を救ったことに感動し、彼への愛と信頼をさらに深める。
シズク(アクアリア領主):【新規後援者(領主)】街を救われた恩義から、トウヤに絶対の忠誠と個人的な好意を抱き、アクアリアを安全第一商会の完全な影響下に置くことを受け入れる。
メリル(マーメイド族の姫):【新規加入(水棲採掘部隊長)】トウヤに恩義を感じ、湖底チューブでの蒼海晶採掘の責任者として商会に貢献することを誓う。
インフラ状況:北方水都アクアリアに「水都グランドターミナル」完成。魔獣を防ぐ「超重装甲防潮堤」と、安全な採掘網「完全密閉型・湖底魔導クリスタルチューブ」を確立。
資金:金貨3,200,000枚(ガルドス伯爵の不正蓄財の没収と、蒼海晶の採掘開始による莫大な先行利益により、商会の資金が爆発的に増加)
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