第46話 海上魔導鉄道の開通と、水上都市コーラル・エデンの救済
第46話 海上魔導鉄道の開通と、水上都市コーラル・エデンの救済
東の大陸の最南端、かつて悪徳商人と海賊によって支配されていた港湾都市ポルト・ノヴァの跡地に建造された巨大人工島『安全第一・海上グランドターミナル』。
その広大な純白のプラットホームから、漆黒と黄金に彩られた巨大な鉄の塊――『安全第一エクスプレス』が、未踏の大海原に向けて静かに、しかし圧倒的な存在感を放ちながら発進した。
目指すは、南方に広がる果てしなく青い『蒼大洋』のさらに奥深く、無数の島々からなる『オセアニア群島諸国』。そして、その群島諸国の中心に位置するとされる、美しき水上都市『コーラル・エデン』である。
「『全魔法創造』――『超広域氷魔法・絶対海面凍結』、からの『錬金魔法・海上魔導レール敷設』!!」
列車の先頭車両、吹き付ける強い潮風を真っ向から受けるデッキの上に立ち、トウヤが両手を広大な海へと突き出す。
彼の中に眠る莫大な魔力が黄金の光となって海面を激しく打ち据えた瞬間、荒れ狂う白波がピタリと静止し、列車の進行方向に向けて幅数十メートル、厚さ数メートルに及ぶ強固な『氷の地盤』が一瞬にして形成された。海そのものを土台に変えるという、常軌を逸した魔法である。
さらにその氷の地盤を型枠とするように、錬金魔法によって純白の魔導コンクリートと黒鋼の極太レールが次々と生み出され、海面スレスレに固定されていく。
時速二百キロを超える猛スピードで海の上を疾走しながら、その軌跡に永遠に崩れない『絶対安全な道』を創り出していくという、まさに神の御業としか呼べないインフラ構築魔法であった。
「はっはー! 何度見てもイカれてるぜ! 海の上に線路を引いて走るなんて、世界中のどの冒険者も、いや、伝説の大魔導士だって考えつかねえよ!」
人間の冒険者ザックが、デッキの手すりから身を乗り出し、水しぶきを浴びながら豪快に笑う。彼の手には、いつでも魔獣を両断できるようにミスリル・バスターソードが握られていた。
「これがトウヤ様の目指す【安全第一】死に戻り商人の異世界スローライフ~万能魔法と『リトライ』を駆使して完璧な物流網とインフラを整備し、のんびり隠居を目指します~の真の力です。自然の猛威すらも、トウヤ様の築くインフラの前には大人しく道を譲るのです。風の精霊たちも、この前代未聞のレールの誕生を祝福して、列車の背中を押してくれていますよ」
エルフの護衛シルフィが、海風に美しい金髪をなびかせながら、誇らしげに胸を張った。彼女の杖の先からは、列車の空気抵抗をゼロにするための微風が絶え間なく放たれている。
未知なる海域と、塞がれた水上都市
車内の広々とした、一切揺れを感じさせないラウンジでは、特務チームの面々が、窓の外に広がる青い絶景を楽しみながら作戦会議を開いていた。空調魔法によって車内は常に快適な温度に保たれ、豪華な革張りのソファは長旅の疲れを一切感じさせない。
「セレン、マイロ。現在の進行ルートと、目的地のコーラル・エデン周辺の詳細な状況をもう一度確認させてくれ。海の上では、些細な情報不足が命取りになるからな」
ふかふかのソファに深く腰掛け、淹れたての熱いコーヒーを口に運びながらトウヤが促す。
「はいっ! お任せください、トウヤ様!」
新たに仲間に加わったセイレーン族の少女セレンが、嬉しそうに青いヒレを揺らして前に出た。彼女はトウヤが特別に錬金魔法で作成した、車輪の代わりに水球が浮遊する『水陸両用魔導車椅子』に乗り、テーブルの中央に展開されたホログラムマップを指し示す。
「現在、私たちは蒼大洋を南南西に向かって順調に進んでいます。この海域は本来、穏やかな海流と美しい色とりどりの珊瑚礁に恵まれた、非常に豊かな海なのですが……ここ数ヶ月、海底の地脈が大きく乱れた影響で、巨大な『魔力溜まり』が複数発生しています。そのせいで、凶暴な海洋魔獣が大量発生し、異常な海流の渦や竜巻があちこちに渦巻いているのです。普通の帆船であれば、木っ端微塵に砕かれているでしょう」
犬人族の地図職人マイロが、耳をピンと立ててセレンの説明を引き継ぐ。彼は新しい海図の作成に没頭しており、ペンを握る肉球がインクで真っ黒になっていた。
「へえ、会長。セレン嬢の正確なナビゲートのおかげで、致命的な暗礁や巨大な渦潮は完全に回避できていやす。ですが、最大の問題は目的地の水上都市コーラル・エデン周辺でさぁ。街は巨大な環礁の内側に築かれた美しい都市なんですが、その環礁のただ一つの入り口を、超大型の魔獣『クラーケン』と『シー・サーペント』の群れが完全に巣食って封鎖してしまっているんでさぁ。まるで街を兵糧攻めにしているかのようですよ」
「なるほど。海賊の次は海の魔獣による物流の封鎖か。……どちらにせよ、人々の生活基盤を脅かし、経済の循環を止める障害物であることに変わりはないな」
トウヤは冷静にカップを置き、冷ややかな商人の瞳を細めた。
「コーラル・エデンの市民たちは、海を封鎖されたことで外からの食料も物資も完全に枯渇し、飢えと恐怖に苦しんでいるはずだ。俺たちの商会が、その淀みを完全に排除し、安全で豊かな物流ネットワークを繋げてみせる。それが、俺の目指す究極のスローライフへの投資だ」
「おう! 待ってました! タコとヘビの化け物なんて、俺のバスターソードで輪切りにして、最高の海鮮丼の具にしてやるぜ!」
「海の魔獣など、我が竜の覇気で海の底へ沈めてくれよう! 竜の誇りにかけて、道を切り拓く!」
「虎の牙は水の上でも鈍らぬわ! 邪魔する奴は全て噛み砕く!」
ザック、リュウガ、ガレスの武闘派トリオが闘志を燃やして立ち上がり、武器を構える。
「私の双剣も、波に乗って舞い踊りますよ! 豹人族の身軽さ、海の上でもお見せします!」
「俺の斧も、潮風の錆にはさせねえぜ! 傭兵稼業で培った腕、存分に振るわせてもらう!」
豹人族のファラと狼人族のヴォルグも、それぞれ武器を手に気合を入れた。
獣人の少女ミアが、奥の魔導キッチンから顔を出し、お玉を片手に満面の笑みを浮かべる。
「皆さん、魔獣を倒したら新鮮なタコのお肉を絶対に回収してくださいね! コーラル・エデンの皆さんに、とびきり美味しい『タコと特製香辛料のトマト煮込み』を作ってあげますから! 栄養満点で、元気が出ること間違いなしです!」
「ああ、ミアのご飯のためにも、さっさと駆除を終わらせよう。……みんな、戦闘準備だ。まもなく魔獣の巣海域に突入する」
トウヤの号令と共に、ラウンジの空気が一気に引き締まった。
海神の裁きと、荒れ狂う海の浄化
安全第一エクスプレスが数時間の海上走行を続けた後、前方の海域に明らかな異変が現れた。
それまで穏やかだった海面が突如として墨のように黒く濁り、空には分厚い暗雲が立ち込め、激しい嵐が吹き荒れ始めたのだ。
そして、その荒れ狂う大波の向こう側に、巨大な珊瑚礁に囲まれた美しい海上都市――コーラル・エデンの白い建造物群の姿が微かに見えてきた。
「会長! 前方の海中に超巨大な生体反応が複数! 来ますぜ! 桁違いのデカさです!」
上空を偵察していた鳥人族のピピトが、強風に煽られながら窓から飛び込んできて叫んだ。
次の瞬間、列車の周囲の黒い海面が凄まじい水柱を上げて大爆発し、巨大な触手と、長い首を持つ凶悪な魔獣たちが次々と姿を現した。
「ギシャァァァァァッ!!」
全長五十メートルを超える超巨大な海蛇『シー・サーペント』が、船をも噛み砕く鋭い牙を剥き出しにして、列車の海上高架橋に噛みつこうと襲い掛かる。その鱗は鋼鉄よりも硬く、紫色の毒液を撒き散らしている。
さらに、海中の暗闇からは無数の巨大な吸盤を持つ『クラーケン』の太い触手が伸びてきて、列車の進行を物理的に阻もうとレールに幾重にも絡みついてきた。触手一本の太さが、大木の幹ほどもある。
「来やがったな! お出迎えご苦労さんだぜ! メインディッシュのお出ましだ!」
ザックが列車のデッキから身を乗り出し、ミスリル・バスターソードを大きく振りかぶる。
「『暴風の結界』最大出力!」
シルフィの風魔法が列車全体を分厚い空気の壁で覆い、魔獣たちの吐き出す強酸性の毒液や、岩をも砕く高圧の水鉄砲を完全に弾き返す。結界の表面で、バチバチと激しい火花が散る。
「まずは足止めだ! ガレス、リュウガ、ヴォルグ、ファラ! レールを守れ!」
「おうっ!」
四人の屈強な戦士たちが、列車のデッキから、海上に敷設されたばかりの真っ白なレールの上へと飛び出した。時速二百キロで疾走する列車の周囲で戦うという、常人には不可能な曲芸じみた戦闘である。
「オラァァァッ! 蛇野郎、大人しくしやがれ! ミアの料理の邪魔をするな!」
ザックのバスターソードが強烈な光を放って閃き、シー・サーペントの巨大な顎を強烈な峰打ちでカチ上げる。鋼鉄の鱗がひび割れ、魔獣が苦痛の悲鳴を上げる。
「竜の覇気!! 散れ、海の屑ども!」
リュウガが闘気を極限まで込めた拳を海面に向けて放つと、凄まじい衝撃波が海中を伝わり、レールに絡みつこうとしていたクラーケンの触手が数本まとめて弾け飛ぶ。
「虎王の咆哮!! 我が前に立つ者は全て砕け散れ!」
ガレスの圧倒的な咆哮が嵐の海に響き渡り、海面が割れ、魔獣たちの動きが本能的な恐怖によって一瞬ピタリと止まった。
そのわずかな隙を逃さず、俊敏なファラとヴォルグが動く。
「双剣の舞、海神の如く! 捉えました!」
ファラが滑るレールの上を軽業師のように走り抜け、シー・サーペントの鱗の隙間、急所である逆鱗を的確に斬り裂く。
「狼の牙、とくと味わえ! ぶった斬ってやる!」
ヴォルグの巨大な戦斧が唸りを上げ、レールに巻き付こうとするクラーケンの触手を根元から次々と切断していく。黒い血が海をさらに汚染していく。
しかし、魔獣の数はあまりにも多かった。切っても切っても、異常な魔力溜まりの影響を受けた海中から、新たな触手と蛇の頭が無数に湧き出してくる。ゾンビのように再生を繰り返しているのだ。
「トウヤ様! このままではキリがありません! 魔力溜まりの負のエネルギーが、魔獣たちに異常な再生力を与えています! いずれこちらの体力が尽きます!」
シルフィが結界を維持しながら焦りの声を上げる。
「問題ない。インフラを脅かす害虫は、元から完全に絶つまでだ。枝葉を切り落としても意味はない」
トウヤは列車の屋根の上に立ち、荒れ狂う暴風雨の中、両手を眼下に広がる黒い海へと向けた。彼の商人コートが強風で激しく翻る。
「セレン! 魔力溜まりの正確な中心座標を特定しろ! そこを狙い撃つ!」
「はいっ! ……右舷前方、距離五百メートル、水深百五十メートルの地点です! 海底の地脈が一番強く乱れている場所です!」
セレンのセイレーン族特有の正確なソナー能力によるナビゲートを受け、トウヤの瞳に黄金の魔力が太陽のように激しく燃え上がった。
「『全魔法創造』――『超広域雷魔法・海神の裁き(トール・ハンマー)』、からの『水質浄化』!!」
ドッゴォォォォォォォンッ!!!
天の暗雲を突き破り、極太の黄金の雷が一直線に海面へと降り注いだ。それは自然現象の雷を遥かに凌駕する、純粋な魔力の塊であった。雷撃はセレンの指定した魔力溜まりの中心を正確に撃ち抜き、海底まで貫通した。
凄まじい電撃が海水という導体を伝って広範囲に伝播し、周囲の海域に群がっていた数百体のシー・サーペントとクラーケンが、一瞬にして白目を剥いて感電し、完全に絶命してプカプカと海面へ浮き上がった。
さらに、雷撃に続いて放たれた浄化の魔法が、黒く淀み、魔獣の血で汚染されていた海水を、本来の透き通るような美しいエメラルドグリーンへと瞬時に変えていく。嵐の雲も霧散し、暖かい太陽の光が海面を照らし出した。
「す、すげえ……! 一撃で、この広大な海ごと浄化しちまった……!」
ザックが剣を下ろし、汗を拭いながら呆然と呟く。
「これが、トウヤ様の真の力……。荒れ狂う海の怒りすらも一瞬で鎮め、浄化してしまうなんて……まるで本物の神様です」
セレンが感動の涙をこぼしながら、両手を組んで深く祈りを捧げた。
「さて、害虫駆除は完了だ。ミア、約束通り食材の回収を頼む。……エクスプレス、コーラル・エデンへ向けて前進!」
雷撃によって気絶し、程よく電撃で「下茹で」された状態の巨大なタコの足と、高級食材となるシー・サーペントの肉を空間収納魔法で次々と回収しながら、安全第一エクスプレスはついに、水上都市コーラル・エデンの巨大な環礁の入り口へと滑り込んだ。
奇跡のターミナルと、水上都市の解放
オセアニア群島諸国の中心、水上都市『コーラル・エデン』。
美しいサンゴ礁の上に築かれた、白亜の神殿や水路が交差する幻想的な都市は、今、絶望の淵に立たされていた。
「市長! 防衛結界の魔力がもう持ちません! このままでは、数分後には魔獣の群れに街が完全に飲み込まれてしまいます!」
都市の広場で、槍を持った半魚人の兵士が悲痛な声を上げる。
街を治める水棲亜人の長、老齢のマーマンである市長は、飢えと疲労で倒れ伏す市民たちを見つめながら、深く絶望の溜息をついた。
「なんということだ……。物流が途絶え、食料も魔力鉱石も完全に尽きた。他国への救援要請も届かず、我々は、この美しい海と共にここで滅びるしかないのか……。精霊たちよ、どうか我らをお救いください……」
その時だった。
街を包み込んでいた絶望の暗雲が突如として晴れ渡り、街の周囲を覆っていた黒い淀みが、信じられない速度で澄み切ったエメラルドグリーンへと変わっていったのだ。
「な、何が起きた!? 魔獣たちの恐ろしい気配が……一瞬で消え去った!?」
市長と市民たちが驚愕して海を見つめる中、環礁の入り口から、海面の上に一直線に伸びる『純白の橋(魔導レール)』の上を走って、漆黒と黄金の巨大な鉄の列車が、太陽の光を反射しながら街の広場へと向かって突き進んできたのである。
「な、なんだあの鉄の怪物は!? 船ではない、海の上を走っているぞ!? 敵の新型兵器か!?」
パニックに陥る市民たち。しかし、列車のスピードは緩むことなく、広場のすぐ手前で、風のクッション魔法によって一切の衝撃音を出すことなく、ふわりと停止した。
「『拠点再構築』・水上都市メガターミナルモード!!」
クリアで絶対的な威厳を持つ青年の声が響き渡った瞬間、列車の周囲の海面と岩礁が隆起し、ボロボロになっていた広場や、魔獣の攻撃で崩れかけていた水路が、一瞬にして純白の魔導コンクリートと美しい大理石の『超巨大ターミナル駅』へと再構築されていく。
枯渇していた街の防衛結界は、トウヤの供給した莫大な魔力によって瞬時に最高出力で再稼働し、街全体を黄金の光のドームが優しく包み込んだ。
「ひぃぃっ!? 街が、一瞬で壮麗な城に生まれ変わった!?」
市長が腰を抜かしてへたり込む中、列車のドアが静かに開き、トウヤと仲間たちが降り立った。
「お待たせしました、コーラル・エデンの皆さん。安全第一商会です。……随分と厄介な海の害虫に悩まされていたようですね。でも、もう安心ですよ。世界を繋ぐ安全な『道』は、ここまで繋がりましたから」
トウヤが優しく、しかし確かな自信に満ちた商人の笑みを浮かべて語りかける。
「あ、あなたは……神の使いか何かですか……? あの恐ろしい、数千の魔獣の群れを、退治してくださったと……?」
市長が震える声で尋ねると、トウヤの背後から水陸両用車椅子に乗ったセレンが飛び出してきた。
「市長様! 私です、セレンです! ドネロの悪党どもに捕まっていたところを、このトウヤ様たちに救っていただいたのです! トウヤ様は、海を越えて安全な物流と豊かな生活を届けてくれる、世界一の素晴らしい商人様です!」
「おおお……セレン! おお、よくぞ無事であったか! まさか生きて帰ってくるとは!」
市長と市民たちは、行方不明になっていたセレンの帰還と、奇跡のようなインフラ構築の光景に、歓喜の涙を流して抱き合った。
「さて、感動の再会のところ申し訳ないが、街の皆さんはかなり腹を空かせているようだね。まずは食事にしよう。インフラの基本は、人々の健康な胃袋からだ」
トウヤが指を鳴らすと、ターミナルに設置された巨大な魔導キッチンカーから、ミアが満面の笑みでお玉を振りかざして飛び出してきた。
「お待たせしましたー! さっき獲れたばかりの超新鮮なクラーケンのお肉をたっぷり使った、『特製タコとマクラカ産香辛料の極上トマトリゾット』と、栄養満点の海藻スープです! 飢餓状態の胃腸にも優しい消化の良い味付けにしてあるので、ゆっくり食べてくださいね!」
極上のスパイスとトマトの酸味、そしてタコの濃厚な旨味が完全に溶け合った、暴力的なまでの香りが、広場中に充満する。
長期間の飢えと恐怖に苦しんでいた数万の市民たちは、配られた温かいリゾットを口にした瞬間、声にならない嗚咽を漏らしながら、トウヤたちに向かって深く深く祈りを捧げた。
「美味しい……! 体の芯から、生きる力が湧いてくる……!」
「あんなに恐ろしかったクラーケンが、こんなに柔らかくて美味しいご飯になるなんて……。神様、トウヤ様……本当に、本当にありがとうございます……!」
「お母さん、お腹いっぱい食べられるよ……!」
市長は、涙で顔をくしゃくしゃにしながら、トウヤの前に深く膝をついた。
「トウヤ会長……貴方様はこのコーラル・エデンに、真の安全と希望をもたらしてくださった。我々オセアニア群島諸国一同、この海より深い御恩は永遠に忘れません。どうか、我々を貴方様の商会の庇護下に置いてください。この海域で採れる希少な魔導真珠や、どんな傷も癒やす魔法珊瑚は、全て貴方様の商会に専属で卸すことを、群島諸国を代表してお約束します!」
「ええ、喜んで。これで契約成立ですね」
トウヤは市長の震える手をしっかりと握り返した。
「このコーラル・エデンを、南方海域の最大の物流拠点にします。本土のポルト・ノヴァとは、俺が敷設した海上魔導鉄道で直結しているので、これからは天候や海流に左右されることなく、物資の補給は完璧に行われます。これからは、誰も飢えることなく、魔獣に怯えることもなく、安全に暮らせる街になりますよ」
【安全第一】死に戻り商人の異世界スローライフを目指すトウヤの圧倒的なインフラ構築力は、魔獣によって封鎖され絶望に沈んでいた水上都市を、わずか数十分で『完全なる安全圏』へと塗り替えてしまった。
「さて、群島諸国の地盤は完全に固まった。難民の保護と食料供給も完了だ。……だが、海はまだ広いし、世界はもっと広い。次はどの未開の地へ道を繋ごうか」
トウヤは、駅の巨大なドームガラスの向こうに広がる、果てしない蒼大洋へと視線を向けた。
人間の冒険者、エルフ、竜人、虎人、熊人、犬人、鳥人、鼬人、狼人、豹人、そしてセイレーン。
トウヤの提供する『絶対的な安全と豊かなインフラ』に惹きつけられ、種族の壁を完全に越えた多様な仲間と後援者たちが、今や世界中を一つに繋ぐ巨大なうねりとなっていた。
海を拓き、大地を繋ぎ、人々を笑顔にする安全第一商会の快進撃は、もはや誰にも止めることはできない。
次なる未知なる大陸へ向けた、新たなる大工事(冒険)が、今まさに幕を開けようとしていた。
【現在のステータス状況】
名前:トウヤ
年齢:18
職業:商人 / 冒険者(ランクS)
レベル:102 (海上魔導鉄道の超広域敷設、および数百体の超大型海洋魔獣の一撃討伐により大台を突破!)
体力:1050/1050
魔力:88,000/100,000 (雷魔法と広域浄化、インフラ拠点構築により消費。現在急速回復中)
固有スキル:『リトライ(発動可能)』
魔法適性:全属性(火・水・風・土・光・闇・時空・無)
取得スキル:鑑定、算術、交渉術、全魔法創造、全武具習熟、気配遮断、錬金、空間把握、【新】海洋環境制御
【仲間・後援者の状況】
ミア(獣人の少女):巨大クラーケンの肉を最高に柔らかく美味しく調理する術を編み出し、コーラル・エデンの市民から「料理の女神様」として熱狂的に崇められる。
シルフィ(エルフの護衛):海の精霊たちと完全に同調し、海上列車の周囲に常に追い風を吹かせるシステムを完成させ、自身の魔法制御力も飛躍的に向上。
ザック(人間の冒険者):シー・サーペントの鋼鉄の鱗をバスターソードで叩き割ったことで、さらなる筋力と剣速のアップを実感している。
リュウガ(竜人族の戦士):海の魔獣たちを覇気で一掃したことで、竜の力に対する深い自信を新たにし、強者の風格が増す。
ガレス(虎人族の戦士):水上都市の美しい景観に感動しつつも、新たな治安維持の警備隊長として広場に目を光らせている。
マイロ(犬人族の地図職人):海の上に敷かれた鉄道のルートを海図に描き込み、世界で唯一の「海上鉄道マップ」を完成させ、嬉しさのあまり尻尾を振り続けている。
ピピト(鳥人族の飛脚):コーラル・エデンの最も高い塔を新たな拠点とし、群島諸国間の高速通信ネットワークを構築中。
リン(鼬人族の情報屋):コーラル・エデンの希少な真珠や魔法珊瑚の市場価値を瞬時に計算し、今後の莫大な利益を想像して頬を緩めている。
ヴォルグ(狼人族の傭兵):海鮮トマトリゾットの美味さに感動し、ミアの料理を毎日食べられる傭兵契約の素晴らしさを深く噛み締めている。
ファラ(豹人族の女戦士):波に揺れるレールの上での戦闘訓練を経て、どんな不安定な足場でも戦える究極のバランス感覚を身につけつつある。
セレン(セイレーン族の海先案内人):故郷を救ってくれたトウヤへの忠誠心と恋心が限界突破し、常にトウヤの傍を(特製車椅子で)離れようとしない。
コーラル・エデンの市長と市民たち:【新規後援者】トウヤに絶対の信頼を寄せ、希少な海洋資源の専属取引契約を結び、商会の熱烈な支持者となる。
インフラ状況:本土ポルト・ノヴァからコーラル・エデンを繋ぐ「海上魔導鉄道」完全開通。水上都市の防衛・物流・経済機能が完全に復旧。
資金:金貨350,000枚(コーラル・エデンとの特約による魔法珊瑚の先行取引ボーナスにより爆増中。一生遊んで暮らせる額だが、トウヤのインフラ投資はまだまだ続く)
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