2月11日:好き?冗談? 1
咲妃が王子ファン連中を何とかすると言った翌日。
見事に真由に悪口を言う者はいなくなった。
一安心と胸をなで下ろす真由だったが、
真由は移動教室中、ある人物を見つけてしまった。
「噂の本人発見。」
咲妃の声がしたが、それより先に、真由は前方の人に釘付けだった。
「佐藤優斗・・・。」
真由は一昨日の告白を思い出した途端に、恥ずかしくなった。
「来たわよ。」
咲妃の小声が聞こえて、佐藤優斗は真由達の横を通り過ぎた。
…何事もなかったかのように。
「…。」
きづかなかった…?
ううん、そんなわけない。
…見向きもしなかった。
全く、視界にとらえられてなかったみたい。
つい立ち止まって、優斗の背中を振り返る真由。
「なにアレ…?」
咲妃は不信感をあらわにした表情をしている。
少しだけ、ほんの少しだけ…信じてもいいかな…って思ってたのに。
本当に、わたしの事好きでいてくれるんじゃないかって…期待、しちゃってたのに。
ほんっと…バカみたいな『期待』。
ホントにからかってたんだ…!
『優しい王子様』ってドコが?
『嘘つき王子』。
「佐藤優斗のばかぁっ!!!」
真由は思わず、本人の背中に向けて叫ぶ。
「真由ちゃん…。」
ほのかが心配そうに真由の名前を言った。
佐藤優斗が振り返ることはなかった。
真由達はそのまま、移動教室へ向かった。
ばかばかばかっ!
もう、知らないっ、あんなひと!
…でも、アイツの背中が笑ってたように見えたのは、……気のせい?




