2月14日:ハッピー・バレンタイン 3
「真由ちゃん!!」
優斗がそう言って飛び込んだのは、去年、優斗が真由を好きになった教室。
「…優斗くん…。」
優斗の予想は当たり。
真由はそこにいた。
「真由ちゃん。」
「どうしてっ!?なんで来たの!!?」
真由は泣きじゃくる。
「意味、わかんないよ!
わたしのこと、好きじゃないなら!もうほっといてよ!!」
「真由ちゃん。」
優斗は真由の肩を掴む。
そして真由の目をしっかりとみる。
優斗はいつもの様に明るく笑う。
「はい。」
優斗は真由の目の前にチョコを出す。
「え…?これ…。」
「真由ちゃんに、渡そうと思ってたんだ。
なんだか、勘違いさせちゃったみたいだけど。」
「いいの!?」
チョコを見た真由は、すぐに機嫌が戻った。
単純。
優斗から見ると、素直、らしい。
「それから、改めて、告白させてくれるかな?」
「う、うん…。」
優斗は小さく深呼吸をして、真由を見つめる。
「人間だから、他人にできるだけ良く見られたいっていうのも当たり前だと思う。
だけど、真由ちゃんは気取ったり、飾ったりしないで、
ありのままに僕としゃべってくれたんだ。
真由ちゃんは素の自分を出せる強さを持ってて、
偽りのない笑顔が、すごく魅力的で、僕はそんな真由ちゃんに惹かれたんだ。
本当に、本気で、好きなんだ。
大好きなんだ、真由ちゃんのこと。
…僕と、付き合ってください!」
優斗は、廊下で、初めて告白した時のように、頭を下げた。
「はい。」
真由は言った。
しかし、その『はい』は、肯定の『はい』とは発音が違った。
「え?」
優斗が不意に頭を上げると、そこには袋に包まれた、バレンタインチョコ。
「あげる。チョコ。」
「ありが…とう?」
優斗は混乱した。
「あのね、わたしね、チョコ、大好きなの。」
「うん?」
「だから…、初めて、人にチョコレートあげるの。」
「?」
「だから、見ず知らずの人に、バレンタインチョコ分けてくれたり、
ラスト一個のチョコぱんをくれたり、
バレンタインデーなのに、わたしにチョコレートくれる人が…好きなの。」
真由はそこまで言って、目をそらした。
「真由ちゃん…!」
優斗は安堵したように微笑む。
「優斗くんのこと、好き…です。…わたしでよければ、お願いします。」
真由がそこまで言うと、優斗は真由を抱きしめた。
「…真由ちゃん、僕、死にそうなくらい、嬉しい。」
「…うん!」
優斗の温かさに包まれて、
チョコレートの香りに包まれて、
真由はとても幸せだった。




