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3 廃村の老人

3話目です。

よろしくお願いします。

 僕が出会ったその人は、老いを感じさせない屈強な肉体を持ち、その瞳は力強い意志を感じさせた。


 森を抜けると、廃村にたどり着いた。

 村を囲う柵が壊され、荒れされた畑と家、そして一人で杭を打つ老人がいた。

 声を掛けると、ここは魔物が出るから暗くなる前に立ち去れとこちらを一瞥して言う。

 あなたは大丈夫なのですかと聞くと、老い先短い自分の心配はしなくていい、その片腕では自分の身を守るのも難しいだろうと言われた。

 なかなか立ち去ろうとしない僕を見て、ため息をつく老人に僕は話を聞いた。


 数か月前、この村に魔物が押し寄せ、畑や家を荒らしていったという。

 老人が魔物に気づき、渋る村人を避難させたが、畑や家を荒らされた。

 村人は戦わずに逃げるように指示をした老人に対し、ここはとても住める場所ではなくなったと批難し、村から去って行ったという。


 なぜ戦わなかったのかと聞くと、魔物は騎士が数人がかりで相手にしなければ倒せないと言われる黒獅子だと言う。

 老人が作っている木の柵では黒獅子は防げないと言うと、一人しかいないのだし、これ以上はどうにもならんと言われた。

 それもそうかと立ち上がり、手伝うことにした。


 その夜、夕飯をご馳走してもらい、廃屋で寝ていた僕は何かの気配に気づいて起きた。

 気配の方に目を向けると、柵の外から赤い眼がこちらを覗き込んでいる。

これが例の黒獅子なのだろう。

 隣を見ると、老人も既に起きていた。

 木の柵がなかったのなら、二人とも既にこの世にいなかったかもしれない。


 老人は隠れていろと言って槍を手に飛び出していった。

 見ると床下に人ひとりなら隠れられそうな空間がある。

 普段なら老人はここで寝ていたのかもしれない。

 そんなことを考えながら飛び出すと、黒獅子が柵ごと老人を押し倒すところだった。



 傷の手当てをした後、四苦八苦しながら毛皮を剥ぎ終える。

 老人の方に目を向けると半分になってしまった僕の視界に、老人が目を覚ますのを見えた。


 毛皮を渡しながら、これでこの村もやり直せますねと言うと、この村から片時も離れなかった村長は声を出して泣いた。

<設定の補足>

この世界では、黒獅子の毛皮は、黒獅子自体が手強く、頑丈な毛皮のため、高く売れます。

恐ろしい魔物の脅威がなくなったこの村で、復興の資金を手に入れた老人、諦めなかった村長は廃村になったこの村を再建させることでしょう。

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