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くず鉄の人形

んなことよりよぉ、裏の人形捨ててくれっけよ。


人形とは、過去の大戦時、事のはずみで家の裏に落ちてきたロボット兵器のことである。非常に人間によくにた形をしており、手首、肘、肩、背骨、股関節から膝、足首まであり、人間工学を煮詰めて作られた当時最新鋭の機体だ。それゆえに、でくのぼうのごとく、庭の裏に膝を曲げてうなだれているのである。まるで過去の大戦で疲れ切ったかのように。


だめだ!あれは俺の生きがいそのものなんだ。


私は、あのロボットをふたたび動かせるようにしたいと考えている。高さは推定3メートルで胸部がコックピットになっており一応人は入れる。お上さんの政策で、ソーラーパネルのエネルギーシステムを各家に届くようにはなっているが、一日洗濯機を回すのがやっとなほど、ほとんど電気は使えない。うちは、その貴重な電気を、中央政府には無断で裏のロボット兵器に回して、コックピット内のプログラム解析をして、完全に動ける状態にするというのが私の夢なのだ。そのおかけで、うちの妹は、ボロく錆びた大きなタライを使ってジャブジャブと毎日手作業で洗濯をする羽目になってる。まぁそれ以外は寝てるだけだから、いい運動になってるので、文句は言われつつも、私のやることを無理やり止めたりはしていない。


それに、中央政府も、いちいち地方の個人が何をやってるのか取り締まる力を失っている。一応、調査局は存在するが、それは事件が発生したときぐらいしか動かない。やつらも腐敗してるもんさ。だから、条例では、個人がロボットを操作することを禁じるとは書くが、今となってはただの脅しに過ぎない。


何より、ロボットを動かすってのは、男のロマンだろう。先祖の一人に、画面のなかで機械を動かす魔術師がいたと聞いていたが、それは、言葉の綾で、実際のところ、このロボットも電気を回せば、内部の命令系統はすべて文字化されている。解析結果いわくJシステムらしい。ご先祖様もJシステムを使っていたらしく、家の奥から引っ張り出したボロボロの古典書にハッキリとJシステムの使い方という言葉が出てくる。つまり、Jシステムを学び、このロボットの仕組みを解明すれば、このロボットを動かせるのだ。そういう男のロマンを、妹は何もわかっていない。ただ庭のトマトが育てば、それで本望なのだと。

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