助けたわけじゃないのよ
「あ...ありがとう」
黒髪の少女にそう言われたので私は魔法で早着替えをします。
「別にお礼なんていいのよ。プラムは自分を捕まえようとしていたお馬鹿さんを懲らしめただけなのかしら」
私の言葉に黒髪の少女はこう呟きました。
「プラム? それがあなたの名前なの?」
「そうかしら。...ってあなたとても小汚いのよ。さっき私好みに凍らせちゃったけどもう一度水に戻してあげるから水浴びしてくるかしら」
私は指をパチっと鳴らすと氷が一瞬で溶けて元の水に戻りました。
「すごい魔法...」
なんて彼女は言っていましたがこんな魔法くらい精霊の集合体であれば誰でも扱えます。
(全く...愚かな人の子はなんてダメダメなのかしら。この程度の魔法で驚くなんて人間界もたかが知れてくるのよ)
とは思っているのですが...。
「あなた...そういえば【聖人】なのかしら?」
私が気になったのはその一文のみです。
【聖人】とはクティル王国に生まれる超人的な資質を持つ人間のことです。
あるものは人間業とは思えない物を作り、またある物は精霊を超える魔法を扱える物もいると聞きます。
知的な私は【聖人】である彼女に少しだけ興味がありました。
「私は...自分でもよく分からないんだ。でも皆が【聖人】っていうからそうなのかも?」
「あなた...自分でも自分の力量が分かっていないなんてありえないのかしら。まあいいわ。早く体を洗ってきなさい」
私の問いに彼女はそそくさと体を洗いにいくのでした。




