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私の事好きじゃないはずだよね?~溺愛夫からの執着が始まる~  作者: しろちゃんまま


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7/16

7♡

「少し寄りたい所があるんだが……いいか?」

湊くんが気遣う様に話してくる。私は口角を上げて頷く。何処に行くのかなって思ったら公園の駐車場に停めて近くの小さいアイスクリーム屋さんでアイスを買ってきていた。

助手席のドアを開けて「あっちのベンチに座ろう」と言った。可愛いオレンジのベンチがあった。何か初めてきた気がしなかった。湊くんは先に座って「乃杏もこっちに座って」と手招きした。片手に持っているアイスクリームを私に渡してきた。私の好きなマンゴーのアイスだった。「ありがとう」といい1口食べる。

初めて食べたはずなのに……なぜか懐かしい味がする。「美味しいか?」と聞いてくる。「はい。美味しいですね。」と答えた。

湊くんが端正な眉を寄せて明らか不機嫌になっていた。「乃杏、今は会社じゃない……頼むからよそよそしい態度は辞めて欲しい……正直……傷付くんだ。」

「ごめんね……湊くん」顔を覗き込むとイタズラした子の様にニカッと笑ってた。

「分かればよろしい」嬉しそうだった。私まで笑ってしまった。

「このアイス本当に美味しい」湊くんの顔がかばっと近づいて来てわたしのアイスを1口食べる。口元にアイスがついていた。脳内に不鮮明な映像が出てくる……あれ?これどこかで見た気がする……でもわかんない。

「乃杏も俺の食べてみて美味しいよ」私の口元にアイスがくる。1口食べてみる。パチパチと口に弾けていく。あれ?この味……食べたことあるかも?でも分からない。

湊くんを見ると笑いながら言った「口の中で線香花火してるみたい?」このフレーズも聞いた事が……ふと……頭がガンガンと痛くなってきた。顔を歪ませて頭に手をおく。

湊くんの悲しそうな顔が見えた。「大丈夫?」

「大丈夫だよ。ごめんね」

私の乱れた髪の毛を耳にかけてくれる。

「乃杏が大丈夫ならいいよ。退職の件だけど……君は秘書課でもベテランだし、後輩達も学びたい事がいっぱいだと思う。辞めてしまうと聞きたいことも聞けないと思うんだ。後輩達が1人前になるまで待ってくれないか?あんな事があって精神的にも肉体的にもしどいのは分かるんだけど」

「私がいなくても全然大丈夫ですよ?」

「乃杏は自分を過小評価しすぎてる。とっても優秀な秘書だよ。この5年間本当に俺自身も他の皆も本当に助かってるんだ。だから……お願いだ、会社に残って欲しい……それでもどうしても退職したいってなったらもう一度話し合おう」ここまで懇願されて嫌とは言えなかった。こんなに求められる事なんて人生で何度もない……

この子がもう少し大きくなるまでは頑張ろうかな……


「分かったよ。」湊くんが満面の笑みで抱きしめてきた。恥ずかしくて……耳まで熱くなってきた。

「それより……今日の格好」

今日は妊婦用のオーバーオールにニットを着てフラットなシューズを履いていた。

「変?」恐る恐る聞いてみる。

「いや……可愛いよ!あまり見た事なかったから新鮮だね。」

美しい顔が私の全身を舐め回す様に見ていて恥ずかしくなってきた。遠くから「の~あ~」という声が聞こえてきた。

悠兄さんと齋藤始(さいとうはじめ)私の5つ下の同じ施設出身の子が近づいてきた。

「悠兄さん、始くん」

「ここで何してるんだ?」湊くんに気づいて「こんにちは」と挨拶する。

「私が勤めてる会社の社長の高科湊さん」私が紹介すると悠兄さんが言う。

「初めまして高科さん、僕は乃杏と同じ施設出身の神楽悠とこっちは齋藤始です。妹がお世話になってます。昔から頑張り屋さんな子ですが、無理をしてしまいがちなのでよろしくお願いします」兄さん……そんな事思ってくれてたんだ。

「乃杏、今度またご飯でも食べにおいで、兄さんが何でも作ってあげるから」

「何でもって……悠兄、イタリアンだけだろ?」

「他のも作れるわ!むしろお前より美味く作れるわ」

「そうだよ始くん、園でもお兄ちゃん美味しいのいっぱい作ってくれたでしょう?」

「俺は乃杏姉が作ってくれた印象の方が多いんだよ。悠兄もう園出てていなかったし……」

私たちが話してるのを聞いて湊くんが言った。

「本当の兄弟みたいですね。」悠兄さんも笑顔で答える。

「社長さんには不思議な感覚かもしれませんが、僕たちは幼いころから一緒にそだったので僕にとっては乃杏も始もかわいい弟妹です。乃杏なんて優秀でいつも1位だったんですよ。兄として鼻が高いです。」

嬉しそうに話している。

「本当ですね。乃杏さんは優秀です。」

「そうですよね!流石、社長さん、分かってらっしゃる」始くんがコソッと私の耳元で話す。

「悠兄、自分が賢いわけじゃないのにね……」

「いいじゃない?私も悠兄さんや始くんが誇らしいよ」始くんも恥ずかしそうに言った。

「俺も悠兄と乃杏姉が兄姉で嬉しいよ」

「可愛いやつめ」頭をわしゃわしゃする。

悠兄さんが私たち二人の肩を抱きしめて頬を擦り寄せてきた。

「じゃあな。乃杏、社長さんもありがとうございます」手を振って笑顔で去っていった。

「いいお兄さんだね」湊くんが言った。

「うん。1番歳が近いのか悠兄さんだったからよくあそんで貰ってたの」懐かしくなってきた。

「学校でいじめられた時も悠兄さんが来ていじめっ子を懲らしめてくれて。本当に頼りになる兄です。」

「そっか……」

湊くんが笑顔で返してくれた。胸が高鳴る。

湊くんの携帯がなる。通知者は加賀屋さんだった。

「もしもし湊さん、どこにいるの?」甘えるような声が響く。

「外にいる。何か用事?」優しい声だった。

「晩御飯食べに行きましょうよ」

「今日は仕事が残ってるからまた今度ね」宥めるような優しい声だった。仕事があったんだ……この時間も終わりか……と悲しくなってきた。

電話が終わり湊くんが言った。「家に帰って仕事手伝ってくれないか?」懇願している。

「私に出来ることなら」湊くんの家……私達が5年間暮らしてた家へいく。

家に着いて彼が言った。「このシングの使いごこちの調査を頼まれた。横になって試してくれ。後で感想聞くから」ルームウェアを渡される。以前私が使っていたものだった。まだ置いてあったことに胸がきゅっとなる。ズボンのゴムが緩くなってる?お腹が苦しくなかった。布団の中に入る。ほっこり温かかった。

「温度設定も出来るから温めておいた暑くないか?」

「大丈夫だよ。」

「じゃあゆっくり寝てくれ」部屋から湊くんが出て行く、気がついたら19時になっている。3時間も寝ていて体はスッキリしたなぁ。

部屋を出るといい匂いがして来た。

「起きた?使いごこちはどうだった?」湊くんが尋ねてくる。

「凄くよく眠れたし、温度設定出来るのは嬉しいかも……」私の感想をメモしていく。

「メーカーに伝えるよ。じゃあ次はこれを食べようか……」ずらっとおかずが並んでいる。美味しそう。

「次は男性でも簡単に手作り出来るおかずだよ。高たんぱくだけど、薄味らしいよ。一緒に食べよう」

「うん……凄く美味しい」私を見て、湊くんが微笑む

「美味しくて良かった。いっぱい食べなよ!食後には乃杏の好きな桃もあるからね」私は桃が大好き♡

「ありがとう!嬉しい」離れなきゃいけない事もこの時は忘れていた。楽しく喋りながら食事を食べていた。時間も8時になろうとしていた。そろそろ帰ろうと思ったら「次はこれで体を洗ってきて」と言われる。その時何も思わずお風呂に入り体を洗って湯船に浸かった。入浴剤はいい匂いのものだった。脱衣所には新しい寝巻きと下着が置いてあった。

上がると湊くんもちょうど上がったところだった。

「あの……私そろそろ」

「明日送っていくから今日は泊まって」

え??泊まり?どうしたら……でも、湊くんは私を抱き寄せて言う。

「今日だけは夫婦としてだめ?」今までこんなに甘えてくる湊くんなんて見た事なかった。気がついたら「うん」と言っていた。

夢ではなく本当にキスされる。でも……加賀屋さんは?頭がぼーとする。

お互い求める様に強く抱きしめあっていた。


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