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明日も休みなので家の片付けをしていた。もし子どもが産まれたらてぜまになるから要らないものを捨てて断捨離をしていく。殆ど片付けが終わり一息つこうとしている時に携帯の着信音が鳴る。
通知者は高科涼子、湊くんの妹からの連絡だった。
「もしもし?」
「のあさーん♡元気してた?」
「元気だよ!涼子ちゃんは元気してた?」
涼子ちゃんは私より3つ下で私たちが結婚した年に桃瀬に入職して企画課で働いてるいる。
「もう、仕事が忙しくて死にそうだよ」
「涼子ちゃんは企画課のエースだからね、みんな
期待してるんだよ」
「もう!のあさん優しいから大好き♡」
明るくて可愛い涼子ちゃんに私はいつも元気を貰っていた。5年間の結婚生活で涼子ちゃんとはもっと仲良くなれた。実家に行ったらいつも優しくしてくれた。
「明日ってのあさん用事ある?おじいちゃんとおばあちゃんが会いたいらしくて……本家じゃないから……離れになら会いに来れないかなって思って」
本家には蘭子さん達がいる。離婚した元妻が行くべきじゃないと思う。でも……おじいちゃん、おばあちゃんには会いたかった。本当の孫の様に可愛がってくれていたから……
「やっぱりだめ?多分お兄ちゃんはいないと思うし……」
涼子ちゃんが恐る恐る聞いてくる。
「いいよ!何時から行けば大丈夫かな?」
やったーっと嬉しそうな声が聞こえてきた。
「ありがとう♡♡お昼まえから来たら大丈夫だよ!じゃあおじいちゃん、おばあちゃんにも伝えとくね」
「了解!」
本当に元気な涼子ちゃんに癒される。明日持っていく手土産を買いに行こうと思った。
義祖父母はあんこが好きだったので、文明館の栗モナカと羊羹を買って来た。
ついでに妊娠しててもオシャレに着れる服や仕事着、中の下着なども買いに行った。
今の服はやっぱりしんどくなってかたからゆったりめの服を買えて気持ちも体も楽になっていた。
次の日、義祖父母がいる離れへ会いに行った。
玄関に入るとおじいちゃんが迎えてくれた。
「乃杏ちゃんいらっしゃい」笑顔が優しい。
おばあちゃんもやって来てぎゅっと抱きしめてくれた。「何か痩せたんじゃない?無理してない?若しかして湊にいじめられてるの?私が叱っておくから遠慮せずに言いなさい。」結婚した時からおばあちゃんはこう言って私の味方をしてくれていた。
「意地悪なんてされてないですよ。安心してください。でも、来月から秘書課から総務課に異動することにしたんです。」私が言い終わると涼子ちゃんが言う。
「やっぱり離婚したからお兄ちゃんの個人秘書は嫌だもんね」気まずそうな顔をしている。
「そういう訳じゃないの……歳のせいか秘書課での業務がしんどくなって私から社長にお願いしたの」
妊娠したからとは言えなかった。
「確かに!お兄ちゃん、昔から自分が鉄人だからって他の人も同じ様に考えすぎなのよね……」
「確かに……」思わず笑ってしまった。
おばあちゃんに手土産を渡した。すごく喜んでくれた。談笑しながら4人でお昼を食べる。
そこに……湊くんと加賀屋さんがやってきた。後ろには蘭子さんと前社長であり湊くんの涼子ちゃんの父親の正蔵さんも入ってきた。
加賀屋さんの美しい声が響く。
「おじいちゃん、おばあちゃんお土産を買ってきました。」2人とも素っ気なく「ありがとう」と返していた。蘭子さんと正蔵さんは私の顔を見て眉を寄せて明らか不機嫌な顔をしている。湊くんに至っては下を向いているので分からなかった。蘭子さんが言う。
「涼子、呼ぶ相手を選びなさい。」キツイ言葉が耳に入ってくる。
「私が誰を呼ぼうとお母さんには関係ないでしょ?しかも別館に呼んでるし……招かれざる客は誰かしらね?ねぇ?おじいちゃん」挑発したような声を上げる。昔から蘭子さんは娘である涼子ちゃんより親友の娘である加賀屋さんを溺愛していたから涼子ちゃんは母親とは仲良く無かった。しかし祖父母に可愛がられていたから母親に口でも態度でも負けて無かった。
「もう!ご飯が美味しくなくなるからパパ、早く連れて帰ってよ」
「涼子……あなた」蘭子さんはわなわなと震えだした。蘭子さんの事はあまり好きじゃない凉子ちゃんも父親である正蔵さんの事は好きというより、上手く手のひらで転がしていた。
「分かったよ!涼子ちゃん」涼子ちゃんに甘い正蔵さんはニコニコ笑っている。涼子ちゃんは正蔵さんに近づいて笑顔で言う。「パパ、今度ふたりでご飯食べに行こう!仕事でストレス溜まってるから発散したいし!」甘えながら言う。さすが……涼子ちゃん。
「分かった!必ず予定を空けておくよ。さあ、蘭子、本館に戻るぞ」正蔵さんの事が好きで仕方ない蘭子さんは渋々、本館に戻っていく。
「希美ちゃん行きましょう。旅行の話を聞かせてちょうだい」優しく加賀屋さんの手を引いていく。
「体調は大丈夫か?」今まで下を向いていた湊くんが言う。
「大丈夫です。社長ありがとうございます」
優しい眼差しを向けてくる。最近この眼差し多い気がする。
「お兄ちゃんいつまでいるの?」涼子ちゃんが湊くんを睨んでいる。私と離婚した事がゆるせないと前から言っていた。
「俺がここにいたらだめなのか?」冷たい雰囲気を纏っている。
「俺もここで食事を食べる」そう言って湊くんは私の隣に座って使用人に食事を持って来るように言った。
「いやいや、おにいちゃんは本館で希美ちゃんと一緒に食事食べるんじゃないの?」涼子ちゃんがびっくりして言う。というか……皆びっくりしていた。
当の本人は涼しい顔をしている。
「なんで俺が希美ちゃんと一緒に本館で食事を食べるんだ?」
「え?」
「希美ちゃんを呼んだのは母さんだ俺じゃない、俺がどこで食べるかは俺が決める。」
凄い……言い切ってる。
こっちを向いて優しい眼差を向けて喋りだした。
「おばあちゃんに最近会いにこないと電話貰ったから休みだし会いに来たんです。」なるほど……涼子ちゃんは面白くない顔をしている。おばあちゃんも私を見て「大丈夫?」と小声で聞いてくる。3人とも湊くんがいて私が気まづくないか気にしてくれている。
「涼子ちゃん……湊くんが、おばあちゃん達にせっかく会いに来てくれたし、みんなで食べたら美味しいから一緒にご飯食べようよ」私が涼子ちゃんに声をかけると「のあさんがいいなら……」と渋々OKしてくれた。湊くんを見てニコっと微笑んだ。「別館の料理美味しいですもんね」というと、湊くんは素っ気なく下を向いて「ああ」とだけ答えた。
料理が運ばれてきた。やっぱり美味しい。自然と笑顔になっていたみたいで……おじいちゃんとおばあちゃんが笑顔でいう。
「乃杏は本当に美味しそうに食べるわね。その笑顔でこちらも美味しさが倍増するわ」
「美味しくて……」恥ずかしくて下を向いてしまう。
「おばあちゃん、のあさん恥ずかしがってるでしょう!ゆっくり食べてね♡」
「ありがとう。涼子ちゃん。」もくもく食べていく。ふと……気づいた。私のお皿のおかず多くない?皆より1切れ多い様な……
「乃杏ちゃん気づいたな?実は料理長がいつも美味しそうに食べてくれるからって乃杏ちゃんのお皿のおかず少し多めになっているんだ」
やっぱり?気のせいじゃなかった。
「確かに、別館の使用人はのあさんの事好きだからね」涼子ちゃんが言う。
「ありがとうございます。私もいつも親切にして貰ってて嬉しかったです」笑顔で答える。
湊くんの横顔をチラッと見る。やっぱり美しい……
目が合う……吸い込まれそうだった。
湊くんが不意に涼子ちゃんに言う。
「涼子、乃杏はローストビーフや生ハムが苦手だ後メロンもアレルギーがあるから別の物に変えてくれ」
びっくりした……誰にも言ってなかったのに……湊くんが私のアレルギーや苦手な物を知ってるなんて……
「乃杏ちゃんごめんさいね」おばあちゃんが謝ってくれる。
「いえ!伝えてなかった私が悪いので気にしないでください。」
「乃杏はマンゴーや桃やブドウが好きだからそれを出してあげて、後、しっかり加熱していたらハムとかも食べるから」
心がポカポカしていく。和やかに食事会は終わった。
「乃杏、送っていく」
「ありがとうございます。」
湊くんは自分で運転してきていた。助手席に座っても良いのかな?悩んでいると助手席のドアを開けて「おいで」と言われた。
彼のシトラスの匂いが凄く感じられてクラクラしそうだった。




