表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

Ep.3 ⟬ 天才発明家とはアタシのことだ! ⟭



羊の群れだけでは悪夢を変えられない。

——成れ、黒羊



おかしい。ノックなんて初めてだ。

いや、正確に言うと前に1回だけあった。


あの時はドアを開けたけれど、そこにいたのは腕をなくした青年だった。


彼は必死に助けを求めていたけれど、どうしようもなかったんだ。


ドンドンドン!!


ノックは鳴り止まない。


恐る恐るドアへと近づく。

床に散らばる使い物にならなくなったゲーム機を足でどけながら。


そして、鉄格子の目の前に立つ。


「お願いだから、あの時の人みたいなのは来ないでね……」

——助けられなかった。

彼を見殺しにしたのだ。


手の震えを抑えながら、鉄格子を解放し覗き穴に白い顔を近づけ覗き込む。


——瞳。


「うわぁ!」

ドアの向こう側の人間は、ミナセと同じように覗き穴からこちら側を凝視していた。


「やっぱりそこに誰かいやがるな!」

ドアの向こうからハスキーっぽい高い声が聞こえてきた。

——女。いや、"女"というより……。


次の瞬間、ドアノブがスポッと床に転がり落ち、その穴から白い手が飛び出してきた。


——少女。


「やばいやばいやばいよ……!」

ミナセは顔を真っ青にしながらキッチンへと走り出す。

細かく言ってしまえばキッチンではなくカップラーメン保存所なのだが。


「ぜったい強盗だ……!」

確信した彼女は錆びてボロボロになったククリナイフを両手で構えながら息を潜めてロッカーへと隠れる。


それと同時にバゴォン!という激しい音が部屋に響き渡り、"彼女"が侵入してきた。


強盗が侵入してくるというハプニングにも備えておけばよかった……!

と冷や汗を流しながらロッカーの中の角を凝視する。


ここに住み着いてからまともに掃除をしなかったせいで中身はボロボロだ。


そして息を潜めて3分後……。


ガバッ!!


ロッカーの扉が勢いよく開かれた。

眩い光とともに現れたのは——


「お前だな!これをアタシにぶん投げたやろーは!」

ミディアム程度の長さの金髪を輝かせ、ゴーグル付きの帽子を被った少女だった。

透明感のある小顔には小さな傷が2つあり、長いまつ毛のある大きな青い双眸がミナセをとらえる。


そして彼女の左手にはスマホが——。


「あなた…だれ!」

ミナセは震えながらも問いかける。


「えっ…お、お前、アタシのことが知りたいのか……?」

急に顔を赤く染めた"彼女"は咳払いをしながら目を閉じる。


——別に、彼女が何者かなんてどうでもいい。

なぜ、侵入してきたのか。


「アタシは…天才発明家のレベッカだ!」

モカブラウンのベストの腰に手を当てながら、豊満な胸を誇示するように言い張った。


「な、なにそれ……」

ミナセは彼女が持っていたスマホに視線を送る。

それはあきらかに、先程彼女が外へ放り投げたものであった。


「アタシをこんなので攻撃したってムダだぜ」

——誤解。

レベッカと名乗る少女はどうやら、ミナセが彼女を攻撃したと勘違いしているようだ。


「ち、ちがっ……」

「そこで、このアタシがお前に命令する!」

レベッカは黒光りする6連発の回転式拳銃——つまりリボルバーを懐から取り出した。


——殺される。


心臓の鼓動が最高潮に達した刹那。


「アタシをここに泊めてくれ!」

レベッカは目を輝かせながら、白い歯を見せて言った。


「……え?」



——このレベッカの気まぐれをきっかけに、少女たちの冒険は始まったのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ