第50羽 魔石
『うぉおおお!』
ベキベキベキベキ
ライトの攻撃に力が入る。お互いの魔石も少しずつではあるが欠けてきている。相手の魔石の崩壊まであと一歩だ。
「…ダメよ。」
『うおっ!!』
突如ライトの体がワイバーンから離れ、浮き上がった様に見えた。そして次の瞬間にはワイバーンの魔石は真っ二つになり、崩れ落ちて行った。
魔力不足で振り返る事が出来ないが、この攻撃の跡を見るにアオイさんの仕業だろう。
『何で邪魔しやがった!』
あと一歩の所で手柄を横取りされたライトは怒り心頭だ。ライトもボロボロで動けないので、念話だけでの反抗であるが…
「はあ?アンタ今の勝てるつもりでいたの?」
『当たり前だ!あと一押しでヤツの魔石を砕いて…』
バキッ!!
ライトの魔石鎧の亀裂が大きくなる。あのまま衝突を続けていれば、先に限界を迎えるのはライトだっただろう。
「あんまり付け上がるんじゃないわよ。アンタはあくまでランクC。普通に戦ったところでランクAには敵わない。」
アオイさんは淡々と続ける。
「それでも戦わなければならない時は確かにあるわ。でも今はその時ではないでしょ。この子達と一緒に戦うのなら自分の生命も大切になさい。」
アオイさんが意外と優しい言葉をかけていてびっくりだ。
「それにこの子の仲間は私の部下と同義よ。勝手に退場するのは許さない。」
前言撤回。やっぱりこの人に思いやりなんて言葉はない。
「ただ、その心意気だけは買ったわ。戦力としては全然だったけど、そこは今後の努力次第ね。ミヤビはよくやったじゃない。ここまでやれるとは思ってなかったわ。」
アオイさんに褒められると何かあるかもと勘ぐってしまうのは良くないんだろうな…素直に受け止めておこう。結局アオイさんが居なければオレ達はアグリア・ワイバーンには勝てなかった。今の実力はこの程度なのだろう。今後どれだけの訓練を積めばアオイさんに追いつけるのだろうか…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
少しだけ動けるようになったので魔力回復薬でMPを回復。
アグリア・ワイバーンは魔石の破壊と共に自壊した。魔石は真っ二つであるが、消えずに残っている。普通なら持ち帰りでかなり邪魔そうだな…空間魔法に秒で収納する。あとはそこでノビてるライトを回収して…
ノビてるライト!!!
あいつかなり無茶してたよな!魔石はモンスターにとってかなり重要な部位である事は間違いない。それがボロボロなのはかなりヤバいんじゃないか⁉︎
とにかく急いで回復する。回復魔法に魔石を修復する能力があるかは分からないが、これしか方法はない。
天使の抱擁
パキパキパキッ
亀裂の入っていた部分が結合していく。効果アリのようだ。しかし…
パキパキパキ
回復し過ぎじゃないか?見事に修繕されただけじゃなく、元の魔石よりも大きくなっている。
『ん…おぅ、今回はまた派手にやったな。前はアームドベアと戦った時だったか?』
ライトはさも当たり前かの様に状況を受け入れている。呆けているとライトが…
『いやな、魔石って割れてから回復すると元よりデカくなるんだよ。繰り返す内に今じゃこんな感じよ。』
ライトが両翼を広げてみせる。
何?その筋肉みたいな増え方……魔石ってどういうどういう仕組みなんだ…ただ一匹狼で強敵と戦い続けてたライトの魔石が全身に広がってるのも、そういう訳か。
「へえ、私も知らなかった。良いこと聞いたわ。」
「アオイさんでも知らない事とか有るんですね。」
「私のこと何だと思ってるのよ…取り敢えず、みんな回復した様だし帰るわよ」
「『はい』」
目的は達成した。最後はアオイさんに助けて貰ったが大健闘だ。アグリア・ワイバーンの魔石を回収し、地上へ向かう。
「ごめんなさい。」




