めっちゃ好きやねん【アルバート】
あぁあもう間に合わない!
視点別ストーリーは順次更新していきますが、多分全部揃うのはバレンタインが過ぎた後になると思います。
本当にすみません!
朝の光に微睡む午前7時半。俺はいつものよーに家を飛び出した。
「また遅刻やぁ!」
そん時今日が自由登校なんてすーっかり忘れてて、遅刻したらアカンと我を忘れて走った。
入り口んとこにやたらぎょーさんの女が集まってるの見て、俺の分は――なんて思いなからそこを過ぎる。
思った通り、女子はみーんな俺に声を掛けてこうへんかった。
なんや寂しいなぁ。
そんな時に思い浮かぶんはあの優しそな笑顔。聖母と同じ名前をした少女。
「あぁああ」
溜め息しか出てこうへん。あの娘からチョコ貰えたらどんなに嬉しいことか!チョコ持って兎飛びして町を回るくらい簡単にこなせる。
でも現実はチョコみたく甘くはない。さっき女の子がチョコをくれへんかったように。
教室に行こうかと門を通りすぎ校舎に入ろうとした瞬間、変に入り口に貼ってある紙に気が付いた。
何々・・・?
“本日自由登校”?
その時俺の頭ん中にエピソードがぎゅううんてな風に浮かんできた。そういえば今日、自由登校なんや。来なくてもええ日やないか!
やってしもた・・・。
貼り紙の前で直立不動。固まったよーにその場から離れんかった。
それから何分後。教室へ向かう一人の少女が俺の前を通った。
ま、真里亜や!
固まったままの思考は突如動き始め、俺は無意識に真里亜に話しかけていた。
「おはよーさん」
「おはよう、アルバートくん」
にっこりと微笑みながら、彼女は挨拶を返した。まぁ、当然の行動なんやけど、俺にとってこの笑顔はとても重要なことだった。
「な、なぁ、その袋ってもしや・・・」
可愛いデザインの、紙袋。その中に入っとるんは、チョコやないか?
「皆にあげるチョコレートよ。勿論、アルバートくんのもあるわ」
ごそごそと袋に手ぇを突っ込み、中身を探る。ふっと袋から手を出した時、真里亜はチョコレートを持っていた。
「はいっ。ハッピーバレンタイン」
「あ、有難う!嬉しいわぁ」
「本当?そう言われると、私も嬉しいっ・・・」
嬉しそーな顔をして笑う真里亜には、天使という言葉が相応しい。それにしてもぎょーさんチョコレート作ったんやなぁ・・・。
“皆の為”、か・・・。
「なぁ、真里亜」
真里亜は優しーから、ついつい調子に乗ってしまう。チョコが貰えただけでも収穫やのに、欲が――。
まぁ、しょーがないな。それが男っちゅーもんや。
「なーに・・・?」
「俺に対しての本命チョコはないんか?」
余りにも、欲張りすぎた。言った後にしもた!と思てももう遅い。
こ、これは冗談やと訂正した方が身のためか?でも真里亜のチョコが欲しいんはほんまの事やし・・・。もしかしたら、本当にくれるなんて事もあるかもしれへんしなぁ・・・。
「えっ?」
率直に驚きを露にする真里亜。それはまたそれで可愛え。
こーなったら意地でも本命を貰ったる!
「本命や本命っ!これは義理か友チョコゆーやつやろ?ほら、ワンランク上の――」
「アルバートくんって」
「?」
「心が読めるの――!?」
え。
そないな能力なんて持ってへん・・・。ちょっと待てや、問題はそこやない。
真里亜に対して本命のチョコをくれと言った。真里亜は心が読めるんかと聞いた。
――ということは!
あるんや!俺の為の本命のチョコが!
「そ、そや!俺の武器の能力で――」
嘘も方便、やな。
「渡そうか、迷ってたの・・・でもどうしても、勇気が出なくって」
おずおずとチョコレートを差し出す真里亜。でも何を心配する事があったんや?
俺はこんなにも真里亜を好きでいるっちゅーのに。
「私の友達には、料理が得意な子が沢山いるでしょう?だから私、自信が――」
「真里亜が作ったもんだったら失敗作だろーがゲテモンだろーが何でも嬉しいわ!有難う!」
なんやこの感じ。良い方向に進んだんやないか?もしかしてこれが所謂――“フラグ”っちゅーやつか!?
さっきも調子乗って成功した。だったらもっと乗ってやるわ!
「真里亜、大好きやで」
急な告白に驚いた様子を見せる真里亜。でもある程度予想はしてたんやないか?
「アルバートくん・・・」
顔を真っ赤にして俺の前に立つ真里亜は、決断しきれんようやった。
「返事は今じゃなくてもええよ。ゆっくり考えてーな」
言葉じゃ上手く表現できへん・・・本当は、あんな言葉じゃ足りてへんのや。
“他の女子が目に入らん程、真里亜の事がめっちゃ好きやねん”
言えたらどんなにすっきりするんやろうな。でも言わへん今は。
答えが返ってくるまでは、我慢や。俺。
誰か関西弁が完璧な方がいましたら、アルバートくんの関西弁をどうにかしてあげてください。
ここの台詞が違うよ!関西弁じゃないよ!って言われたら訂正するので、正しい関西弁を教えてください。
エセ関西弁から脱却させてあげたいんです……!
良かったら協力お願いしますm(_ _)m