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水鏡「栄華の刻 5 動いた一針」


栄華の刻も終わりへ近づく。水鏡の天井は上へと埋もれてしまった。まるで北極星のようだと、未来の、深淵の先にいる自分が頷いていると分かる。


尖兵である下々の守護者の様子を見ていた3人の最も水鏡の上での存在濃度が高い大守護者は、哀れみ、嘆く。それは尖兵が初めて、拘束や支配の到達点へと至り、彼女は初めて、「物」となった。鉱物だ。彼等はそれを初めて目にしたのだ。何故ならもう既に、止水の天井の水面からは遠く離れてしまい、形を保てない者が守護者の尖兵を始め多くの「犠牲」が出てしまった。それは先日の大きな蒼き瞳、その大地を穿つ何者か知れぬ赤い血脈の「車輪の力浮上者」のおかげで、止水の深淵へと落ちる速度が増したからだ。彼女は緑色の葉と多くの異形を今も尚、取り込み続けている。


そこで、大守護者である3人は、尖兵の保護と深淵への開拓の為、1つの蒼き瞳を「車輪の力浮上者」に託し、降下する蒼き瞳と、上へと留まり、帰りを待つ蒼き瞳へと分断して、この止水の水圧とでも言おうか分からない重みに抗うことにした。


そこで、彼等は「車輪の力浮上者」と「降りたった尖兵による核」、「1つの蒼き瞳」


これらを深淵へと落としながら、彼等を見守るための浮力を保つ装置を開発した。大守護者の中でも役割が決まっており、 分業している。


帰路を忘れぬ為の「名付け」


守護者と骸の核の「補完」


未来を予測し、最適な守護者と従者の為の「灯台」


これらが彼等の行動原理であり、これらで運用していた。赤き「車輪の力浮上者」に瞳を模倣させ、もう一つの異形の骸で満ちた「惑星」を彼等はテラフォーミングしながら、深淵の底を観測する。


何故なら、3人の大守護者はその下の止水の密度に耐えきれないからだ。


彼等はそれらの意味と力を自らの祖である「蒼き瞳の骸」から与えられていた。


赤き血脈が如く異形の「車輪の力浮上者」と同化が進んだ降りたった尖兵により、血脈は冷え、緑地となり、文明が今にも誕生しそうな大きな森が異形を包む。彼等はそこに同胞の中でも止水の深淵から帰還する最中に知り合った、ある異形の骸から再臨に成功したと思われる純度の極めて高い存在の協力を得て、その協力者に名を与え、「異形の他の骸の集積による進化した再臨」つまり、「灯台」の責務を命じる 。


名を「アムル」といい、もう一つの祖「蒼き瞳」へと舞い降りる。


彼の姿は「人間」と大差がない姿をしており、白髪に似合わず、しかし、剛腕で容姿端麗な光衣を背後に纏っているような存在だ。白髪と言っても、髪ではなく、光の束に近い質感の何かである。アムルは一言放つ。


「補完こそ、要だ。彼等にその鎖を編んでもらう」


多くの従者を連れて、彼「アムル」は深淵へと旅立つ。彼は従者を包み込み、存在を「アムル」に繋ぐ「勇者」と補完へと役割を持つ道を繋ぐ「開拓者」に分かれて、蒼き瞳へと降りる。「勇者」は「開拓者」を召喚し、蒼き瞳の異形の骸を支配下に置くのだ。「開拓者」とは名ばかりだが、止水の圧に耐えられなかった従者や守護者の残りをかき集めた装置だ。「勇者」は純度の高い骸の力を少し宿した存在だ。 彼等は一様に翼を持つ。


開拓者とは「人行き」彼等、翼は「人の間」を生み出す研究が成功した。


「我が子よ」


と引き連れている全ての者に返事を求めず、アムルは労う。



開幕だ。

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