帰郷への開拓路 24話 「空へ」
翼?本来のイメージでは、綺麗な白鳥の様な翼を想起するが、そこまでおかしな発想ではない。しかし、この世界の住民の想起する翼とは、変幻自在に光を放つ器官だ。その燃え盛る様な、光を放つ様な翼を澄んだ空気の大地にて、塔の見える平地にて飛び立つ準備をしているのはエラだ。エラは沢山の従者である翼が生えている従者を籠に乗せ、両手、両足で持ち上げるようにし、飛び立つ用意をしている。この、ヨウハ王国の翼を持つ存在が宇宙へ向かう際に、発着場として、上手く機能しているのはヨウハ王国が卓越している。
エラ「従者よ。しばらくの間の辛抱だ。我が身は洗浄される用意を我の成長は願う。我が成長は皆のため。」
エラはいつにも増してやる気に満ち溢れている。少しおかしいのだ。従者を持ち上げる籠を握る手は光の脈動を打ち、必死だ。その姿を刃を構えたソラが見守る。両手に自身の翼を光の束にし、握る。彼女?は変に力んでいる。エラの持つ籠の中には、たくさんの人々の魂が籠った動物も入っており、責任が重大なのだ。
ソラ「その状態の改善を違える場合は我が斬り刻む。その意味をわかるか?エラ?期待しているぞ?私は実際に斬った回数しか数えない。」
少し嘲笑うような口角で、ソラはエラに警告と挨拶をする。
ソラ「エラよ、清浄なる体、取り戻さんことを祈る。」
ソラは鋭い表情で翼の一部をその場に滞留させて、エラに追尾する様な位置で自律させ、そのヨウハ王国の発着場を後にする。その飛び立つ姿も光を帯びて、光の束が流れ星の様に空に模様を描き、ヤシェル王国の方面へ、帰還する。
エラが地上を飛び立つ。空に行くことは太陽へ近くなることを意味する。そうなれば、必然的に振り落とされる外惑星からの毒、「共鳴の荒者」が運んできたエネルギー。それが薄められる。そして、動物達になった存在を、太陽の近くの蒼き瞳にて、復活させる。そして、また連れ帰るのだ。
エラは燃え盛る暖炉の様な黄色い光を花が開花させる様に循環させ、一瞬にして、大地を飛び立つ。ケリュケイオンで気が触れた者、荒者による負傷者は多かった。
その軌跡は多くの人々の視線を集めない。日常だからだ。だが、それをぼんやりと見つめるギークは自身の家の植物の手入れをしながら、ユミと自宅の周辺の賑やかさが続くのを沸々と楽しんでいた。夫婦の待ち望んではいない、祭りの時間がやってきた。
ギーク「ユミ。そろそろ例のめんどくさい祭りがある…誰が推薦しているか分からない謎の剣術会が始まってしまう…」
ギークはエラが残した光の尾を見て、渋い顔をする。2人にとって、この祭は気まずい雰囲気しかない少しストレスがかかる行為だ。何故なら、祭りで勝っても景品に価値がない。そして、負けたら負けたで、囃し立てられてしまうからだ。
ユミ「あー本当に憂鬱…ギークぅ…今回はどうする?」
ユミはベッドに呆れ返って横になる。が、口は動くようだ。
ギーク「とりあえず、外に出て、歩きながら考えるか。」
日は正午、ちょうどお昼時で、屋台が開いて、商店街が3つ新たにできたかのような賑わいが盛んだった。
あの共鳴の荒者が、勇者?いや、戦士から討伐されて数日。祭りは大いに賑わっていた。
火の聖域の商人である、マーチェは必要とする場所に、「火の元」である「油」を大きな祭壇へと続く広場へ、灯していく。夜にも祭りを開催するからである。
マーチェ「早くこの仕事、終わらせてさっさと帰りましょ?私、ここまで疲弊し切ったのは久々だよー。グレッグド〜足の速さに期待してるからね?」
真剣な表情だが、口調が少しふざけて捉えられるのはいつものマーチェだ。
グレッグド「あれ?そんなに故郷が恋しくなるタイプの人でしたっけ?マーチェさん」
マーチェは少し、手元を震わせて、答える。
マーチェ「君は商人があれだけ恐ろしい体験をした後で帰りたくなるわけ大アリじゃないかい?…ふぅん…」
マーチェは頬を染めて、何故か怒ったように答える。
グレッグド「やっぱり、いつもの魔術師さんが良かったですか?ギークさんとは慣れないのですかね?あのハイドランさん?でしたっけ?あの人も強いですが、人手不足なら仕方ありません。きっと、討伐された“共鳴の荒者”関係の処理作業ですよ〜」
マーチェ「そ、そうかもね…」
グレッグドとマーチェは灯火を用意するために、街を油の入ったタンクと共に歩く…
グレッグド「デザンは今日本番だからって、気合い入れてもう舞台袖にいるらしいです。」
剣術の祭り。剣を持って、先に相手の首を落とせば勝利。恐ろしいように聞こえるかもしれないが、この世界での重罪は拘束だ。つまり、体が朽ちないので、首を切られても、頭から下が直ぐに再生して、元通りになる。そして、体が植物や動物に還り、舞台を彩るのだ。不死身の文化故の祭りだ。
土俵は大いに盛り上げられ、客席は簡易的ながらも豪勢な木組みの大勢が座れる目立つ催しで、この祭りの中で1番盛り上がる瞬間を生み出す装置だ。
トート=ヤシェル。彼、このヤシェル王国の王直々に赴き、ソラと共にアムルの啓示を受けるという。




