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帰郷への開拓路 23話 「夫婦の葛藤」

夫婦の回想ーーーーーーーーーーー



遠くの昔、おおよそ大地ができて100年程、王制度は安泰で、順調に機能していた。翼が生えた天使が次々に「開拓者」である人間を創造して、大地に降ろす彼らの王は降りたった尖兵である偉大な兵の特別な魂が受け継がれた血筋の天人が産み落とす。


天人の子供は皆、ヨウハ、ヤシェル、エゼル王国の統治者である王に任命される。王は密舞台でのそれぞれの民が集めた功績をアムルという神に評価される。



この惑星は大地が植物で芽吹き、大陸完全に地続きで海で隔たれた島は無い。大地から大幅に植物を刈り取り、金属や鉄で要塞化しているのはエゼル王国のみだ。彼らの国が一番評価値が高い。一番は鉄のや金属の生成に関することを大地と交渉することにより、全土へ金属を齎したのだ。


その儀式での祭壇からおりて、初めての祈祷という3国交えての行事が終了した。多くの人が、故郷である、太陽に近いもう一つの惑星へ帰る。


ヨウハ王国中央部、「シュブルスの首」という首都には天人の別荘がある。しかもほとんどヨウハの首都にある別荘に赴く頻度が多い。そこへ、王であるバステト=ヨウハは天人のアルバラン、ルナ夫妻とともに翼を持った人からとある1人の黒髪の青い瞳の凛々しい少年を連れてこられるのを謁見する。


バステト「最初の王たる存在で勲章を得たのはエゼルか…彼らの要塞の技術は火の聖域でしか我々には得ることができないが、鉄と言ったか、あれを我が産みの親である貴方様はどう感じる?」


玉座ではなく、3人は小さな円卓に部屋を囲んで、翼を持つ人に連れてこられる少年を気にも留めていない。その少年は煌びやかな衣装に包まれており、王に引け劣らぬ容姿をしているが、3人は気にも留めない。


アルバラン「我が生活は守られども、彼らの立役者は有用としか評価したく無いのが本音だが、我はルナさえいてくれればそれで良い。何も気負うことはない我が子よ。其方は優秀だ。」


アルバランは無機質な表情を誇るように微笑む。


ルナ「ええ…妾もアルバランさえいれば良い。そして、我が子供たちの活躍を喜ぶのを毎回楽しみにしておる。」


バステト「エゼルの民は自身の民の大地の不毛さと引き換えに、各地へ凝固された砂を恵む様に、“真言”を唱えた。」


アルバラン「そう悔やむではないぞ?我らが声も、いつかはその真言を唱えることのできる錬金術師が産まれよう。我らも励むぞ?」


翼の人「失礼、アムル様より、勅命がございまして、この者をバステト様に預かって欲しいとのことです。」


翼のある存在より、少年は前に小突かれて紹介される。翼のある人は巻き物を取り出し、読み上げる。


翼の人「書状を読み上げます。“この者は王族と匹敵する。それ故、シュブルスと対話の可能な ルナ、及びアルバラン=スティッラ夫妻へと偉大な協力者、アムルが子供を使わせる。”とのことです。」


3人は目を丸くして、その整えられて静寂な白髪と青い瞳が止まる。


ルナ「この子が…?名は?名はなんと申す?」


3人は席を立ち、慌てた様子で、アルバランはその少年の手を取る。


翼の人「この齢ですが、彼には決まった許嫁がいるそうで、スティッラ夫妻と同業になるかと…許嫁は密舞台の宮殿へ預かられるそうです。名はお二人様と同じく姓が付き、“ギーク スティッラ”と言います。」

翼の人は機械的に話す。


バステト「あの立役者が、我を頼るか…彼は何者だ?有用性はあるのか?何故我なのだ?」


バステトは首を傾げるが、それに翼の人は答える。


翼の人「彼は直接、アムル様がお届けくださった子どもの様です…初めてアムル様を御尊顔した者達は大変驚いていましたよ。」


バステト「なるほど、これは面白いな。まぁわからなくも無い。理由は我が王国が、守護者である翼が生えた人の発着場として適しているからな。しかし、立役者め。憎めそうに無いな。おい。王族の振る舞いを我が教えてやる。しっかりしろよ。」


ギーク「あ…はい。僕はここでお世話になります。」


ルナ「あら、身の振り方がそれではなってませんね?私はこの子の髪の色が黒いのが素敵に見えそうですことよ」

ルナは冷静である目で見下す様にギークを見る。それがギークの最初に焼きついたトラウマだ。まるで弄られる様な眼で、ギークは戸惑う。


バステト「我が国の偉大さを教えてやろう」



それから、多くの修行と称して、バステトはギークに掃除、家事、花畑の手入れのやり方、そして、槍の稽古をさせる。一番ギークにとってこの時期に辛かったのは、失敗するとさせられる裸にされて、バステトの従者に触手だらけの部屋に放り込まれることだ。


ギーク「出してくれよ!お願いします!僕が間違って切った花はまた…ちゃんと綺麗にするから!お願い!」


しかし、この声も届かず、うるさければ、ナイフで、お腹を突き刺されて、木に打ち付けられる。そして、従者からは罵声を浴びせられた。


従者「この!生まれた時から腹下に模様があるなんて、なんて豪勢なんだ。俺たちはこの時間が最高にたまらないのさ。もっと泣けよほら!」


もう1人の従者『あはは、ほら、こっちに木を用意してるよ?ここに背中くっつけろよ」


ギーク「いやだ!!ぐはっ…」


しかし、無理やり背中をくっつけられるギークは従者にナイフで木に固定されて、植物のぬるぬるした触手の部屋に放り込まれる。これがされると、一晩はたった。幸い、この世界の住人は不死身だ。


ギーク「いやだ!だして!うああああ!うぐっ……」


ギークは触手に口の中を突っ込まれながら一晩を明かした。

そうして、脱走する決意を固めた日は大人になってからだ。初めての脱走は緑地を走り抜け、翼の人に見つからない様に、槍や、道具、多くの地名が記された紙、これらを携えて、逃げ切った。そう、素早い身のこなしと、枕元においた人形が彼を助けた。目の前の小川を通る道に咲き乱れる花畑や鳥、獣が多く自然豊かな場所を建物が見える道を避けて通る。


そうさせた運命に、記憶が蘇る出来事が起こる。目の前に花畑を座って眺める泥だらけの少女がいる。




バステト「赤髪の少女と許嫁だそうだな。名をユミ、ユミ スティッラという覚えておけ。失礼がない様にな」



その言葉がギークの脳裏を貫き、ギークは、その場で正式なお辞儀をする。直感がそうさせたのだ。


ギーク「お初にお目にかかります。貴方の名前は?」


「ユミ、ユミ スティッラ」


2人は何も語らず、横に座り、互いに手を握る。


ユミ「あなたはギークって名前でしょ?」


ギーク「そうだよ。会えてよかった。」


夜が更ける空に5本ほど矢が飛んできた。そして、それが2人を突き刺す。空から飛んでいる翼が生えた人が彼らを撃ち抜いて、固定する。


ユミ「やっと…会えたね…」


ギーク「ありがとう…」


2人は互いに届かない手を伸ばして、話すが、翼を持つ人たちは2人の全身に矢を放ち、動けなくする。その翼を持つ人にナイフで手と手を突き刺されて2人は連れられ、牢屋に放り込まれる。


翼を持つ人「エゼル王国まで逃げていました。とんでもない脚力です。2人同時に逃げるなど、私達はやはり、この2人を錬金術師に解析させ続けさせなければいけないのでは?」


牢屋の奥で、響く声が2人へ届くが、何を話しているかさえわからなかった。

2人は一緒の牢屋へ、両腕両足をナイフで刺されて、固定されて顔を合わせて静かに話す。


ユミ「あなたも…こんなこと酷い目にあっているうちに入らないとか思うまでに壊れたの?」


ギーク「少し、違うけど、旅は最高だった」


ユミ「私たち、最後に綺麗な花畑を見れてよかったね…」



そこに、1人のとても煌びやかな装飾品を身につけた男が2人の牢屋に近づく。


?「非礼を詫びよう。スティッラ夫妻。我が名はリュウビョウ=ヤシェルだ。2人を勅命にて、匿う。」


2人は驚いた表情で、その男、リュウビョウを見つめる。

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