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帰郷への開拓路 18話 「杖の副作用」


ギークとユミはエニグマの討伐報告とマーチェからの報酬を貰い、忙しくしていた。


あの後、ケリュケイオンを何故壊したか?どうやったらこうなるのかと、ギークは錬金術師達に怒られる。その場を後にして、マーチェ達とギーク夫婦は無事、水の聖域に辿り着いた。思った以上に、花畑のような空間が広がっており、逆に花に侵食されて、建物は荒廃していた。


ギーク「しかし、あのエスメラルダってやつ、罪人としては、少しありえない。」


ユミ「…うん」


ギークとユミは宿屋にマーチェを送り届けて、自分達の家に帰る途中であった。水の聖域の近くは共鳴の荒者が倒された跡地が近い。花が多く咲き誇っている。


ギーク「っておい…マジかよ。ははは」


ユミ「うわ!ちょっと、どうしましょ…」


ギークはユミと同様に落胆とする。まぁ、予想はしていたが、家がボロボロになっていた。常民区の人々の石とレンガでできた綺麗な景観の中で壮大に屋根は吹き抜けて、天井も壊れに壊れている。


ユミ「これ…今夜ここに寝るの?」


ギーク「いや、宿屋に戻ろう。」


2人はまた来た道を戻る。


ギーク「しかし、宿屋に行くだけで妙に疲れるな…連日の忙しさでしんどい。のか?あっ…」


ユミ「え、ちょっと大丈夫じゃないじゃん?え?ギークぅ!?ひゃあ…どうしよう。早くしないと!」


ギークは突然倒れる。ユミは唐突に倒れたギークを背中で担いで、その華奢な体の剛力で地元の錬金術師の診療所まで、連れて行く。しかも、あり得ないスピードで。


錬金術師「ふぇっ!?本日はい、如何なる用事ですかね?症状は?」


錬金術師も驚いた表情で出迎える。既に何人か患者がいるらしい。珍しい光景だった。あまり、診療所は賑わいがない。そんな感覚は常識だが、複数人が酷い有様だった。例の杖、ケリュケイオン?をペロペロ舐めている女性が複数人、抱きついて擦り付けて、目がおかしくなっている人々が5人ほどいた。


錬金術師「最近は心がおかしくなる病が多発しており、それも、その杖を使用した者がそうなっている。気にせんでくれ、さぁさ、ここにその人を寝かせてくれ」


ユミはギークを布団に寝かせて、唾を飲む。


錬金術師「これは…命に別状は無いが、暫く動かないだろう…彼は正常だ。息もしている。しかし、身体が熱くなっている。食べ物を食べていなさ過ぎるのだろう。何ヶ月食べてないとかある?」


ユミ「そんなはずはないです!旦那はちゃんと食事しますよ」


錬金術師「ほう…というか、あんたら、スティッラ夫妻じゃないか!?ちょっと待ってくれ、他の者を呼んでくる。」


病人「あみゅ…ふひひ」


不気味に杖を舐める女性がいる妙な光景が広がる。それを待っている間に眺めていなくてはいけないユミは怪訝な顔をする。それはケリュケイオンだ。


遅くなった。


マモン「本当に最近は世話が焼けますね〜というより、今回のことに関しては私達の不手際のようなこともあるので、仕方ないとは思いますが…」


ユミ「マモンさん!主人が!」


マモン「ええ、大丈夫ですよ。旦那さんは“他とは違い”無事なようです。聞く話によると、食べ物を食べると良くなるそうなので、何か良く煮込んだ植物の種をすり潰した食べ物を食べさせると良いですよ」

(しかし、スティッラ夫妻は不思議だ。我々と同じこの惑星の統治という役割がないはずなのに、何故ここまで数100年も過ごしているのか?今回の実験でも、何となく分かった事が、2人は常人の数倍のエネルギーがあるということと、決まった一定量のエネルギーを常人が持つのに対して、この人達はそれがない。アムル様に探求や追求を控えろとの命令があってもここまで関われば嫌でも不思議に思う)


マモンは考え事をしながら、すり鉢で植物の種を擦る準備をする。が、既にユミが携帯のすり鉢?を取り出して、既にギークに必死に飲ませていた。


ユミ「ねぇ!起きて!お願い!うぃおいうい…」


ユミからは涙が溢れるのがマモンの目に入る。呆れた顔をしていた。軽い症状でここまで心配するユミを宥めようにも宥められない状態だった。


マモン「ユミさん。ギークさんなら、それくらい食べさせれば治るくらい軽症です。」


ユミ「本当?…はわぁ…!!」


ユミはギークの顔に自分の顔を擦り付ける。そして、そのまま眠りについてしまった。


マモン「やれやれ、熱すぎてこっちが参りますよ。しかし、先程のケリュケイオンが破壊される過程が謎の魔物による攻撃?ケリュケイオンは人々から回収できたが、ギークも使用したなら、少し様子を見なくてはならないな?ここにいる病人が全て


“ケリュケイオンを使用した後に”

狂った人物達


だが、やはり、歴史は繰り返すのか?伝記に出てくるシュブルスを従えた兵士さえ、自ら命を賭けなければ英雄にはならなかったように…ケリュケイオンを使わなければ、英雄として、近々ある祭りで、賞賛されなかったろうに…独り言が多いな。疲れが溜まっているらしい。火風呂に少し私も入ろうか?」

ブツブツと独り言をマモンは話す。


そこへ、こちらへ挨拶をする声が聞こえる。


イミュ「よーっす!元気にしてた?マモンのおっさん!」


マモン「長らく生きていれる人をおじさん呼びするのは無礼ですよ?」


イミュ「良いじゃん!どう?私のおねーちゃんの様子?まだ杖のことあむあむしてる?」


マモン「変わらずですね…」


イミュは自身の姉である存在の様子を見にきたのだ。彼女は何故か、ケリュケイオンをうまく使う。精神が狂ったりしないケリュケイオン使いは珍しい。それが2週間で確立した錬金術師の見解だ。


ギークもその1人かもしれないが、ケリュケイオンを壊した存在がいることから、マモンは1番そのことに関して気にかけている。


イミュは自分の姉の背中を撫でて、寂しそうにする。


?「イミュさん…お姉さんはやはり、変わりませんか?きっといつか良くなりますよ?」


マモン「これは!ネフィルさん」


大柄な狼の獣人が入ってきた。名をネフィルと言う。新種の植物を発見し、ケリュケイオンを使用した戦士の治療で役に立つと話題になり、現在、イミュ、サンディ、サナの3人の女性が健在でケリュケイオンによる魔物討伐で名が売れている。そして、そのネフィルはその例の植物をネフィルは取り出した。紫色の高貴な色の花だ。


マモン「ネフィル様、どうか、すみませんが、この店の薬剤以外を使用する場合は親族との許可を得てください。」


イミュ「もうとってる!」


ネフィル「そう言わずに、この御方は素晴らしい人なのだよ。さぁさ…イミュさん慌てずに…。すみません。マモンさん。イミュさんがどうしてもと…無礼を許してほしい。」


マモンは小さく頷き、黙って2人を見る。


そうすると、ネフィルがそのイミュの姉が舐めている杖に剛力でその花を握りつぶし、滴らせる。


イミュの姉「えろえろえろ…あ、」


イミュの姉は突然、身体が痙攣し、倒れる。


イミュ「ネフィル様!ありがとうございます!」


イミュは喜んだ。マモンも驚きもせずに、立っている。何故なら、ネフィルの薬の効能は使用した後こうなるのが良好な結果を生む前の段階ということが分かっているからだ。非公認だが、実質公認の特効薬となっている。


ギークとユミが旅立っている間に、ケリュケイオンを使用した兵士がおかしくなったことから、ネフィルの下に使えているイミュ、サンディ、サナの3人の女性のみがケリュケイオンを運用している。


マモン(ギークのダインアーツの扱い方から推測するに、ダインアーツと同じ特性を持つケリュケイオンも使いこなせて当然だと考えられる。しかし、同じく反作用がある。それは体力を消耗し過ぎることかもしれない。やはりそうだ。我々の見解をギークに伝えなければ)


マモンはギークの額に手を触れる。熱があるのを感じるが、そこまで酷くはなさそうだ。


そうして、ギークは予想通りに、目が覚める。

ギーク「可愛い寝顔は太陽だったか?つまり、今は朝だ。あははは!」


ギークは冗談を言ったつもりだったが、知っている顔はキョトンとする。マモンは呆れた表情で微笑む。


イミュ「あなた!おじさん!」


ギーク「あ、大戦の時の!てか、ここ診療所か、よぉ、マモン。酒はあるか?」


マモンは訝しげな顔をしてすぐに答える。

マモン「酒は体に毒ですよ?何故それを?」


ギーク「あれを飲むと逆に調子が良くなるんだ」


マモンは不思議な表情をするが、ギークへの信頼から診療所の奥にある酒を取りに行く。


ギーク「イミュよ。奥の御仁は誰だ?…?いや、会ったことがあるか?失礼した。」


ネフィル「いえ、お初にお目にかかります。私、ネフィルと申します。以後お見知りおきを…」

貴族のような挨拶の振る舞いをする。癖なのだろう。庶民式の挨拶ではあるが、ギークの目は肥えていた。


ギーク「ギーク・スティッラだ。よろしく。酒場で噂聞きました。あんたの仕事仲間のジェミと知り合いなんだ。すごい褒めてたぜ。」


ネフィル「光栄です。」


イミュ「あの大戦の爆発の時、ネフィルさんが守ってくれたの。」


ギークはあの時の出来事が記憶に蘇る。あの影はネフィルだったと確信した。

ギークは横で寝ているユミを撫でる。


マモンはギークの元気そうな様子を見て、頭に手を当てるマモン。


そして、丁度そこで、ユミが起き上がる。

ユミ「あ!ギーク!起きたのね!ひゅひぃ…」

ユミは満面の笑みで口元を隠す。


マモン「ギークよ、少し良いか?」

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