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帰郷への開拓路 1話 「共鳴の荒者」

森の中央に、それは鎮座していた。

液胞を孕んだ醜悪な巨体。

人類はそれを「共鳴の荒者」と呼んだ。


人間の集落は既に滅んでいる箇所もある。

人々は笑いながら怪物の液胞へ飛び込んでいく。

幻覚こそ、最も強い兵器だ。そいつはそれを使う。


翼で防壁を作る戦士オフェルも跪き醜悪な巨体に飲まれた。


大きく鎮座する「共鳴の荒者」即ち、侵略者は森にある隆起した地面から顔を覗かせている液胞を孕んだゴキブリのような醜悪な見た目をしている。しかも巨大だ。戦士ソラの30倍もある。しかし、彼が主戦力である。


「共鳴の荒者」という定義にも、理由がある。それはその液胞が生き物に幻覚を見せるのだ。液胞はその荒者の魂に呼びかけられた存在を取り込む。幻覚とは最も強い兵器である。故に、次々とその荒者の一部と成り果ててしまう。


人間の集落では、多くの強い人間が液胞に飲まれた。それと、最大の損失は最も硬い外壁を形成できる翼を持つ「オフェル」が飲まれたことだ。


オフェルは最もアムルに翼の強固さを与えられた戦士だったが、人々と共に飲み込まれた。


ソラ(この類の怪物は伏兵を用意して、さらに分断して奇襲してくる可能性がある。彼等の骸は強力な敵意を純粋に抱いているように感じられる。殆どの敵がそのような感覚でこの地に挑むが、ここまで巨大な要素と、士気を高めながら抱えてやってくるには十分過ぎる危険があると私は予測している)


「ソラ様。何卒、何卒、お助けを!」


錬金術師の総帥が儀式的な礼拝堂で我々戦士を募る。彼等は異形の骸に飲まれ過ぎないように、我々を常に崇拝させるようにしている。彼等は重要な存在だ。彼等は異形の骸や来訪者を分解する存在だからだ。


「相見えた、その存在、豊穣と化すべく 戦士ソラと従者は宣戦布告をあの異形に言い渡す」


ソラと従者は一度飛行し、空から「共鳴の荒者」と液胞に飲まれる人々を見ていた。惨たらしいことに、人々は我々の用意した同化しすぎない為のシンボルである服を脱ぎ捨てて液胞に飛び込んで行った。剣を持つ自警団でさえ、似たようなことをしていたり、跪く者まで、その光景に怒りを覚えるソラ一行であった。その様子を見て、集落の安全地帯で迎え撃つべく、従者と人々の為の守護者を配置する。


エラ「あの共鳴の荒者は我々の祖を核に据え置くべきです。まだ伏兵はおらず、我々は大主から概念を賜りました。私の召喚兵を使い、彼等に糸状の伝達具を伝わせて、犠牲になった我々の同胞を媒介にして、私の愛を届けるのです」


ソラの従者である「誘惑の戦士」が提案する。彼女はエラと言い、翼の生えた立派な戦士である。しかし、他の戦士と違い、やや女性性が付与されたような容姿をしている。戦士に性別はない。


ソラ「私はそれを最終的な手段であり、要であると確定する。問題は糸状か何かでも構わないが、彼等の内部に伝達を阻害する、あるいは完全に人間の胃のように分解する機構を持ち合わせていることを考慮して、強く切り開ける手段と早急な対応が必要だ。しかし、奴は槍では硬い。糸状の先に、あの内部の潜入期間で自我を完全に保つのは我々戦士とて不可能に近い。」


イェル「ソラよ、貴殿は初めての着任だろ?この惨劇は今まで以上だ。初陣にしては責が重いな」


今回の任務は戦士である「3人」の指揮で対応するその古株がこの発話者だ。彼は「糸の戦士」翼が器用であり、伝達をすることに長けており、媒介を情報として伝達できる。彼はイェルと呼ばれている。


ソラ「嗚呼、荷が重い。こちらの現状は凄まじき様だ」

ソラはため息をついてしまう感情に苛まれる。彼は前任者が飲まれた為、太陽の近くの蒼き瞳から派遣された。


「ソラ様!」

と崇め奉るように手を仰ぐ姿勢で錬金術師は語る。


「新たなる荒者が集落の翼の兵を破り、喰らい尽くしております。何卒お助けを!」


「相分かった。イェル殿、これを持ち、情報収集へと当たってくれ」


そう言い、ソラは数本の矢を渡す。

黒曜石のような鏃の矢である。


「御意」

返事をすると矢を受けとり、イェルは錬金術師と共に集落から旅立つ。

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