4話 自己紹介
教壇の上から先生が僕たちに向かって労いの言葉を話している。
「入学式お疲れ様。入学式の前にも言ったが、改めて。私の名前は丑先孝だ。高校は学ぶ場所でもあるが、だからといって楽しんじゃいけないわけでは無いと私は思っている。みんなの高校生活が楽しいものになるよう願っているぞ」
入学式が終わり、僕たちは教室に戻って来ていた。
特に変わったところも無い、普通の入学式だった。
校長先生の話が長いことも、前世から変わってないところだろう。
ただ、新入生代表の挨拶をしていたのが隣の席の黒髪長髪で美人な子だったのでそこは驚いた。
僕が入学式を振り返っていると、ふと、先生の言葉が耳に入ってきた。
「それじゃ自己紹介をしようか。出席番号1番の人から順に話してくれ。名前と趣味、あとは何か一言ぐらいを話してもらおうかな」
(とうとうこの時間が来たか)
僕は頭の中の記憶を呼び起こす。
自己紹介。
ここで何を話すかや、このクラスにどんな奴がいるかを把握することできるかが今後クラス内の立ち回りに重要になってきたりする。
(まあ、とは言っても僕は話したいことなんか特に無いしクラスの輪に入りたい訳じゃないから無難なものでいいかな)
そんなことを考えているうちに僕の番が来た。
座っていた椅子から立ち上がる。
「太堂勇志です。趣味は無課金でモバゲーをすることです。よろしくお願いします」
「パチパチパチパチ」
僕は椅子に座った。
クラスのみんなの義務拍手が鳴り止む。
(そこそこ無難なものになったんじゃないかな)
僕がぼーっとしながらそんなことを思っていると、いつのまにか隣の席の黒髪長髪で美人な子の番が来た。
その子が椅子から立ち上がる。
「成双宮優です。趣味は━━」
(へえ。なんか凄そうな名前だな)
僕は相変わらずぼーっとしながらそんなことを思っていた。
「━━です。新入生代表のスピーチもさせていただきました。その期待に応えるような高校生活を送れたら良いなと思っています。どうぞよろしくお願いします。」
「パチパチパチパチ!」
なるふたみやさんが喋り終わって椅子に座っている間に、明らかに義務では無い拍手の音がクラス中に鳴り響いた。
(こういった子がキラキラした高校生活を送るんだろうな)
僕がそう思いながら隣の席に座っているなるふたみやさんを見ていると、
(あっ、)
その黒い目と僕の目がまたあった。
(うわ、)
僕は慌てて目を逸らして隣の席の反対の方向を見る。
そこから僕は隣の席のなるふたみやさんの方向を見ることができずに時間だけが過ぎていった。
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