3話 入学式の前
高校に着いたら校門を通って掲示板を覗き、僕の名前を探して自分が所属するクラスを確認する。
どうやら僕は1年2組のようだ。
昇降口まで移動して靴を脱ぎ、靴を靴箱に入れて購入して持って来ていたスリッパを履いた。
階段を登ったり廊下を歩いたりして1年2組の教室まで移動する。
「うげ、」
ドアをくぐって黒板に貼ってある紙から自分の席を確認したそのとき、僕は思わず嫌な気分になってしまった。
(教室の真ん中の席じゃん)
席の並び順は出席番号順になっており、その出席番号はあいうえお順になっていた。
僕の名前は太堂勇志なので、最初の文字は「た」だ。
そして、「た」という文字はだいたいあいうえお順の真ん中より少し前ぐらいであり、さらに「た」より前の名字が多いことから、クラスの中であいうえお順に並ぶと真ん中になることが多い。
ただ、そうだったとしてもクラスの名字の状況によって必ずしも真ん中になることは無く前後に移動する。
だというのに今の僕の席はクラスの真ん中、左右からも前後からもちょうど真ん中ぐらいの席だったのだ。
左右の真ん中に席があるのは仕方がないとしても、できれば後ろの方の席、たとえ前の方の黒板に近い席だったとしてもまだ良かった。
しかし、僕の席は前後でも真ん中なのである。
◇ ◇ ◇
「はぁ、」
僕はため息を吐きながら自分の席に移動した。
自分の席に着き、ふと周りを見回してみる。
これからの僕のクラスメイトたち。
ぱっと見は女子高生や女子中学生に見える。
しかしその制服はスカートもあるがズボンもあった。
この世界の人間はスカートもズボンもどっちもよく履いている人がそこそこいる。
多くの職場はスーツなのでズボンが多いが、私服や学校の制服はズボンもスカートもあったりする。
だからか、学校の制服に学ランは少なくブレザーが大半だ。
そして、この高校もブレザーでスカートもズボンもある。
ちなみに僕はズボンだ。
◇ ◇ ◇
「わいわい」
「がやがや」
僕のクラスメイトたちはこれからの高校生活に期待と胸を膨らませ、さっそく周りの人に声をかけたりしておしゃべりをしている。
僕はその輪のどれにも入らず椅子に座ってスマホをいじっていた。
「おーい、そろそろ席に着けー。スマホいじっているやつも仕舞えよー」
教室に入ってきたスーツ姿の先生らしき大人が発したその言葉で、立ちながら喋っていたクラスメイトたちがそれぞれの席に座り始めた。
僕もスマホを仕舞う。
その先生らしき短髪で黒髪の女性みたいな大人は教壇の上に立って僕らの方を見た。
「入学おめでとう。このクラスの担任になる丑先孝だ。これから一年間よろしく。さっそくだが入学式があるから体育館に向かう。荷物を置いて出席番号順に並んで私についてきてくれ」
ふと、自分の隣の席に座っているクラスメイトを見る。
とても美人な子だ。顔が整っていて胸もそこそこありスタイルもいい。背は僕と同じぐらいで平均よりは高い。服装は制服のスカートだ。
髪型は長髪で伸ばしていた。前髪も整っている。髪色は黒だ。
そのとき、その子の黒い目と僕の目が合った。
(うわ、)
僕は慌てて目を逸らして席を立ち、体育館に向かう列に並んだ。
その後ろを、その隣の席の黒髪長髪で美人な子が見ていることに僕は気がつかなかった。
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