2話 憂鬱な朝
「♫〜♪」
「ふぁあ〜あ」
朝の時間、スマホのアラームの音で目覚める。
窓から日がさして部屋の中を明るく照らす。
今日は天気が良さそうだ。
「はぁ」
そんな天気とは裏腹に僕、太堂勇志の気分は沈んでいる。
今もため息を吐いてしまった。
「・・・いいかげん起きないとな」
今日は高校の入学式だ。
そして、僕はこれから始まる高校生活が憂鬱だった。
「支度しないと」
ようやく僕はベッドから起き上がった。
◇ ◇ ◇
なぜ僕が高校生活に難色を示しているかというと、僕はいわゆる陰キャやコミュ障といわれるような人間だからだ。
物心がついて前世の記憶が定着すると、僕は人間関係に悩まされる事になった。
記憶や知識によって自分は大人だという自覚を持っているのに、実際は子供の体を持っている。
そのため、周りの子供や大人と意識や認識といったことが合わないことが多かったのだ。
他にも前世の記憶が足を引っ張っていることがある。
それは前世と今世の常識などの違いによる環境変化だ。
それにより周りと話が合わない、認識がズレるといったことや、環境の変化に戸惑ってしまったりして周りにうまく馴染むことができなかったのだ。
特に、自分や人の性別関係のことは戸惑いが多かった。
自分は男性であると認識しているのに、実際の身体は両性。しかも、身体の大部分はどちらかというと女性的なのだ。
子宮や卵巣もあるので生理も来る。胸もあるのでブラをつけないといけない。
他にもトイレや風呂が男女に分かれていなかったり、どんな人も恋愛対象になりえたり、性別関連のことではいろいろと苦労した。
さらに言えば、おそらくだが前世の僕がおとなしい性格、悪くいうと根暗っぽい人だと思われることが影響しているのだろう。
前世の自分のことはいまだに思い出せないことが多いが、おそらくうまくコミュニケーションを取ることが下手で苦手だと思う。
特に覚えているわけでは無いのに、人と話そうとすると嫌な気分になってしまったりしてうまく会話することができないことが多々あった。
うまく会話する方法もよくわからず、知識として何か記憶しているものもない。
前世からだとは思うが、人と会話するのに苦手意識がどうしてもある。
こういったことによって、僕は物心ついてから一度も友人というものができないでいた。
◇ ◇ ◇
洗面所で鏡を見る。
そこには顔の整っている美少女に見える人の姿が映っていた。胸もそこそこありスタイルも良い。
髪は肩ぐらいまで伸ばしていて黒色だ。目の色も黒色である。
これが今世の僕の見た目だ。
だが、いくら見た目に恵まれていたとしても僕の自認は成人男性なのでいろいろ大変だった。
見た目が変わったところで中身が変わるわけではない。
卑屈であったであろう僕の前世から、内面は変化していない気がする。
◇ ◇ ◇
「バタン」
僕の後ろで玄関のドアが閉まる。
僕は今、身支度を終えて高校へと出発した。
その時に声かけなどは無い。
僕の生まれた家は両親が共働きで、二人とも家にあまりいない。
今日も通勤するため僕より早く家を出ている。
会話も少なく、あまり仲が良いとは言えない。
このことも僕が友人のできない理由になっていると思う。
高校は家に近い所を選んでいたので、僕は歩いて高校に向かった。
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