第十九話
僕は少し考えさせて欲しいと言ってその場を凌ぎ、
東みどりと連絡先を交換してその場を離れた
「どうするつもり?」
「どうって、」
東みどりとの会合の帰り道、悠里が神妙な面持ちで僕に尋ねてきた
まあ悠里にしてみれば「東郷忠良」さんの魂を取り戻す事が最優先事項なのに、その手掛かりの「みどり」も別人で「轟木哲也」の消息も不明のままで、更に半グレに殴り込みに行くから加勢してほしいと頼まれるとか新たな問題まで抱え込んできたのだから、半ば半ギレ状態になったとしても誰も責められる物ではない
「いっそ興信所に頼んで「轟木哲也」が何処にいるのか調べてもらう?」
「あ、そうですね、」
まあ、そう言う手段に頼らざるを得ないかも知れない
「でも、」
「でも何?」
「悠里さんって優しいですね、お父さんの事でこんなに親身になれるなんて、」
「そりゃ、親子なんだから当たり前でしょ、」
そう言う悠里の横顔は何だか照れて赤みが差した様に見える
「ピリリリリリ、、、」……と、そこへ、小百合から電話がかかってきた
「タッつぁん!みどりの事、思い出した!」
そして問答無用でいきなり大声で叫ぶ小百合
「僕も、さっき、」……と、東みどりにあった事を報告しようとして、
「違うの!良い?今から言うネットのサイトにアクセスしてみて!」
全否定で発言を遮る小百合
〜〜〜
そして僕は小百合に言われた通りのサイトにアクセスして、
そのまま全身の力が抜けて、道端に座り込んで動けなくなってしまった
小百合から伝えられたサイトは「語り部であろう」と言う小説投稿サイトで、「東郷忠良」さんは趣味でそのサイトに小説を投稿している無名の底辺作家だったらしい、その事を恋人の小百合にはカミングアウトしていて、以前食事しに行った際に、現在執筆中の新しい小説の構想を話していたのだと言う
「東みどり」はその小説の登場人物、ヒロインだった
それだけではなくそれどころではなく、ボクシング部で不良の「甲斐」も、みどりへの苛めも、電車のホームでの事故も、「轟木哲也」と言う登場人物さえもが、
全て、「東郷忠良」の書いた小説の中の作り事だった
「嘘、だろ、、」




