第十二話
「でも、考え様によってはこれはチャンスかも知れないわね、」
「どう言う意味ですか?」
長い睫毛に憂を帯びた切れ長アーモンド型の瞳、整った顔立ちに艶やかな長髪のウェーブ、スラっと背の高いスレンダーなモデル体型に細くて長いしなやかな指先
しげしげと改めて僕は今までにこんな綺麗な女の人を見た事がなかった
「記憶を無くす前の貴方は、私の事を避けて、別れようとしていたのよ、」
「でもさっき、恋人って、」
「それは私が一方的にそう思っているだけで、そうでも言わないと家族の人がこんな怪しい女を貴方に会わせてくれないと思ったから、」
小百合さんは僕に上目遣いして悲しそうな眼差しを向ける
「私は「夢衣」って言うお店のキャストで、貴方はお店のゲスト、私達は意気投合してセフレみたいな関係にはなったけど、私がそこから先に進みたいと打ち明けた後、貴方は私を避ける様になった、」
お店?キャスト?セフレ?
もしかして大人専用のお店の事か?
「だから最初貴方が記憶喪失だって言った時、もしかすると私と縁を切る為の芝居なんじゃないかって思ったけど、そうじゃないみたいね、」
記憶喪失ではなくて、別の魂が「東郷忠良」さんの身体に乗り移っているのだ、と言う事は未だ言わない方が良い気がした
「でも、どうして「僕」は小百合さんと別れようとしてたんでしょうか?」
「親と子程の歳の差があるんだもの、私が幸せになれないと思っていたのよ、」
彼女は鞄から二枚のカードを取り出して僕に手渡した、
銀行のキャッシュカードとクレジットカード、名義は「東郷忠良」となっている
「これは返しておく、私が欲しいのはお金じゃない、」
お金じゃないとすれば、こんな禿げ親父のどこに小百合さんは惹かれたと言うのだろうか? すると矢張りアソコがデカくてエッチが上手いとか絶倫だとか??そんなの漫画でしか読んだ事ないけど!
「さっき、チャンスって言ってたのは、どう言う意味ですか?」
僕は僕の知らない世界から逃れようと声を震わせながら話題を変える
「貴方は、何か危険な事をしようとしてた、」
「危険な事?」
「何かは分からないけど、貴方は覚えていないの?」
「覚えていません、」
それってもしかして、「東郷忠良」さんの自殺に関係しているのだろうか?
「そう、だったらもう絶対にしないって約束して、」
小百合さんが僕の手を取って握りしめる
「いい?もしも貴方の身に何かあったら、私も死ぬからね!」




